“GHz Interview26” Toecutter

GHz Interview

オーストラリアのブレイクコア・シーンを代表する伝説的なレーベル「System Corrupt」から数々の迷盤奇盤をリリースした鬼才「Toecutter」の本舗初公開となる激レアなインタビューを公開!

2000年初頭から活動をスタートさせたToecutterはSystem Corruptを拠点に作品リリースを重ねていき、7u?( DJ Rainbow Ejaculation)、Passenger Of Shit、Maladroitなどと共にオーストラリアのブレイクコア/ハードコア・シーンをリードするアーティストとして世界中から注目を集めていました。
ハードコア・テクノ~ノイズ~ヒップホップ~ハウス~テクノ~エレクトロ~スピードコアをごった煮にした極悪ハーシュなサウンドに、卑劣なサンプルを組み合わせた独特なファンクさのあるカットアップ・グルーブで作られるToecutterの楽曲の数々はブレイクコア・シーンを中心に様々なジャンルのリスナーから支持され未だカルト的な人気を得ています。
2009年にオーストラリアの「Bang Gang 12 Inches」からリリースした『Best Party Ever』では、ボルチモア・ブレイクスやフィルターハウス、ディスコなどのポップでダンサブルな素材を巧みに使ったダンストラックを披露し、日本の大型レコードショップでも取り上げられ、フェジェット・ハウスやエレクトロ・シーンからも注目を集めました。

その後数年の休止期間を経て、今年フランスのブレイクコア・レーベル「BRK」から未発表曲を収めたアルバム『Best Party Ever』をリリース。2001年から2018年までに作られた楽曲を中心に、CardopusherやSickboyのリミックス、「Best Party Ever」の別バージョンなどが収録されており、古くからのファンを喜ばせました。
近年はライブ活動も再開し、ヨーロッパ・ツアーも決行。奇抜なライブパフォーマンスと楽曲で新たなファンを獲得していっています。

このインタビューでは、Toecutterの音楽的ルーツからオーストラリアの音楽シーン、System Corruptの誕生秘話など、興味深いお話がお聞き出来ました。
この機会に是非Toecutterの作品をチェックしてみてください!

Toecutter – Best Party Ever
http://mxcxshop.cart.fc2.com/ca0/78/p-r-s/



Q.
あなたの出身地は?どういった環境で育たれましたか?
現在は何処を拠点にされていますか?

パームビーチというちょっとリッチな郊外で育った。そこは金持ちが週末に遊びに行くような所で、そこに自分たち家族でずっと住んでた。とても静かだったけど、孤立した場所でもあった。うちの親父はちょっとおかしな奴で酒がすべてなような人で、テレビの批評家をやっていた。母親はヨガの先生をやってて、なんでも自分で解決したがる人だった。
今はニューサウスウェールズ州のノースリバーに住んでいる。ここはブリスベンから3時間くらいのところで、ポニーランドって言う農村の集まっている所に住んでいる。

Q.
音楽に興味を持ったのはいつ頃からですか?あなたが最も影響を受けた作品は?

記憶の限りで一番最初に興味を持ったのは、3歳の時。父がレコードプレーヤーをくれて、沢山レコードを持ってたけど、Arthur Korbというプロデューサーが作ったスパイダーマンとかバッドマンとかが好きだった。
昔に作ったカセットにこのサンプルををたくさん使ったりして、とても印象的だったんだよ。だから自分の作品にもこのテクニックを使ってるんだ!
あと、Yello(スイスのエレクトリカルバンド)が大好き。彼らの音楽は奇異なサンプルを使ったりするんだけど、アグレッシブでクールだね。

Q.
どういったキッカケでハードコア・テクノを知りましたか?

最初のきっかけは友達から借りた1994年のシドニーのハードコアシーンのミックステープ。DJ Nick TT, DJ Geoff the Chef, DJ Vagas,などだね。
同じ年にシドニーのCentral Station RecordsのこのCDを買ったんだ。
https://www.discogs.com/Various-Hardcore-The-Torment-Of-Hell/release/241526

Q.
1994年前後のオーストラリアの音楽シーンはどういった状況でしたか?その頃にテクノやハウスをリリースしていたオーストラリアのプロデューサーを知っていますか?

自分は1994年からヨーロッパのCDやミックステープでテクノを聞き始めて、レイブやクラブに行くようになったんだ。Vibe Tribっていうパーティクルーがシドニーの違法なスクワッドパーティを展開していて、そのクルー達がシーンを作っていたんじゃないかな。その時は誰がプロデューサーとか、DJが何を流しているかとかはまったく気にしていなかった!

Q.
Bloody Fist Recordsのイベントやレコードショップには行かれていましたか?彼等にはどれ程影響を受けていますか?Bloody Fist Recordsであなたのお気に入りの作品は?

2~3回だけBloody Fist のパーティには行った事があるよ。よく覚えているのは20代のころにハウスーパーティに行った時、若いやつらがハードコアレコードを流しているのを聴いて、バカらしいミュージックって思っていて、赤いBloody Fistのロゴがスタンプされたレコードで、多分、FIST01,FIST002あたりだったんだけど。まぁその時自分はうんざりしてた。(笑)

今はBloody fistは好きさ、彼等は本当にバカで良質なオージーミュージックを作っていると思う。初期のMark Nはソウルとかファンクの7インチのブレイクだけのDJセットをやっていて、凄いよかったんだ。まぁ凄い変な音楽遍歴なんだけども!
今はHedonistみたいなハウスミュージックのDJセットにもよく合うこれとか好きhttps://www.discogs.com/Hedonist-Hedonist-EP/master/544263

Q.
Bloody Fist Records以外にもオーストラリアのハードコア・レーベルでお気に入りはありますか?

もちろん!By Geoff da ChefがやっているBLOWNとかがあるよ。
自分が好きなのはこれとかね
https://www.discogs.com/Geoff-Da-Chef-Blown-004/release/52868

Q.
Toecutterとしての活動を始めたのはいつからですか?それ以前は何をされていましたか?
Toecutterの名前の由来は?

ToecutterとしてDJを始めたのは多分1996年初頭からだと思う。1994年と1995年に自分の友達がAmigaで曲を作っていた頃、自分は子供の様にピアノをやっていたんだよ。曲を作り始めたのは1999年になってからかな。
自分が一番影響を受けたのはテキサスの”Culturcide”というグループ。と彼らのアルバム”Tacky Souvenirs of Pre-Revolutionary America” 。

Toecutterという名は、情報、金、ドラッグ、その他を人々のつま先を切り落として得ていた1930年のシドニーギャングの名前から来ている。過激な犯罪はいつも他の犯罪を真似して行われる。Mark “Chopper” Read はそのいい例だ。
Toecutterはタフな響きのDJネームだと思ったんだよ。Toecutterが犯罪者から犯罪を盗むように、俺はミュージシャンから音を盗むのさ!

Q.
Toecutterのデビューライブを覚えていますか?その時は何を使ってライブパフォーマンスをされましたか?デビュー当時はどのジャンルのシーンがあなたの活動をサポートしていましたか?

最初にライブをしたのは2004年のBreakcore gives Me Wood Partyでラップトップを使わないでCDとサンプラーでギグをやった。
BossのSP303とSP404なんかの安くて使いやすいのが好きだった。クラックしたAbeltonを使うまで、Fruityloops 1.0とかSoundForge XPでほとんど自分の曲は作られている。
今はAbeltonの機材を使ってる。なんていったっけ、名前忘れちゃったけど、そのたいしたことない機材。今のブレイクコアシーンはとてもサポーティブになったね、だけどいつもそのシーンに自分はフィットしていないって感じがするんだ。

Q.
System Corruptがスタートしたのはいつですか?レーベルのオリジナルメンバーは?

System Corruptは、DJとバンドのプロジェクトで自分とAl Corruptが始めた。俺らはDJをやっていてDHRやAmbushとか自分達のノイジーなポストテクノをやっていたんだ。
その後、俺はアメリカに行ったんだけど、その間にフリーのスクワッドパーティをやってる人達がSystem Corruptの名でシドニーでスクワッドパーティをやってたんだよ。だから自分は最初のSystem Corruptのパーティに行っていないんだ。

元のメンバーは(多分)Al Corrupt, Hamy Caldwell, Kirralee Zeigeist, 7U, Passenger Of Shit, Null Object, Leigh Rustleと、あと何人か?この頃の事を題材にしてなにかできたらいいんだけどね。その頃はなにもオーストラリアでは始まってなかった、だからほんと楽しかったよ。

Q.
System CorruptからPatric Catani(EC8OR/Candie Hank)のアルバムが2枚リリースされていますが、彼とはどの様にして出会いましたか?

自分がベルリンのDHRで働いている頃にPatricには1999年に出会ったんだ。その頃自分はアニメーターでPhillip Virus とDHRのドキュメントを作っていたんだ。1999年はずっとPatiricと住んでいたよ。「The Sucm like Us」のリリースが大好きで(自分の中で)、でもDHRはこれをリリースしようとしなかったんだ。


Q.
System Corruptは多くのレコードをリリースしていました。どうしてレコードというフォーマットを選んでいたのですか?
System Corruptのレコードは何処の国で人気がありましたか?

Dj Zeitgeistがリリースを影で手がけた人物。彼女のすべてのたゆみない努力と莫大な血反吐を吐くような努力によるものだった。Alと自分はレコードに関しては、もしかしたらメインで始めたコアクルーだったと思う。Zeitegistが提案してくれたんだよ、Alと自分がSplitで12インチを出したら?って。その頃は沢山の人がデストリビューションを手伝ってくれたんだ、だけどZeitgeistに聞くのがてっとりばやかった。

UKのSimon Undergroundがマジでレコードを買い叩いていて、ずっと彼は金持ちのカスだと思ってたよ。まぁ超昔の話だけど。
一番の国はアメリカとフランスかな・・多分?Doormouseが大量の初期のレコードを買ってくれたんだ。なんでかっていうと自分がDoormouseのサンプルを使った曲「Sodomecstacy」が入っていたから。「Milwaukee buys! (ミルウォーキーが買うぞ!)」とか言ってるやつ。

Q.
System Corruptでのお気に入りの作品は?

一番初めのCDリリースだね。いいタイミングで人が集まってたし、いい方向に向かっていて凄く良かった。

Q.
あなたが始めてヨーロッパでライブをしたのはいつですか?その時に印象に残っていたのは?

ShitmatとSickboyとで回った2004年のツアーだね。ワイルドな感じだった、彼らは凄く若かった!自分はその頃、28歳で彼らの父といってもいいくらい年を取っていると感じていたけど(笑)とてもいいツアーだったよ。
2004年に凄くいいと思ってた音楽が、2006年に戻った時まだ同じ感じだったんで、それはだいぶ残念って思ったよ。

Q.
あなたのカットアップで作られる独特なグルーブ感はどうやって生まれているのですか?

わからない、ただ自分の持っている独特のFunk感だと思う。

Q.
あなたのサンプリング哲学を教えてください。あなたが素材としているサンプルにはどういった想いがあるのでしょうか?

自分のママがくれたカセットテープほど神聖な物はないね。Lazarisっていう自分の怒りとポジティブな精神を表現する人のスピリチュアルな音楽なんだけど。それを自分の中古のPCに取り込んで(SoundForgeXPを使って)サンプルするんだけど、すべての音のキーとかも全部覚えてるよ!(笑)
自分は感情を与えてくれるものをよくサンプルする。たとえば、判断つかないような、いろんな音。

自分はアメリカのAmoeba RecordsのJerry CollonaのMusic For Screamingとか、discogだとジャンルがNon-Musicにカテゴライズされているやつが好きだった。そこに自分の起源を見つけたんだ。あと、本当にすきなのは“Fake Music”って言われる、Like A Tim, Die Antwert, Dj Viberaider, Captain Ahabなんかだね。

Q.
Toecutterの代表曲として人気の高い”Best Party Ever”はどうやって誕生したのでしょうか?

これは自分が7歳の時にKool and the Gangをカセットに録音した音源を、2003年か2004年にそのカセットをサンプルしてループさせてRoule style houseのトラックに乗せてそのサンプルを使ったものなんだよね。2004年か2005年のスクワットパーティに初めてデビューした時のパーティ名がBest Party Everっていう名前だったんだよ。みんなクレイジーだったし無秩序で本当に面白かった。

Q.
Toecutterはブレイクコア・アーティストだと思いますか?

いや、そうは思わないね。うん。

Q.
今まで経験した中で最もベストなライブ/ツアーの体験は?

今年のブリストルでやったライブだね。今までで一番ずいぶんおかしなセットをやったよ。それか自分がすべてプロデュースした2017年のブリスベンでやったセット。
16ものオーストラリア特有のバラードをアカペラで歌って、みんな聞き入っていたよ。びっくりしたけどね。その夜即興でやった事はとても成功したんだよ!

Q.
オーストラリアには数々のノイジーで怒れる音楽があります。(Lucas Abela / Bloody Fist / SPK / System Corrupt, など)
どうしてこの様な音楽がオーストラリアには多いと思いますか?

オーストラリアにはたくさんの批判的な素材がいっぱいあるんだ。それは生き方に関してのとってもひどい古い考えの物だったりするんだけど。自分はそれがオーストラリアの文化に根付いているって思っていて、腐った寓話を健康な細胞が食べつくすみたいな。友達のGarry Bradbury(旧名Stevered Heads)はよく「人が“欲しがる”音楽を作れ」ってね。自分はいつもそれをやってきてると思ってる。

Q.
Toecutterの作品でお気に入りは?

今は6歳の息子とコラボしていて、ダウンビートのディスとーションのかかったシンセで作曲をしていてすごい楽しいんだ。ライブアシッドをAbelton Pushを使って作っていて今はそれに満足している。

Q.
Toecutterとしての活動を数年間ストップしていましたが、何故ですか?

特に理由はないよ。子供ができて、本当に忙しかったんだ。あと自分で豚の養豚もしていてね。50匹もの群れを去年世話していたんだ。だから音楽やらツアーの時間が殆ど取れなかった。
でも、今年は4月と5月にヨーロッパをツアーしてきて、10月にはRVLT Festivalに出たよ。2019年の夏には、ヨーロッパツアーをニュージーランドのバンド「The All Seeing Hand」と一緒に回る予定なんだ。とても楽しみだよ。

Q.
今後の予定を教えてください。

農業と音楽、あとアウトドアセックスだね!自分の牧場のポニーランドでフェスティバルをやりたいな!

Q.
最後に読者にメッセージをください。

悲惨な状況で育った動物を食べないこと!家で親しい友人と野菜を食べること!
人には親切にすること!性には寛容に!コンドームはつけること!
年に2回は体の為を思ってドラッグをキメロ!恐れを感じろ!そして飛べ!
何にお金を使うか慎重に考えろ!アホなやつや仕事にお金を使うな!
子供や違う人達と触れ合え!そして世界は不可思議で美しいことを伝えろ!
詳しくはLazarisを読め!
https://lazaris01.worldsecuresystems.com/