パブリブから先日出版された『ブレイクコア・ガイドブック』の特集第二弾は、ブレイクコアのサブジャンルとして2000年中頃に誕生した「レイブコア(Ravecore)」の名曲をご紹介!
レイブコアは名前の通り、ハッピーハードコア~トランス~オールドスクール・ハードコア~ピアノブレイクスといったレイブミュージックのエネルギーとフォーマットをブレイクコアとミックスさせ、よりダンスミュージックに特化したスタイルとして現在は定着しています。
今回ご紹介する10曲はRavecoreの土台を作り上げた曲を中心に、時代を超えて愛されている名曲をピックアップしてみました。
Knifehandchop – Dancemix2000
エレクトロ~テクノポップ~ガバ~ゲットーテック~ダンスホールをマッシュアップしたポップなスタイルでマッシュコアの原型も作り上げていたカナダのKnifehandchopがIrritantから2001年にリリースした特大ヒットチューン。
シンプルなビートとガバキックの上に、Destiny’s ChildとEminemのアカペラを乗せ、中盤から差し込まれてくるユーロトランス調のメロディと組み合わさって一気に多幸感が広がるマッシュアップチューン。世界的に有名なテクノ/トランスDJ達もプレイした事でKnifehandchopの存在は広く知れ渡りました。ちなみに、この曲の元となったのは1stアルバムに収録されている「Dancemix 1992」から。
Aphasic – To The Top Again
DJ Scudと共にレーベル「Ambush」を立ち上げた元祖ブレイクコア・アーティストの一人であるAphasicが2003年にスタートさせた自主レーベル「Junk」からリリースした名盤「Yeah Yeah Yeah Whatever!」に収録されているレイビーでノイジーな名曲。
ピアノやレイブシンセが高速アーメン・ブレイクと合体してカラフルなサウンドを作り上げていますが、所々に鳴っているノイズがAphasicの姿勢とオリジナリティを醸し出しています。
FFF – Murder
レイブコアにおいて最も重要なアーティストの一人であるFFFが2003年にBong-Ra主宰のジャングル/ラガコア・レーベル「Clash」からリリースしたレイブコア・クラシック。
デジタル・ハードコア感のある割れたアーメン・ブレイクとフーバーシンセに、ラガサンプルを乗せたラガコア・チューンながらも後半からは煌びやかで解放感のあるピアノが降り注ぎ、ラガコアとレイブコアの両方の側面を持ち合わせています。
他にも、レイブコアに特化した「Wreck Havoc Vol One」や「The Feeling」といったシングルやアルバム「20.000 Hardcore Members Can’t Be Wrong」に収録されている楽曲は多くのレイブコア・クリエイター達がフェイバリットとして公言しています。
Dev/Null – Rave 3
現在はBlog To The Oldskoolでの活動で90年代初頭から中頃に掛けてのハードコア・ブレイクビーツ~ジャングル~オールドスクール・ハードコアのレアな未発表曲を掘り出して紹介しているアメリカのDev/Nullが2004年にKid606主宰のブレイクコアに特化したレーベル「Violent Turd」からリリースした名盤「E-Boyz Revenge: 230 BPM Eternal」からの1曲。
「E-Boyz Revenge: 230 BPM Eternal」は様々なRaveサンプルを駆使して楽曲が作られており、数々のRaveクラシックの断片が超高速ブレイクビーツによってズタズタに切り刻まれ新しく生まれ変わった異形のレイブサウンドを展開しています。
Bong-Ra – My cock is an aardvark
デビュー当時からRAVEサウンドとジャングルの要素を大幅に取り込んでいたBong-Raが2005年にShitmatとEnduserと共に行ったヨーロッパ・ツアーのプロモーションの為に作られたスプリット作「Monsters Of Mashup」に収録されていたBong-Raの代表曲の一つ。
ハッピーハードコアのアンセムであるBrisk & Ham’sの「On & On」を大胆に使い、ブレイクコアの攻撃性とハッピーハードコアのエネルギーを見事にミックスしたパワフルでキャッチーな1曲。ブレイクコアの持っている反骨精神がまた違った形で表れていて、非常にブレイクコア的な内容でもあります。
Oen Flux – Decimal Point (Get Up)
Shitmat率いるWrong Musicから2007年にChevron(Chevvers)とのスプリットでリリースされた12”レコード「Rave Like A Bastard」に収録されたUKブレイクコア・スタイルが全開したバスタードポップ的な迫力のある1曲。
ハイテンションでストレートなガバキックと早回しされたボーカルに高揚感を煽るレイブシンセが抜群の愛称を見せている隠れたクラシックです。
Pisstank – Punching
90年代後半から活動していたUKブレイクコア・シーンの重要人物であるPisstankが2007年に発表した名盤「Ravecore Anthems」に収録されているレイブコア・クラシック。
レイブコアがタイトルにもなっている事もあって、このレコードによってレイブコアがサブジャンルとしてブレイクコア・シーンで大きな注目を集めるキッカケになったのではないでしょうか。今レイブコアとされているスタイルの土台を作り上げており、このレコードが無ければレイブコアもまた違った形となっていたかもしれません。
Venetian Snares – Husikam Rave Dojo
2000年中頃から後半に掛けてはVenetian Snaresの作風においてもRaveサウンドを取り入れた楽曲が増えていましたが、その中でもレイブコア的な内容のEP「Pink+Green」に収録されている直球なレイブコア・チューン。
ピアノやフーバーシンセの使い方が非常に個性的で他のレイブコアには無い狂気的なサウンドも所々に表れていて流石な仕上がりになっています。Venetian Snaresのレイブコア的な側面が垣間見える「Cavalcade Of Glee And Dadaist Happy Hardcore Pom Poms」と「Detrimentalis」の2枚のアルバムもおススメです。
Eraserhead – Music (weyheyhey !! remix)
Eraserheadの原曲もレイブコアのクラシックとして素晴らしい内容でありますが、weyheyhey !!によるリミックスは原曲の魅力をそのままに自身のサウンドとスタイルを真正面からぶつけた凄まじくパワフルで、レイブミュージックの根本的な要素が全て凝縮された様な恐ろしい程の完成度を持った曲になっています。
Gizmode – Shave Me Baby (Gotta Getta Crew)
優れたプログラミング技術とセンスを武器にレイブミュージックからメタル、ベースミュージックまで飲み込んだハイクオリティな楽曲で人気のGizmodeが2016年にリリースした2作目となるEP「Hairhorn」のオープニングを飾る曲。
Gizmodeらしいメロディの刻みやグルーブにUKハードコア的なエッセンスも交えた2010年代のレイブミュージックをブレイクコアと共にミックスしたエモーショナルでアッパーなクラシックチューン。