What’s your favorite thing of all time? PT.30 by hanali

What's your favorite thing of all time?

国内や海外のアーティスト達に影響を受けた作品やお気に入りの作品などをチャート形式で紹介していただく不定期連載「What’s your favorite thing of all time?」も遂に30回目!!!

記念すべき30回目は、Gorge専門レーベル「GORGE.IN」の中心メンバーであり、日本のGorgeシーンを代表するアーティスト「hanali」さんによる「漫画」縛りのチャートを公開!今回のチャートはいつもに増してカオティックで素晴らしい内容になっております!Gorge好きも漫画好きも必読!!!

hanali
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はじめに

「What’s your favorite thing of all time? 」ということで漫画を10作選べと御依頼を受けました。特に何らかのジャンルに造形が深いマニアなわけでもない自分がそのような大役をやるのはどうなのか、という生来の気弱さが隆起してきて不安を覚える現在でありますが、人に面白い漫画をオススメするのは非常に好きな自分ですので、あくまで「自分の観測範囲での今のオススメ10作」ということで選んでみます。できるだけ多ジャンルで、かつあまり「名作」と言われてるものと比べるとちょっと知名度が低いのでは、と思われるものを書いてみます。そうでも無いのもあります。

愛…しりそめし頃に…

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自分の中で「藤子不二雄FAFAFA成長曲線理論」があります。
「ドラえもん」等の清々しいF氏の作品に夢中になる時代から、「笑うせえるすまん」などちょっと毒のあるA氏の作品の方が面白くなる少年時代を過ごしつつ、「藤子・F・不二雄少年SF短編集 」を読んでやっぱりF氏のストーリーテリング能力凄いよね、ってF氏の作品を妙に推しだすうざい時代が来て、ふと「まんが道」に滲み出るA氏のうざい狂気に気づいて再びA氏のファンになり、結局のところF氏とA氏どっちも凄い、という「藤子不二雄」という存在の巨大さに行きつくという、ものすごくどうでもいい理論です。

で、A氏の「まんが道」の続編(であることに気づいてない人が多い)こちらの作品。「まんが道」にあった「A氏のうざい狂気」が今の時代になりさらに強烈に全編に行きわたっていて、一冊を読むのに疲労感を感じざるをえないくらいの名作だと自分は思っています。
A氏の作風はいまだに実験が重ねられており、この中でも「実写の写真の中に漫画を書き込む」という斬新なコマが多く採用されており、その強烈なビジュアルと居心地の悪さは近年読んだ漫画の中でも白眉な「何か」があるのですがその何かさは自分も消化しきれていません。
そして遂に12巻で完結したわけでありますが、「まんが道」を読んだ人は皆が「?」に叩き込まれたあの印象的過ぎるラストと並ぶ、いや超えるかもしれない謎の完結を迎えており、なお我々はA氏の迷宮に居ることを思い知らされる次第であります。
A氏、大好きです。

メイドインアビス

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いきなり現在進行形の漫画になり恐縮です。絵の可愛さと物語の凶悪な切迫感。最近ふとしたきっかけで(というかAmazonのオススメです)読んだ中で、あまりに面白すぎて新刊を心より楽しみにしてる一作であります。

SFです。物語の中心になっているのは「アビス」と呼ばれるでかい「穴」。過去のテクノロジーがその中に眠っており、そして探索することは死を覚悟しなければならない。主人公の女の子と、アビスの深層から出現してきて、その記憶を失ったロボット。その2人の深層への冒険が主題になっている漫画であります。
で、この「穴」がまず強烈でありまして、「上昇負荷」と呼ばれる設定があります。下に降りていく分には良いんですが、上がろうとすると「上昇負荷」と呼ばれる負荷を人間が追わなければならない。上層部は「ちょっと気持ちが悪くなる」程度なんですが、段々と深くなるにつれて「体中から血が噴き出す」「(かなりエグく)人間性を失う」「死ぬ」っていう人間に対して挑戦的な内容になってきて、しかもそれがものすごく丁寧に書かれている。この辺、ヒマラヤアルプスの「7000m以上の領域は死の小域」という登山のハードさに近いものがあってグッときます。

ということで、最初の1巻はアビスに出発する前の話でまだ緩さがあるんですが、2巻の途中で「不動卿」という人物が出てきてからググンと「アビス」のヤバさが出てきて面白くなります。そしてその後「黎明卿」そして「ナナチ」の過酷な運命の話になってからはもう物語の苛烈な歯車に巻き込まれること必至です。ぜひ3巻まで読んでほしいと思うところです。ただ見た目から想像できる112倍くらいにエグい話なので人を選ぶとは思うところです。

喰いしん坊!

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食べ物漫画が好きで、その中でも「どうでもいい薀蓄だけで成り立ってる食漫画」になぜか食指が動いてしまう変な癖があります。古くは「ミスター味っ子」から始まり、「美味しんぼ」を通りつつ、「ミスター味っ子2」に素直に感動しつつ「将太の寿司2」の面白さに興奮を覚えたものの、それはどうでもいいです。
いろいろ好きな食漫画はあるんですが、やはりこのジャンルでは土山しげる先生の重厚さを誰かに伝えたいという自分の中の満場一致によりこの作品。

大食いマンガです。ストーリーは主人公の大原満太郎の大食いへの眼覚めを枕に、「正道喰い」vs「邪道喰い」という大食いに関する二つの流儀の壮大な、そして心の底からどうでもいい対決に収斂していきます。もちろん大食いに関するTIPSがいろいろ溢れています。しかしやはり推したいのが登場人物のキャラの濃さ。「悪食3兄弟」「通天閣喰い」「鯨食い」とかが見物です。
そしてやはり、皆大好き「丈二」!の濃さとうざさには目を離せません。彼の得意とする「二丁食い」を初めて見たときは衝撃を受けました。2ページ見開きで移される豪快なテクニック!といっても箸を2つ使ってるだけだ!
というちょっとクールなことを言いつつ、K1グランプリ(喰いワングランプリという東西大食い決定戦)の満太郎vs丈二の決勝戦で勝敗が決まる(なぜかこぼした米粒の計測で)ときには、思わず涙してしまったことをここで告白します。そしてその後に始まる喰輪杯(喰いリンピック)の蛇足っぷりに関しては・・・ぜひ読んでみて判断してください。

土山作品はこの「蛇足さ」も魅力の一つでもあるので、「喧嘩ラーメン」とか「食王」とか「極道めし」とかを読んでそのサイケデリックな蛇足さを感じてほしいところです。

ムシヌユン

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この漫画はヤバいです。作者の都留泰作氏の前作、『ナチュン』は凄すぎていろんな人にオススメしてたんですが、『ナチュン』をオススメしようとすると「脳が半分になった天才数学者が居て、その人が作ったイルカのビデオに感化された若者が人工知能を思いついて、それを実現するために沖縄の漁師とダラダラしたりする面白い漫画があるんですよ!」って説明しても我ながら何を説明してるのかまったくわからない面白さだったんですが、まだ甘かった。『シヌユン』に関してはさらに凄いです。

頑張って説明します。「昆虫博士に憧れて教授になりたかった主人公が夢破れて沖縄の離島に帰ってきたらたまたま天文学的に凄い事象が発生していてそれとは関係なく昔好きだった女の子と××しようとしたら何か凄いことが起こって主人公のアレが何だかえらいことになる話で面白いんですよ」 ごめんなさい無理でした・・・でも本当にそんな話です。
別の角度から見ると、主人公にまったく魅力が無くて凄いです。『ナチュン』もどうかと思うくらい魅力が無かったんですが、まだ野望に溢れてた。本作は本当にダメな男です。昆虫が本当に好き過ぎて、ある博士に憧れて学者への道を選ぶんですが、単に好きなだけで客観性が無くて、いろんな人に馬鹿にされて挫折する・・・くらいまではすごく自分的にも共感できるんですが、なぜかいろいろあって1巻の最終話ではブリーフ一丁で工事現場で「弁当ください」と言ってます。いやいろいろあったんですが、本当に段々「こいつは本当にダメなヤツなんだ・・・」と心の底から思うようになってきます。

しかし本当に物語のドライブ感と世界観の大きさが凄すぎます。主人公のダメさとリンクして謎の世界を迎えようとしていて目が離せません。本当にいまだにどんな世界に辿り着くのか分かりません。付いていけない!と思いつつも目が離せない、そんな恐るべき漫画です。

氷壁の達人

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山岳漫画で何かオススメある?って言われると 夢枕獏氏原作, 谷口ジロー氏作画『神々の山嶺』を推してます。何故かと言うと、俺が読んで山に行き出すきっかけになった漫画だから。
「山に情熱を持つ」っていうことの意味とその対価にするものの莫大さが描かれていて大好きです。最近は映画にもなり話題になりました。『神々の山嶺』のモデルとなった森田勝氏について書かれた『狼は帰らず』(佐瀬稔著)などのノンフィクションも非常に面白いです。

で、その辺から興味を持って個人的にいろいろとこの第二次世界大戦後の登山家の話に興味を持ち、その中で知ったのがこの小西政継氏のノンフィクション漫画。
世界で一番高い山は誰でも知ってますが、世界で1番死亡者が多い山、って言うと大抵の人が?ってなります。実は日本の谷川岳、特に一ノ倉沢の岩壁での登山事故が群を抜いて多いのです。
その理由はこの漫画を読むとよく分かります。戦中~戦後の混乱期、先を争ってこの岩壁の初登争いを繰り広げた時代。一般的な登山のイメージの「爽やかさ」とはまったく無縁の、バチバチした抜き身の登攀の凄さが伝わってきてドキドキします。
特に主人公小西が最初に一ノ倉に立ったときの衝撃を受ける様子! そしてその周りの愚連隊のような山岳会の猛者達の風景。これを描く漫画は他には無いのでは!

そこから小西が成長してヨーロッパアルプスの山を登るところでこの漫画は終わりますが、こういうテンションで書く山岳漫画がもっと読みたい!と切に願うところであります。
ちなみに過去に絶版になってなぜか100円ショップダイソーで売られてたりと不遇の運命だったようなんですが、最近電子書籍で普通に読めるのでぜひ。ドシドーシ!と叫びたくなります。

シグルイ

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この漫画は最初に電車で呼んでたのですが、あまりの迫力に気持ちが悪くなりその場に突っ伏しました。体調にまで影響を及ぼす漫画に初めて出会いました。
ということで山口貴由氏画、南条範夫氏原作の『シグルイ』。アニメ化もされ、かなり有名ですが、読む人を選ぶ漫画ではあります。しかし自分の中では『AKIRA』などにも匹敵する漫画の中での金字塔だと勝手に認定しています。
山口貴由氏は『覚悟のススメ』とか『悟空道』とかの凶悪ファンタジー、近年では『蛮勇引力』の謎近未来SFなど好きで読んでたんですが、『シグルイ』を読んで強烈なファンになりました。

ストーリーとしては江戸時代の駿府城で行われた真剣勝負の一試合目に出てくる2人の剣士の話が中心となります。この2人は1人が片腕しか使えない、一人が盲目で片足でしか歩けない、というハンデを背負っていることが第一巻で明かされ、異様なまでの迫力で睨み、憎しみ合います。この描写が凄くて俺は気持ちが悪くなりました。
なぜこの2人がこのような憎しみを持ったのか、という話が繰り広げられるのですが、舞台となる「虎岩流」という流派の狂おしいまでのキャラの立ち具合に衝撃を受けること必至です。その流派の全員、ちょっとどうかしているというくらい尖がってるのですが、特に師範の虎岩先生。ヤバいです。
虎岩先生、一年の殆どを曖昧としていて庭の鯉を食べたりしてます。たまに正気に戻るのですが、正気に戻ったところで狂気です。すぐ人を憎んで殺そうとしたりします。何が正気で狂気なのか分からなくなり、結局全員狂気なんじゃないかという気になりつつ、さらなる狂気に巻き込まれてひたすら物語は回転していきます。って説明しつつなんのことやらという感じですがマジでそんな感じです。
そしてさらに「ガマ剣法」という本当に気持ち悪い剣士が現れたりしつつ、二人の剣士の決着がつくところで終わるのですが・・・っていうところはぜひ漫画で。

正直、読み終わってしまったのがもったいなくて一度記憶を消して読み直したいと願っています。これから読める人は本当に羨ましい!

わたしは真悟

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大御所漫画家の紹介で恐縮ですが、楳図かずお氏の『わたしは真吾』も入れておきます。
音楽好きならば、元電気グルーヴの砂原良徳氏の「まりん」というニックネームはこの漫画の登場人物の少女から取られたことでお馴染み・・・なのかな。でも意外と読まれてないような気もします。
一般的な「恐怖漫画家」というカテゴリでなんとなく食わず嫌いしてる人も多く、かくいう自分も昔はそうだったんですが、『漂流教室』『私は真吾』『14歳』のSF三部作を読んで大きくイメージが変わりました。異常な密度の想像力で描かれた凄い漫画です。

この『わたしは真吾』では人工知能がメインに取り上げられていて、異様なくらい緻密なコンピュータの描写があります。人工知能・コンピューターのSFっていうのはかなり書きつくされている感がありますが、楳図先生の想像力は別種過ぎる凄みがあります。どう凄いのかは説明しにくいんですが、「人間から見たコンピューター」ではなくて「コンピューターから見た人間」について「コンピューターの論理で」紡がれる物語のような、その「まったく別の論理の物語」が鋭い切迫感を持って語られていて「意味わからねぇ!」と思いつつも謎のドライブ感に持っていかれます。

「333カラトビウツレ」の東京タワーのとこが個人的には凄い好きです。あと「最後にアイが残った」っていう鮮烈な終わり方で有名で、「アイ」って「AI」のことなんじゃないか、という先見性が取りざたされてたんですが、最近楳図先生本人があっさり否定してたりしました。でもそこも含めて作者の想像力さえも余裕でぶっちぎる恐ろしい作品だと思うところです。

ONE OUTS

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スポーツ漫画も入れなきゃ! ということでいろいろ好きなのがあって悩ましいんですが、『ライアーゲーム』で有名な甲斐谷忍氏のこの作品。

異色の野球漫画で、主人公は元ギャンブラー。とはいえ野球賭博をするわけではなく、「ストレートしか投げない」「しかしあらゆるストレートを投げる」ピッチャーとして、そのギャンブルセンスを最大限に活かして知能戦でさまざまな相手とプロ野球で戦います。
特に好きなのは、球場ぐるみでイカサマをする球団との対決。イカサマのネタ元を推理しながら、それを逆手にとって見事な逆転をする経緯はスリリングで読み応えがあります。その他「荒天で無効試合とさせないための引き伸ばし合戦」とか「ストレート以外投げたら罰金」とか「主人公が球団を買収して選手兼オーナーになる」とか普通の野球漫画では見ることがない暴挙がいろいろあって楽しい。
そして「主人公が球団を買収して選手兼オーナーになる」の展開後に主人公が取った、チーム強化の作戦が、かなりチームワーク論として個人的に好きなところです。「チームワークとはチームで助け合って力を合わせること」という意見を「完全な間違い」と完全に否定します。主人公は年棒性を辞めて、「チームが勝ったら給料が出る、しかも観客の投票により価格が決まる」というシステムを敷きます。そして「負けたら給料ゼロ」。
当然どうなるかというと、チームの雰囲気が険悪になります。しかし「チームが勝つ」そして「自分が活躍する」という双方を実現するために、「自分がチームを勝たせる」ということに集中していきます。その自分自身の欲望のためだけに全力を注いだ結果、チームは強くなる、という結果になります。

凡百のチームワーク論を否定する極端な論ではありますが、このチームワーク論は強い魅力を持っていることは確かです。現代社会を生きていく中で「チームで何かを実現する」ということはどこかしら求められると思いますが、そのやり方を考えるにあたって刺激になる一作です。

預言者ピッピ

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よく考えたらこれも人工知能もので『わたしは真吾』とテーマ的にはかぶってるんですが、2巻まで出て連載は中断したまま数年・・・なんとか次を出してくれ! という願いを込めてここにいれます。
『パパと踊ろう』で有名な地下沢中也氏のSFマンガです。ギャグ漫画家の印象しかなかったのでこれを読んだときに驚きました。そして抜群に面白いです。

メインの登場人物のピッピは地震などの災害予知をするために作られた人工知能のロボット。最初はその活躍が描かれるんですが、幼馴染の親友『タミオ』の死を目撃したピッピがその魂を維持するために再計算し、融合するところから物語は怒涛の展開になります。「人類の未来を計算し尽した」ピッピとタミオ、死を預言された真田の抵抗、そして突然あらわれた人語を介する猿エリザベス。当時多発的に現れたさまざまな事象。ピッピとタミオの計算とそれをすり抜ける「ゲルダ」という謎の現象がスリリングにせめぎあい、物語の辿り着くところを想像させないドライブ感があります。

そしていろんなキャラクターが出てくるんですが、どのキャラクターもそれぞれの立ち位置で必死に運命に抵抗すべく戦っていて、愛らしいです。物語のために人物がいるのではなく、丁寧に人物を意書き尽くす地下沢氏の目線が独特の世界を作り上げていてすごく楽しい。
次巻を楽しみにしてもう何年が経ったことか・・・何とか最後まで書いてください!

天空の扉

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最後に。現在進行形で次巻を楽しみにしているマンガを・・・と思うと『HUNTER×HUNTER』とか『ワールドトリガー』とか『嘘喰い』とか『イムリ』とか『ヴィンランド・サガ』とかいろいろある! しかし『ドリフターズ』の「新刊楽しみにしてると出ると読んじゃって次待つの辛い」感とかヤバいんですが、しかしまあ有名かなぁ・・・ということで一番マイナーだと思われるこの漫画・・・。と紹介したものの、いろいろアレなんですよ。ロリエロ描写が多いとか、ちょっと可愛いけど害虫的キャラ「ゴブリン」に対する酷い取り扱いとか、たまに展開される民族・国家論が面倒くさいとか、万人にオススメできないところが多いんですが・・・・しかし面白くて楽しみにしてるのは事実なのでここで紹介します。

物語としては「ドラクエ」。しかも「ルーラを攻撃に使ったら最強じゃね?」っていう単純なアイディアが歯車。しかし作者のkakeru氏、こういう単純なアイディアからリアリズムを引き出して物語を膨張させていく魔術的な手法が本当に抜群に上手くて面白いんですよね。
kakeru氏の『魔法少女プリティベル』は「ムキムキのおっさんが魔法少女になる」っていうところがスタートで本格的な国家間の冷戦状態にまで発展したり、『戦え!! 悪の組織ダークドリーム!!』は「プリキュアに大人げないえげつない現代的な戦闘をしたらどんだけえげつないか」っていうところだったり、「何でそこまで!?」って思うようなハチャメチャでかつロジカルな物語の紡ぎ方はホント頭おかしいと思います(俺よく読んでるな・・・)。
で、本作『天空の扉』はルーラで物を放出したらどんだけのエネルギー量か、ってところを書いていて、それは「鶏の羽を放出したら運動エネルギーだけで山が吹き飛ぶレベル」だったりして、そういう「最強の攻撃魔法」を持つのが主人公。そしてそれがさまざまな人(説明すると長いんですがこの辺もキャラが濃くて面白い)パーティを組んで、姉を救い出すために元勇者の現魔王を討伐するための旅をしていきます。
という主軸はファンタジーなんですが、ファンタジーを前提にしながら几帳面なくらいにリアルなところがこの漫画の面白さ。現実社会の戦争において最も役に立つ魔法は、とか銃と魔法が並列する世界において効果的な銃の使い方、とかドラゴンが居たときのマジな怖さ、知っておいて全く役に立たないけどなるほどな、と頷く思わせる描写がさまざまあって面白いです。
そしてキャラが立ってるんですよね。特に主人公の姉が、魔王に捕まりながらもルーラの正統的な使い方で無双となり、一度意味ありげに登場した魔界最強軍団をボコボコにするところとかカッチョ良すぎます。

と面白いんですが、冒頭に書いたようなロリエロ描写とか無ければもっと一般的にオススメできるのに・・・と思いつつ、ご興味ある方要ればオススメしたいと思いつつ、オススメしにくいんですがオススメです!(葛藤)

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ということで以上10冊、長くなってしまい申し訳ないです。あくまで現時点で思いついた10冊なのでまた別の機会に聞かれたときにはまた違うものを言ってると思います。もし最後まで読んだ方いれば、ぜひいろいろ話しつつ情報交換したいです。

ちなみに『ドロヘドロ』を入れなかったのはもちろんオススメだからで、『ドロヘドロ』は絶対に読むべきです! 新刊楽しみ過ぎます。


※この記事は2016年9月25日に作られました

GHz Blogにておこなったhanaliさんのインタビューも是非チェックを!

hanali – Exclusive Mix & Interview for “DOROHEDORO original soundtrack”
PT.1
http://ghz.tokyo/2016/05/12/hanali-exclusive-mix-interview-for-dorohedoro-original-soundtrack-pt-1/
PT.2
http://ghz.tokyo/2016/05/18/hanali-exclusive-mix-interview-for-dorohedoro-original-soundtrack-pt-2/