Peace Off 特集PT.2

Peace Off特集

ブレイクコア・シーンのトップに君臨し続けるフランスの名門レーベル「Peace Off」の20周年と、同レーベルから数々の名作をリリースしており、レーベルのマスタリング・エンジニアも務めている「Stazma The Junglechrist」の活動10周年ベストアルバムの発売を記念して先月からGHz BlogにてスタートしたPeace Off特集の第二弾は、国内外のアーティスト達によるPeace Offのチャート企画!

ブレイクコアもジャンルとして確立され始めて20年以上が経過しましたが、その歴史の中で何度も革命的な作品を発表し、ブレイクコアを進化させてきたのは間違いなくPeace Offでした。1999年から現在までにサブレーベルも含めてレコードを中心にCD、カセット、デジタルフォーマットで100タイトル近い作品を発表していますが、そのどれもが抜群のクオリティを誇っており、Peace Offのブランド力はブレイクコア・シーンを飛び越えて大きな影響力を与えています。

このチャート企画は、Peace Offの膨大な数の作品の中から厳選された名作が紹介されており、Peace Offの入門編としても楽しめる内容になっております。Peace Offは音源だけではなく、アートワークもどれも素晴らしいのでそちらも合わせてチェックしてみてください!

Stazma The Junglechristの2枚組ベストアルバム『10 Years Of Breaking Things』は、MxCx online storeにて通常版/限定版ともに予約受付中!
http://mxcxshop.cart.fc2.com/




ばいを般若/Biohannya (ヤバイコア/SUNCAQ/CAQARECAC)
https://twitter.com/biohannya

Rotator – Curses On Your Ghettoblaster

PEACE OFFと言えば一時代を築いた伝説のブレイクコアレーベル。
そのレジェンドっぷりはレーベルボスのROTATORなしに語ることはできないし、彼の音楽にはあの当時誰もが衝撃受けたはず。

そんなローテーターらしさが一番出てたド定番だけどやっぱり最強なのがコレ。
重い!強い!かっこいい!わかりやすく三拍子揃ったローテータースタイルで10年以上経った今聴いても色褪せない超名盤。
ラガコア、メタル、ヒップホップ、ハードコアなどあらゆるジャンルをローテーター式ブレイクコアに落とし込んで完璧にネクストレベルに昇華させてるのが凄すぎる。
個人的にライブセットでは未だにサンプリングして使わせてもらってます。

近年は全く動かなくなっていたピースオフだけど20周年の節目で遂に再始動。
BANGFACE WEEKENDERでのテイクオーバー含めワールドツアーも決まってるのでこれを機にまたリリースも復活お願いしたいところ。

Ars Dada
https://soundcloud.com/arsdada

Lalamatron – Bass Cartel EP

まず始めにこれは言っておきたい、Peace Offが長年に渡ってリリースしてきた数々の素晴らしい曲の中から、僕のお気に入りを1つだけ選ぶことは不可能に近いことだ。Peace Offは常にクオリティーの良さは必須、そのレーベルから初めて僕の曲が2012年にリリースされたことは、僕の製作キャリアにおいての評価基準であると思う。そんな訳でフランク(Rotator)とPeace Off へ、20周年おめでとう!

1曲だけ選ばなきゃいけないという事で、僕はあまり知られていない物を選んだ。言ってみれば、レーベルからしてみれば不当なことだろうけど。
Llamatron は僕にとって、確実にトップクラス、最高なベースのマエストロ、間違いなくプロデューサーとしての僕が影響を受けたアーティストである、『The True Norwegian Bass Metal』(Ars Dadaが2014年にPeace OffからリリースしたEP) では特に彼の影響が大きいよ。Peace Offからのリリースで、彼の非常に優れたストリングスのEP も例外ではない。『Bass Cartel』では最初から最後まで、もうメチャクチャに格好いいグルーヴに突き動かされたベースに、メタルが染み込んでいる。WarStep の最高傑作だよ!

僕のお気に入りはタイトル・トラック「Bass Cartel」の、クレイジーなハーフテンポから難なくドラムンベースへ飛ぶもの、それと最後の方のもう頭がまともじゃない、これまでなかったくらいのヘヴィーな連打が入る前、全てがリズミカルに崩れて粉々になっていくような部分だと思う。
グルーヴィーなインダストリアル、メタルベース、Warfareのリリースにハマってる人にオススメだよ!

Babyshaker
https://soundcloud.com/babyshaker

Dr Bastardo – Death To All False Rave

僕にとってこの曲はジャングルコアの音そのものであり、おそらくBabyshakerとしての僕自身の音楽に一番大きな影響を与えたものだ。長年Dr Bastardo の大ファンで、彼には何回か会ったことがあるし、同じパーティーに出演したり、彼が僕の曲のリミックスを手がけた(僕の「死ぬまでにやっておきたいことリスト」ブレイクコア版の1つ)、と言えるということは、本当にラッキーなことだよ。

em(Glocal Pussys / marginal disKo,ex.MEOW!!!)
https://twitter.com/em_meow

Monster X – Disco Zombie Assault

Peace Offとの出会い自体は「Rotator – Choose Your Poison, Mine Is Hardcore!!!」なのですが、レーベルの懐の広さやブレイクコアの可能性を表す作品として、こちらを挙げたいと思います。
私にとって永遠の憧れDJであるC64が、2000年代にPeace Off関連の曲を使いまくったMIXを複数公開しており、Repeater(Collision Repair SpecialistやUltravioletも超名曲!)やCardopusher、Venetian Snares等の曲をぶっこんでいました。それらのMIXの中でも異彩を放っていたのが、この作品に入っている「Mc Eater」です。
この曲の魅力は「ブレイクコアにもテクノやベースセットにも噛み合う、でもどれでもなくてMonster Xの曲」と言う汎用性の高さと孤高の強さ。フィジェットハウス周りで話題になってたっぽい噂もあるようですが、その信憑性に説得力を持たせる構成です。

ブレイクコア=変則的またはガバ系のキックと言う暗黙の了解は刻み方でクリアしつつ、しれっと四つ打ち構成でBPM130ジャスト、音質も良くて圧が強いと言う、異形のダンスミュージック。サイケアウツの四つ打ちやブレイクビーツの曲が好きな人にはぜひおすすめしたい。
「ブレイクコアは踊れる」と色々な現場でプレゼンしていくにあたり、この作品は10年近く経った現在でも妖しい輝きを放っています。

個人的なエピソードではありますが、この作品に惚れ込んでから数年後、Monster Xのライブ(http://ghz.tokyo/2017/11/02/monster-x-japan-tour-in-tokyo/)を生で見られたことは人生の宝物。彼のライブは、リリース音源よりもさらに硬く圧倒的な音質でフロアへぶつけに来るため、インダストリアル系が好きな人は一度体験してみるべきです。

KenKoTaiji
https://soundcloud.com/kenkotaiji

Repeater – Ultraviolet

以前GHzのBreakcore Top3!!! でも選びましたが、これが最高に好きです。
影響を受けたといえばBrothers in Blood 02のTechdiff – Eat Drink Fuckもありこの2つで悩みましたが、
自分にとって1番Breakcore、Peace Offを感じるのがこの作品でしたのでこちらを選びました。
この作品2曲とも大好きでよくDJで使ってます。というかRepeaterが大好きなので結構な頻度で彼の作品は使います。

自分の中で曲として最高ランクに位置するのが、曲を聞いたら「笑いながら壁に頭打ちつけて自殺したくなる」ような曲で、彼の作品はまさにこれなので最高です。本当に大好きです。
このランクの曲は少なく貴重なので自分にとって大事な曲です。

最近インスタでRotatorが本人のアカウントとPeace Offのアカウント作ってたし、Bang Faceにも参加するしで新しい動きに超期待です!

Mathlovsky
https://mathlovsky.bandcamp.com/

Rotator – Choose Your Poison, Mine Is Hardcore!!!

僕が当時15歳、ネットでブレイクコアを探していた頃のことを覚えている。この新しいスタイルの音楽を、クラスト・パンクやケタミン常用者でいっぱいの地元のパーティーで聴いたのがきっかけで、掲示板やSoulseekのチャットルームで探し回った末に、Peace Off を発掘したんだ。メタルやハードコア・パンクが大好きなこともあって、タイトルからして僕の興味は掻き立てられ、聴いた曲には圧倒されて心が解放された。当時の僕のスピリットと精神状態に共鳴する考え方や姿勢にやっと出会えたんだ。音、考え方や姿勢、存在のあり方、やりたい事を好きなようにやりたい時にやる!ブレイクコアが15歳の僕に与えたものとは、このアーティストたちの集まりが、やりたい事を好きなようにやっている、すっかり定着してしまったジャンルじゃなく、色々な物事のやり方。この気持ちは絶対に忘れない。

Peace Offの一員である事を非常に誇りに思っている。Peace Offからリリースし、レーベルを代表するアーティストたちと並んでパフォーマンスするという夢が実現したんだ。自分がやりたい事をやると確信することが、唯一の進歩への道だ。

どんなスタイルであろうがテンポであろうが、真のスピリットはいまだ健在である。

NEVER SURRENDER !

Numb’n’dub
https://soundcloud.com/numbndub

Anarchic Hardrive – Feeding Our Paranoia

Peace Off全盛期のはじめ、当日ほぼ全ての作品がバイナルリリースの中CDフォーマットのみでリリースだったのがこちらの作品です。今から考えても珍しいMC/Vocalを迎えて作られた同レーベル作品でおそらく最初で最後の歌物!?ブレイクコア。もちろん王道PeaceOffサウンドはどツボなんだけど、折角このチャートをやらせてもらうに当たって、レーベル内でも特に異彩を放つこの作品を紹介したく選抜しました。ブリストル(UK)のトラックメーカーチームで構成されてたアナーキックハードライヴ、サウンドはジャングル、ドラムンベース、ガバ、グライム、ダンスホールが基調のブレイクコアで、そこに生のボーカルがサンプリングと勘違いできるレベルで違和感なく入ってます。2019年リリースでもおかしくないくらい時代感が一切ない後にも先にも彼ら以外にない唯一無二のスタイルと音楽性、初耳の方はもちろん、Rotator等メインのリリースに陰に隠れててチェック漏れしてしまった方々は再度チェックしてみください!ちなみに一曲目にOVe-NaXxサンプルが使われております!

WORUZ
http://woruz.tumblr.com/

Rotator – Curses On Your Ghettoblaster

先ずは大好きなPeace Offが20周年ということでおめでとうございます。
アートワークで参加できた経験は今でも人生で最高の喜びの1つです。

Peace Offから2008年にリリースされたブレイクコア・アルバム。Peace Offの最重要人物Rotatorのラガコア、メタル、ヒップホップ、ハードコアを散りばめたブレイクコアが最高の作品。
「Come Get Some」で勢いよく始まるこのアルバムは、いつものRotator節にバンドエッセンスをふんだんに散らせた内容で「Black Flag」ではハードコアの象徴Black FlagのサンプルをRotatorのパワーで暴力的にビルドアップされている。「Untouchables」ではRotatorの別プロジェクトMr.Killを彷彿とさせる黒くて重いブレイクビーツから始まりインダストリアルなブレイクコアが絡む。「Shock Fight Fist」はこのアルバムの大トリに相応しく超攻撃的で前のめりなブレイクコアでこの曲を聴いて一発でヤラレてしまいプレイヤーも持ってないのにLPを購入してしまうくらいハマりまくった。

この曲が僕の考える理想のブレイクコアを体現した最高の一曲です。
ジャケもいつものDzgnbioでそれも最高です。

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翻訳:megumi

次回のPeace Off特集は、Stazma The Junglechrist『10 Years Of Breaking Things』に寄せられた各国のアーティスト達からのコメントを公開!