YOCO ORGAN “Good Bye” 発売記念インタビュー!

GHz Interview

KAN TAKAHIKO、CRZKNY、MC ukudada & MC i know、国士無双、Kan Sano、Dubscribe、HABANERO POSSEといった豪華アーティスト達が参加したニューアルバム「Good Bye」を先月リリースした金沢のオルタナティブ・ヒップホップユニット「YOCO ORGAN」にアルバム発売記念インタビューをおこないました!

PERUTANIさんと0081さんにアルバムの制作秘話や収録曲解説、そして金沢や東京のシーンに関してお話をお聞きしました!アルバムと合わせて是非チェックを!


Q.
まずはアルバム“Good Bye”の発売おめでとうございます!
リリースされてからまだ数日しか立っていませんが今の心境は?

PERUTANI(以下P.) ありがとうございます!
「GOOD BYE」は前作よりもストレートな表現になったと思ってて、今までは意識して人がやってない事や難しい事に挑戦してたのですが、今回は素直にやりたい曲だったり、聴いてて楽しい曲をやれたかなと。その結果、周りからは「今までよりポップだし、ラップアルバムって感じだね」と言って貰えます。

0081(以下0.) この数年の活動がぎゅっと詰まった作品になりました、ほんと自信作なのでよい反響は素直に嬉しいです。

Q.
アルバムの製作にはどれ位の期間が掛かっていたのでしょうか? 製作中に苦戦したことはなどはありましたか?

P. 去年の春くらいから制作を始めました。1曲1曲丁寧に楽曲のテーマやトラックメーカー選びをし、また歌詞も何度も書き直したりしたので、少しスローペースだったかも知れないです。
全体的な苦戦はなかったですが「GOOD BYE SEKAI」はトラックが差し代わったり、0081は何度も何度も歌詞を書き直してました。

0. あの曲だけじゃなく僕は結構、リリック書き直すことが増えて苦戦しました。でもやっぱりラップ書くの楽しいなぁって再確認できた制作でしたね。
ライブをやりながらの制作だったので、その都度 現場で感じたことを落とし込んでいったイメージです。

Q,
YOCO ORGANのラップ録りは0081さんがおこなっているんですよね? もし可能であればREC環境を教えていただけませんでしょうか?

0. 今作の録音はすべて僕が行いました。
環境はMacbookでProtools10、インタフェースはRME Fireface UC、マイクはaudio technica AT4050、AKG C214、ケーブル類はモンスターケーブルを使用しましたがベルデンを試してみたいと思っています。写真は自宅ですが録音はスタジオを借りて機材をすべて持ち込みました。
録音は完全独学です。ラップの録音って普通のボーカルや楽器録音と違うので情報が少ないから大変ですけど、自分なりの方法にはたどり着いています、正しいかどうか知りませんが!
とりあえずやってみる、間違えた使い方だろうが、クソみたいな機材だろうが、やばい曲つくる!みたいなところはヒップホップ精神かと。

Q.
アルバムのプロモーションでも使われていた「グッバイ。もっとラップは自由で強い。」というメッセージにはどういう意味があるのでしょうか?

P. 今まで人がやらない事だったり、ダンスミュージックにどうラップをぶつけるか、という事を追求し続けて来たYOCO ORGANですが、今回はそれに縛られず、「自由」にフラットな気持ちで制作しました。その結果、1曲1曲が物凄く力強くなったので、あのメッセージを。

0 . 「もっとラップは自由で強いはずだろ、なぁYOCO ORGANサンよ~」って自分らに言ってる感じ。ラップってあぁあの感じって思ってるひとに手に取ってほしくて考えました。

Q.
CDでアルバムをリリースしたのは何故でしょうか?
アップルミュージックやSpotifyなどのストリーミング・サービスに関してはどの様に考えてらっしゃいますか?

0. 世界はサブスク全盛ですが、日本の熱心な音楽ファンはまだCDを買っている人も多い、そこに届けるため、それだけです。変にリリース形態にこだわってるのはむしろアーティストのほうかも、音楽そのものはアーティストが先導していけばいいですが、聞くのはリスナーなので。

P. 前作「JAMASINAI DAYS」は配信のみのリリースでしたが、最近の僕らの現場、特にライブハウスのお客さんはフィジカルに愛着を持ってますからね。
ストリーミングサービスは便利なので自身が使いまくりなのです。インディペンデントなレーベルの曲がもっと聴けたらさらに最高ですね。

Q.
BAKAYARO (Pro. CRZKNY)ではトラックのダークな要素と攻撃的なリリックでアルバムのトピックの一つになっているかとおもいますが、この曲が生まれた経緯は?

P. これも僕らの要素の一つで、やはり常に心のどこかに「怒り」があるんですね。
それは特定の何かに対してとかじゃなくて漠然とした怒りが。それを形にしたいなと思った時に、もう1人、捉えようのない怒りを秘めた男が広島に。笑
最初は優しめのキレイなトラックだったのですが、僕らの歌詞やテンションに対して、「こんなトラックじゃない!」と思ったのか、とんでもないトラックに差し替えられました。笑

0. 怒り、みたいなテーマも音楽として扱えるがラップの良いところだと思うのでエンタメとして楽しんでほしいです。

Q.
GOOD BYE SEKAI (Pro. KAN TAKAHIKO)でのお二人のリリックやフロウは感情的で何処か90’sな雰囲気も感じたのですが楽曲のテーマやバックグラウンドを教えてください。

P. この曲が一番苦労しました。おっしゃる通り、まさに90’s的なというか、静かな、でも力強いトラックにYOCO ORGANのエモの部分をどれだけぶつけられるか、という挑戦でした。
テーマは、人が何か新しい事をやるためには、またより成長するためには、その場所や仲間たちから離れなきゃいけないんですね。
でもそれは「さよなら」じゃなくて、あくまで「GOOD BYE」、日本だと「またね」が近いですかね。

0. 今だから作れた曲、って感じがします。90sのヒップホップを意識したわけじゃないですが僕らその直系ではあるので、こういう曲はいつでもやりたいと思います。
ちょっと違うけど、バラード的なヒップホップへは個人的に憧れあるので。Biz Markie Just a friendとか。こういうのはまたやっていきたい。

Q.
Tonight(feat.MC ukudada & MC i know, Kokushimusou)(Pro. 国士無双)にはMCウクダダとMC i knowが参加されていますがYOCO ORGANのアルバムにMCをフューチャーされるのは始めてになりますか?他のMC達との共作作業で面白かった部分とは?

P. 今まで、YOCO ORGANのスタンスを確立するために他のMCのフューチャーは意識的に避けてたのですが、今回は彼女らのセンスだったり、人懐っこい人柄に惚れてお願いしました。
MCウクダダとMC i knowの楽曲を聴いて貰えると分かるのですが、すごくシンパシーを感じるんですよ。ああ、こじれてるなと。笑
国士無双もなんですが、こじれた人間が集まって、リア充な曲を作るぞ!っていう発想がすでにこじれてる。笑

Q.
アルバム全体を通して前回から引き続きベースミュージックというのがYOCO ORGANのコアな部分になっていますが、お二人にとってベースミュージックの魅力とは?

0. 僕らが悶々と行き先を失いかけていた時に出会ったのはベースミュージック。はっきり言って当時ヒップホップ全然面白く感じなかった。
2012年のtabloidでのOUTLOOKFESは忘れられないですね。これだ!って思ったけど、それがジャンルなのかなんなのかよくわからなかった。今もですが(笑)
あとは集まる人やアーティストもオープンな人が多くて最高ですよね。

P. ベースミュージックは青春時代にラップやレゲエに衝撃を受けて、ヘビーな音楽リスナーになったのと同じ気持ちを今でも感じさせてくれます。

Q.
既存のヒップホップのトラックを使ったとしても自由にラップをして枠に囚われないスタイルをYOCO ORGANならば出来るとおもうのですが、敢えて別ジャンルからのトラックを使い続けるのは何故ですか?

P. そこは純粋にダンスミュージックが好きだからですかね。
高揚感を共有出来るジャンルなので。でもヒップホップも好きなので、そういうコンセプトの作品はタイミングをみてやりたいです。

0. 最初は、ほかと違うことをしたい、みたいなこじれた気持ちもあって、いわゆるヒップホップトラックはやろうと思いませんでした。でも今はその瞬間良いと思ったサウンドにラップでアプローチしてるって感じです。
あと、とにかく新しいもの好きというのもありますかね、JUKEとかも100madoくんに昔教えてもらって、やばい!ってなって、すぐよしラップ乗せよう!っていう(笑)そういう意味でラップは、どんな音楽にももっと自由に近づけるはずですよね。

Q.
“Good Bye”のリリースの数日前にPUNPEEさんのアルバムもリリースされていましたが、PUNPEEさんのフリーキーでオルタナティブな作風はYOCO ORGANとも共鳴する部分もあるかとおもいますが、お二人は彼の作品に関してどうおもわれていますか?

0. もともと異ジャンルにさらっと混じるあたりが好きだったし、アルバム、めちゃいいですよね。
自由度で言うと僕らと共通してるところあると思うのでぜひ合わせて聴いてください(笑)

Q.
YOCO ORGANは金沢をベースに活動されていますが現在の金沢の音楽シーンはどの様になっていますか?

0. レギュラーイベントが減って、正直しんどい部分はあるんですけど、相変わらず独特のテンションのある街です、金沢は。もっと突き上げるように若手が出てきてほしいと常に思ってます。
クリエイティブやるにはよい規模感だと思うし、いまのYOCOはこの街だからうまれたと感じてます。

Q.
東京にも頻繁に来られていますがお二人から見た東京とはどういった場所でしょうか?

0. 大きな渦ってイメージ、ボーッとしてたら「渦」に飲まれてぐるぐる回されそう。
あと東京より地方が面白いってたまに言われますが、絶対東京のほうが面白いですよ、そこは分母が違う。ただ街としてとらえたときに、東京って単位はあまりにそのレイヤーが多すぎてぼやけるのと、結局、個人でおもしろいひと、ことがどれだけあるか、だけのことだなぁって思います。

Q.
0081さんとPERUTANIさんのコンビネーションは日本のラップグループの中でも抜群の相性を誇っていますがお互いのスタイルや姿勢でリスペクトしている部分は?

P. 僕は0081のラップが日本で一番好きです。タイトでフリーキー、声の質感も。いわゆるラッパー的な「強過ぎる」スタイルはあまり好きではないので。マミーDさんやEL-Pと並んで好きです。でもリスペクトはしてないです。笑

0. リスペクトしろよ。笑。ペルタニの書くリリックは好きですよ、言葉選びも。
ひとつの曲の中に作詞者が複数いるってのもラップグループならではなので、その個性とか相性も楽しみ方ですね。

Q.
YOCO ORGANはライブ力の強さが魅力の一つですがライブで意識している事とは?
過去にライブでの失敗談などはありますか?

0. 現場感っていうのは、やっぱ強さですよね。
いろんな音楽がありますが、ラップに関してはまずライブがよくないとアーティストしてダメでしょっていう。音源だけで成立してるものもリスナーとしては好きですけど、YOCOはそれじゃないかな、これは世代もあるかもですが。

P. ライブで意識してる事はラップビギナーやクラブ層以外にどれだけ伝えられるか、ですかね。僕らはライブハウスやフェス、アイドルイベントでのオファーが多いので、そこでどうやったら興味を持って貰えるか、どうやったら楽しんで貰えるか、を考えています。

0. 失敗談は、いろいろありますがライブ中にヤクザが鉄パイプ振り回しながらフロアに現れたのは最高でした。マイクで応戦、、せずにすぐに音止めて帰りました。

Q.
YOCO ORGAN以前からの活動も入れると20年以上の経歴をお持ちになられていますが長く音楽活動を続けられる秘訣などはありますか?

P. 音楽活動を続ける努力、というよりも続けるための環境作りを怠らないですかね。曲を作る、ライブをする、はそれほど難しい事ではないんですよ。
ただ、それを続けるためには、例えば仕事だったり、家庭だったり、金銭面だったりを上手く整えないとダメなんですよね。あとは「意地」ですね。笑

0. これはめっちゃ簡単ですよ!やめない、それだけです。
誰に言われてはじめたわけじゃないし、止まるも行くも自分次第。対外的な理由があるならまだしも「俺 就職するからDJやめるわ」とかマジで意味がわかりません。
3年休んでまたやってもいいわけだし、簡単に、やめる、とか言いすぎでしょ。
ダラダラでもいいし続けてほしい、遊びにきてほしいです!

Q.
今後の目標などがあれば聞かせてください

P. アルバムリリースしたばかりですが、次の作品を作りたいです。アーメンとかジャングルに特化した作品とか。

0. まだまだ創作意欲が溢れてて、やりたいこともたくさんあるし、リリース、ライブと精力的に活動します、さらに加速しますよ!

YOCO ORGAN
http://yocoorgan.com/