耳の肥えたダンスミュージック・ファンから絶大な支持を集めるアメリカの「Chrissy(a.k.a. Chrissy Murderbot)」の来日を記念した特集記事を公開!
ジャングル・プロデューサーとしてのデビュー時期からジューク、ベースミュージックに特化していき、現在のハウス/モダン・レイブ・スタイルへと流れていく中で生み出されていった名曲の数々を紹介致します!
2000年中頃にMurderbot名義で活動をスタートさせ、自主レーベル「Dead Homies」を中心にMashitやBananas Kru NYCといったUSジャングル・シーンを盛り上げていた人気レーベルからレコードを発表。初期はギャングスタ・ラップやR&B、ダンスホール・レゲエのアカペラを使ったUSジャングルらしいタフでハードなスタイルをベースに、ドラムンベース/ジャンプアップからオールドスクールなUKジャングル/アートコア的な要素、ソウルやファンクなどのブラックミュージックのメロウでファンキーなエッセンスをジャングルに落とし込んだキャッチーでインテリジェンスなトラックでジャングル・シーン以外からも注目を集めていました。当時はGeneral MaliceやDJ K、R.A.W.(6Blocc)などのハードコア・ジャングルがジャングル・シーンで人気でありましたが、その流れとはまた別の新しいジャングルの方向性を推し進めた革新的なレコードを多数発表し、ブレイクコアやベースミュージック系のシーンとも積極的に活動を行っていました。
Murderot名義での数あるクラシックの中でも特に印象深いのは、2007年にリリースされた12″レコード『My Streets』収録の「Take Me Away」は、ドラムンベースとゲットーテックを掛け合わせた様なマッシブでブーティーなベースラインに甘くメロウな声ネタを乗せた高次元ミクスチャー・トラックで時代性に捕らわれない名曲であり、同年にDead Homiesからリリースしたグライム/ダブステップ・プロデューサー「Starkey」の『NC-17 EP』に収録されているドラムンベース+ゲットーテック+ベースラインな「Pins (Murderbot Remix)」もジャンルレスなスタイルで現代でも十分に通じます。
他にも、ラガコア系レーベル「Clash Records」からリリースされたギャングスタ・ジャングルの傑作『Dead Homies Anthem / Murderbot Stands In Judgement』も見逃せません。
レコードコレクターでもあり凄まじい音楽知識を持っているだけあって、様々なバックグラウンドと音楽愛が反映された深みのあるジャングル・トラックは、当時も今も色あせない輝きを放っています。
Chrissy Murderbot名義になってからは、新たに立ち上げたSleazetone Recordsからジューク~ディスコ~ジャングル~ガラージ~Raveを混合させた実験的かつオルタナティブな作品を発表。今でいうフットワーク・ジャングルやモダン・レイブ的なスタイルを推し進めていき、自身の作品以外にもSsionやKanji Kinetic、James BraunのEPをリリース。ゲットーテック/ジュークの熱心なコレクターでもあった彼は、自身の音楽にも以前に増してゲットーテック/ジュークの要素を大きく反映させていき、UKのレーベル「WIDE」からシングルを立て続けにリリースし、自身のサウンドとスタイルを新たに形成して行きました。そして、2009年にその時点での集大成的な内容となったアルバム『Sleazetone Records』を発表。その後はジュークの制作をメインに、Planet MuやLoose SquaresからEPやミニアルバムをリリース。2010年に自身のBlogで公開したジュークのミックス・テープと解説記事は、国内のジューク好きも唸らせた歴史的な名作も残しています。
2011年にPlanet-Muからリリースされたアルバム『Women’s Studies』では、ジューク/ゲットーテックにジャングルやダンスホールをミックスしたトラックに、Rubi DanやMC Zulu、Warrior Queenなどのレゲエディージェイをフィーチャーした新種のベースミュージック・スタイルを開拓。その後も、Murder Channelからハウス色を強めたミニアルバム『Greatest Hits ★★★★★』やMachinedrumのリミックス、Chris E Pants名義などでも名作をリリースしていきました。その中でも、2013年にPawnとのスプリット・レコードで披露した「The Original」はMurderbot名義のギャングスタ・ジャングルをアップデートさせた様なアグレッシブなスタイルでフットワーク・ジャングルのクラシックだと思います。
2015年以降からはChrissy名義にて、ハウスやディスコをメインにRaveやベースミュージックの要素を独自配合させたカラフルでメロウなトラックやエディット・トラックを発表しており、今年Chiwaxからリリースされたアルバム『Resilience』は彼がクリエイトして来た全ての音楽的要素を凝縮した様な素晴らしいダンスミュージックの傑作を生みだしました。
定期的に公開されるオンライン・ミックスでは、マニアックな視点を残しながらもダンスフロアの中心から決して離れない職人的なミックスでDJとしてのレベルの高さを証明しています。
プロデューサー/DJとして今もっとも油の乗っている絶妙なタイミングでの来日であり、今後さらに飛躍するであろうChrissyのプレイを是非体験してみてください!
大阪 – NC4K Presents “N.C.4.K.”
11/8(金)22時@noon+cafe(Umeda, Osaka, http://noon-cafe.com/map/
東京 – MIDI_sai feat. Chrissy
11/9(土)22時@江の島CurryDiner OPPA-LA https://oppala.exblog.jp/