ブレイクコア~ドラムンベース~インダストリアル~ドゥーム~ダブステップを混合させた強靭なサウンドを駆使したサイバーパンクな世界観で注目を集めるUKのアーティスト/DJ「Gore Tech」率いるレーベル「EXE Project」のインタビューを公開!
EXE ProjectはGore Tech、Aaron Spectre、Kink & SnareのEPリリースや毎月更新されるポッドキャスト/ミックス・シリーズでドラムンベース・シーンからインダストリアル・テクノ、ベースミュージック・シーンまで幅広い層のリスナーから支持を受けていて日本でも欠かさずチェックしている人も多いと思います。
特に彼等のポッドキャスト/ミックス・シリーズでは毎回ユニークなアーティスト/DJ達によるスペシャルなミックスが配信されており、いち早く最新の音楽を知る事が出来ます。近年はドラムンベースだけではなく、一風変わった刺激的なテクノやエクスペリメンタルも取り入れていてドラムンベースやベースミュージック系リスナーにそれらのジャンルの面白さを伝え新たな扉を開かせる重要な役割を果たしています。
このインタビューではレーベルを代表してGore TechにEXE Projectのテーマやリリース形式、現代の音楽シーンの流れなどについてお話をお聞きしました。
そして!このインタビューに合わせて特別にGHz Blogの為にGore Techがエクスクルーブ・ミックスを提供してくれました!
前半はGore Techのニューアルバムからの新曲も使われた最新のベースミュージックをメインにしたダークでエクスペリメンタルかつダンスフロアでも十分に機能するトラックで構成されていて、後半からはEXEからリリースされたドラムンベース・トラックのみで纏められたEXE ProjectとGore Techのコアな部分が見事に表現されたミックスとなっています!
是非インタビューを読みながらミックスをお聴きください!
Q.
“EXE Project”のメンバーはどうやって集まりましたか?EXE Projectが正式に始動したのはいつからでしょうか?
EXE Projectは何人かのメンバーで動かしていてそれぞれが異なる役割を担っているんだけど、通常は核となる4人のメンバーが企画や出資をしてるんだ。レーベルやイベントグループとしての色が濃いから、物事を表面化させるのに相当な時間がかかる。プロジェクトが正式に始動したのは2015年だね。
Q.
EXE Projectのコンセプトとスローガンは?
EXEはコンピューターで使う実行ファイルの拡張子「.exe」から名付けたんだ。物事の発端となる地点、言うなれば「α」という意味合いが込められている。あと、ドラフトであがってきたロゴのデザインが気に入ったっていうのもあるね。僕たちのミッションはただひとつ、「先進的な考えのエレクトロニック・ミュージック」を発信することさ。
Q.
EXE ProjectからはGore Tech、Aaron Spectre、Kink & Snareのドラムンベース・スタイルのEPがリリースされています。EXE Projectはドラムンベース・レーベルなのでしょうか?
今のところは自分たちが楽しめて、たまたまリリースが可能だったトラックをリリースしてみたって感じだね。今後も色々なサブジャンルの作品をリリースしていく計画がある。もしかしたらポッドキャストやミックスのほうが、僕らの音楽的なセンスをより正確に反映しているかもしれない。あとこれと同じように、イベントのラインナップもより多彩なものにしていきたいと思っているよ。
Q.
毎月EXE ProjectはDJミックスを配信しています。どれも非常に興味深い内容のミックスですが、どうやってDJミックスを担当するアーティストを見つけてくるのでしょうか?これまでに配信した中で特にお気に入りのミックスはありますか?
ミックスは送られてきたものだったり、自分たちの知っているアーティストが新しく作ったものだったり色々だね。常にアンテナを張っていて、新しい提案にも耳を傾けるようにしている。
お気に入りのミックスがどれかっていうのは難しい質問だね。でも、Hecqのミックスをリリースした時はすごくエキサイティングな気持ちだったよ。このミックスはHecqが当時作成していた新しい音楽を盛り込んだものだった。あと、たくさんのDJミックスをリリースしてきたAaron Spectreのミックスを聞いた時も興奮したね。でも本当にすべてのミックスが気に入ってるよ。全部最高さ。
Q.
あなたはアグレッシブなドラムンベースをプレイしていますが、最近のエクスペリメンタルなドラムンベースに関してはどう思われていますか?
確かにドラムンベースは僕たちがEXEとしてやってきたすべて、そしてGore Techにおいての基礎になってる。あと、他のジャンルと比べてバリエーションが豊富だと思うし、今でも限界を超えていっていると思うんだ。最近はダークでインダストリアルな新しい音楽からインスピレーションを得ることが多いよ。高い予算をかけたサウンドだったり、細部まで作りこまれたサウンドである必要ではないんだけど、挑戦心に溢れていて素直に練られたアイデアには心を動かされるね。
Q.
EXEのリリースやイベントはどれ位ダンスフロアを意識していますか?フロアやDJ達からのリアクションはEXEにとってどれ位重要なのでしょうか?貴方達はダンスミュージック・シーンで活動していると思いますか?
興味深い質問だね。EXE Projectを始めた理由の一つとして、エレクトロニック・サブカルチャーの中には素晴らしい音楽が溢れていて、ひとつのサブジャンルに焦点を絞れないということに気づいたっていうのがある。これは他の音楽ファンも同じことを感じているんじゃないかな。僕たちがオーガナイズするイベントも多様な参加者や音楽スタイルで溢れている。ダンスフロアが一夜のうちに悲しい雰囲気になったりクレイジーな雰囲気になったり、はたまた困惑したような雰囲気になるのを見るのは本当に楽しいよ。僕は自分たちがやってきたことを今後も退屈なものにするつもりはないし、ありふれたサウンドに負けないように新鮮なアイデアを発信し続けていくつもりさ。
Q.
ストリーミング・サービスに関してはどう思われていますか?貴方は物体の無いデジタルだけの音楽にどうやって価格を見出していますか?
今の消費のスピードは音楽シーンにおいて新しい音楽を生みだす要因にもなっています。ですが、この現象はポジティブな結果となるでしょうか?
これはまた面白い質問だね。デジタル配信には他のレーベルが使っているようなサービスを使っているよ。でも僕たちは作品にある意味「物理的な価値」を付加することでより長く愛される作品を作ることができるんじゃないかと考えている。僕たちの最新リリース「EXE-D003 – Kink & Snare – Mech EP」はデジタル配信だけなんだけど、数日かけてガンプラを組み立てたあと、特注のステッカーを貼ってパッケージ用の写真を撮ったんだ。これでデジタル配信にも「物理的な価値」を付加することができたと思う。
デジタル配信が主流の現代、音楽が“非現実的”に感じたりすることもある。ただ僕の考えでは、利益だけを求めて大量の作品を配信するのではなく、リスナーに敬意を払ってじっくりアイデアを練ったり品質に気を使ったりすることで、作品の本当の価値を伝えることができるんじゃないかと思っている。
Q.
近年ハードコア系ドラムンベース・アーティストが別名義にてインダストリアル・テクノをリリースする事が多くなっています。Adrian Stainburner (Hostage), Fyerhammer (The Teknoist), Climaxim (Limewax), GHOST 303 (Cooh), Ghost In The Machine (Eye-D & Nils van Lingen)など。
何故インダストリアル・テクノが最近になってまた人気になったのでしょうか?インダストリアル・テクノはドラムンベースと親和性が元々あったのでしょうか?もしくは、近年の社会情勢などが音楽シーンにも影響を与えていると思いますか?
彼らに関して言えば、ドラムンベースに関わってきたのと同じくらいの期間、テクノやインダストリアルにも関わってきている。おもしろいのが、新しいテクノのルーツは、必ずしもオールドスクールなテクノにあるわけじゃないみたいなんだ。どちらかというと、初期のインダストリアルにルーツがあるみたいだね。Godflesh、Sunn O)))、Scorn、DHRは僕もずっと個人的にファンだった。AnsomeやGhost In The Machine、そしてPercなんかも彼らに影響を受けていると思う。
インダストリアル・テクノが流行している理由だけど、2000年代のものすごくポジティブでハイエナジーだったレイヴカルチャーの熱さから、少しダークな雰囲気のものが必要になってきている時代なんじゃないかな。歴史的に見てもこの流れは初めてってわけじゃない。80年代後半から90年代のアシッドハウスシーンはフリーパーティーカルチャーやエクスタシーの影響もあって超ハイエナジーだったけど、その後Aphex TwinやAutechreみたいなアーティストがWarp Recordsから出てきて、ダークで病的なサウンドをプレイし始めた。Planet Mu、Wrong Music、BGMW(Breakcore Gives Me Wood)が登場した後、またハイエナジーな周期に戻る。二日酔いみたいなもので、しばらくはこの破滅的でインダストリアルなサウンドが流行するだろうけど、またハイエナジーな周期に戻る時が来ると思うよ。
Q.
EXE Projectは日本のアニメーションや日本文化のイメージを作品に使われています。貴方のお気に入りの日本のアニメーション/音楽を教えてください。
アニメや漫画は大好きなんだ!でもお気に入りと言われると迷うな。大友克洋氏や士郎正宗氏はもちろん大好きだよ。最近だと弐瓶勉氏(ABARA、BIOMEGA、BLAME!等)の作品もたくさん読んでるね。漫画はたくさん読んでいて、日本のデザインには常にアンテナを張るようにしている。世界的に見ても緻密で丁寧に考えられているからね。音楽に関して言えば、日本は非常に挑戦心が溢れている印象がある。THE MAD CAPSULE MARKETSやAA=、Merzbowはよく聴いてた。最近だとChurch of MiseryやGoth-Trad、Borisなんかも聴くかな。
Q.
EXE Projectの今後のスケジュールを教えてください。
今年はミックスやリリースに焦点を置いて活動してきたけど、今後はより多くのイベントやリリースをやっていきたいと思ってる。一方で今は時間をたっぷり使って、EXE Projectをじっくり発展させていきたいとも考えてるんだ。メンバー全員が他のプロジェクトに取り組んでいるから、急いで何かをするっていうことはなさそうだね。とはいえ素晴らしい音楽が送られてきていることも事実だから、もう少し頻繁にリリースをすることもあるかもしれない。2018年の終わりに向けて、Transmission Podcastをやることも考えているよ。
EXE Project
http://www.exe-project.com/
https://soundcloud.com/exe-project
https://www.facebook.com/forwardthinkingelectronicmusic/
翻訳 : 2mg
https://soundcloud.com/yuta2mg
https://twitter.com/8bit_punk