メタル~ブレイクコア~ハードコアの新たな混合スタイルを提示する注目のアーティスト「TohLPeaks」のインタビューを公開!
去年リリースされたアルバム『Pvnk Rxck』でネクストレベルのダークでエクストリームなサウンドを提示し、国内外のコアなリスナーやアーティストから支持を集められているTohLPeaks氏。レフトフィールドでエクストリームな活動を行っている亡者達の中において独自の存在感を放っているTohLPeaks氏には大きな期待が寄せられており、今後の展開が非常に楽しみなアーティストの一人であります。
今回のインタビューではTohLPeaks氏の世界観を紐解く興味深いお話を聞かせてくれました。このインタビューをキッカケに是非ともTohLPeaks氏の作品をチェックしてみてください。
TohLPeaks
2024年現在、大阪を拠点とするワンマンプロジェクト。2012年ごろから楽曲制作をスタートさせ、ガバやスピードコア、メタルコアなどのジャンルを問わないエクストリームな音楽性を背景に、ブレイクコアやニューメタルのミクスチャー思想を受け継いだ実験的アプローチを続けている。
また、ラップトップ、MIDI コントローラー、マイクと身一つだけで行われるライブパフォーマンスは、リアルとインターネットの垣根を越えて評価されており、拠点である関西だけでなく名古屋、東京、ソウル、VRChat などさまざまな場所で出演している。
近年は FATAL CLUB をはじめとした自主企画のライブイベントを主催しており、関西を中心としたインディーズシーンの活性化と国際的なアーティストの関西でのライブの機会創出に励んでいる。
その他、グラフィックデザイン、映像制作など、多分野に渡る活動も行う。
https://tohlpeaks.bandcamp.com/
Q. ご出身はどちらですか?
出身は東京です。大学から大阪に住みはじめ、なんとなく定住して現在に至ります。
Q. 音楽に興味を持たれたのはいつ頃からでしょうか?
僕の記憶が正しければ、12歳以前は自分から進んで音楽を聴くことはなかったし、学校の音楽の授業は嫌いでした。
たぶん中学生くらいからですかね?ツタヤで J-Pop かなんかの CD を借りていた時期もありましたが(レンタル CD 文化がまだ生きていた時期です)、当時既に捻くれたオタクになっていたので、インターネットで何か面白いものがないか探し始めるようになったと思います。タダで何でも見られましたしね。
といっても、当時の捻くれたガキが取る行動はだいたい同じで、ニコニコ動画を延々と見ていました。VOCALOID 楽曲や東方アレンジ、音 MAD なんかをずっと見ていたのですが、そこでたまたま m1dy さんの楽曲を知りました。それがその後ハードコアテクノに首を突っ込んでいくことになるきっかけになります。
Q. TohLPeaksさんはブラックメタルやハードコア・パンクといったバンド・サウンドからの影響が伺えますが、それらの音楽に出会ったのはいつ頃からでしょうか?ご自身でもバンド活動などはされていたのでしょうか?
実は狭義のブラックメタルやハードコアにはさほど明るくないのです。バンド系で比較的詳しいジャンルとなると、メタルコアやデスコア、ニューメタルあたりですね。どちらかというとちょっとチャラめのを聴いていました。
先にちゃんと聴き始めたのは電子音楽のほうで、メタルやパンクはやや後ですね。17歳くらいのときからかな?その時期はタワーレコードで CD を視聴しては買い、視聴しては買い、を繰り返していました。当時の業界では Djent が流行っていましたね。ちなみにバンド活動をしたことは一回もありません。他人と上手いことやれる協調性が欲しかったです。
shot by piikann
Q. 音楽制作を始められたのはいつからですか?最初に使っていた機材と作っていた音楽のジャンルは?
DAW は10年以上ずっと Ableton Live を使っています。DTM を学び始めるために Reaper の無料版を使っていた時期が一瞬だけありしたが、そのときはまともな作品を完成させられていませんでしたね。
最初はサンプリングだけでスピードコアばかり作っていました。音楽的素養が一切ない状態で作り始めたので、メロディの作り方など一切分からなかったんですよね。海外のネットレーベルなんかでよくリリースされていたタイプの、かなりノイズに近いスタイルのスピードコアを聴いて、「これなら俺でも作れそう」と思ったのと、周囲にやっている人が見当たらず目立てると思って猿真似を始めた次第です。イヤなガキですね。
Q. 最も影響を受けた音楽作品のTOP5を教えてください。
所謂オールタイムベストですね。聞かれるたびに回答が変わる自信があります。
– Aphex Twin – Richard D. James Album
– m1dy – Speedcore Dandy XXX
– Nine Inch Nails – The Fragile
– Slipknot – Iowa
– XXXTentacion – Revenge (コンピレーションのほう)
Q. TohLPeaksとしての活動を始められた経緯を教えてください。名前の由来は?
もともと TohLPeaks は何もないガキが精一杯カッコつけようとして名乗り出したハンドルネームで、後から曲を作るようになったりなんなりし出した経緯があり、つまりどこからが活動開始なのかの線引きが自分でもよく分かっていません。
仕方ないので自分の Discogs ページを確認したら、最初のネットレーベルのコンピレーション参加が2012年でした。そこが TohLPeaks の活動開始、ということにしておきましょうか。
shot by Tomoko Higuchi
Q. 2020年に発表されたアルバム『Peakystyle』からバンド・サウンドを大きくフィーチャーされていましたが、それにはどういったキッカケがあったのでしょうか?
Peakystyle に収録されている楽曲を作っている時期は、自分の中ではまだ電子音楽を作っているつもりだったと思います。
ガバやスピードコアも極端なスタイルとはいえ一応ダンスミュージック、と当時は捉えていたと思うのですが、一方で自分はテクノ的な展開を作るのがかなり苦手だということに気付き始めました。DJに使ってもらうためには、どんなに短くても3分以上はあって、イントロやアウトロをきちんと作って、あまりに急な展開は入れないほうがいい、みたいなルールというか暗黙の了解というかを気にしていたのですね。ただそのマナーに則って音楽を作るのに飽きてきて、いろいろ実験していた時期の曲も入っていますね。それがバンド的、といえばバンド的なのかもしれません。
Q. 現在使用されている機材を教えてください。楽曲はどのようにして作られていますか?
ほぼ全ての作業を Ableton Live で完結させています。ソフトウェアと宅録で全てどうにかしています。お陰様で一向に音が良くなる気配がありません。
制作の手順は時期によっても違うのですが、最近は頭の中に完成形が浮かんでいて、それを目指して突き進むことが多いです。その結果、当初の想定通りのものができる確率は体感で5%くらいです。だいたい横道にそれたり当初の計画が実現不可能だったりすることに気が付くので、そこからは成り行きに任せて制作を進めます。
Q. TohLPeaksさんの音楽にはデプレッションな要素がありますが、これは意図的に音に表しているのでしょうか?
作っている奴がこんなだから勝手に鬱々しくなるんじゃないですか?知らんけど。
Q. 去年発表された『Pvnk Rxck』はどういったテーマやコンセプトがありますか?
特に言語化されたコンセプトがある作品ではないのですが、ダンスミュージック的な機能性をかなぐり捨てた楽曲だけ入れたものではありますね。元々持っていたエレクトロニックの手法を、メタルやパンク、それからヒップホップから受けた影響をブレンドさせたものというか。
Q. 現在、刺激や影響を受けているアーティストはいますか?
オールタイムベストとは別で、ここ数年聴いた中で(自分自身の中では)わかりやすく影響を受けたと思うのは、Blind Equation, JOHNNASCUS, Bring Me The Horizon あたりですかね。
https://blindequation.bandcamp.com/album/death-awaits
https://johnnascus.bandcamp.com/album/sitting-at-the-end-of-the-world
音楽のジャンルというかカルチャーでいうと、最近はエモやゴスの文化について考えたり考えていなかったりしています。それらの文化から派生したミュータントとして、サイバーグラインドやウィッチハウスに注目しています。
Q. TohLPeaksとして発表した曲で特に思い入れのあるものは?
特にないです。自分の中では最新作が常にベストだと思っています。
Q. 音楽活動において挑戦してみたいことや目標としていることは?
海外行きたいです!
Q. 今後のスケジュールを教えてください。
スケジュールがきっちり決まっている予定はさほど多くないのですが、直近だと7/5(金)に自主企画 “FATAL CLUB” を開催します。インドネシアのブレイクコア/サイバーグラインド/ノイズプロジェクトの Individual Distortion から連絡があって、急遽やることになったものです。詳細はこちら↓
https://ra.co/events/1946633
また、フルアルバムを作る計画もあるのですが……こちらについては、2025年にリリースされたら「早かったな」と思ってください。