5 Tips for DTM(PT.2)

5 Tips

DTM初心者の為の5Tips企画の第二弾!
前回に続いて今回も豪華なアーティストの方々が協力してくださりました!
DTMを始める前の方は勿論、既にDTMをされている方やバンドマンの方にも是非読んで頂きたいです。
参加してくださったアーティストの皆様の音源はどれも素晴らしいので、DTMの参考も含めて是非チェックしてみてください!


End.User
https://end-user.bandcamp.com/

Q1.自分に合ったDAWの選び方は?

僕にとっては、作業の流れへの観点を満たすものなら何でも使うことだ。それと、やりたいことであれば、他のアーティストと気軽にコラボレーションできるものも含まれる。長年トラッカーを使っているけど、一緒に作業したい人に簡単にファイルを送ることができるんだ。だけど、別のソフトウェアを使っている人とコラボしたい場合は、音声トラックをバウンスするか、曲からサンプルキットを使わなければならない。ここ数年は、Abeltonをよく使っていて、それにrenoiseをリワイヤする、こうすることでrenoiseで気に入っているたくさんのオプション機能を使い、全般的な配置はAbeltonのシーケンサーを多く使うよ。

Q2.DAWを買った次は何を入手すべき?

僕はあちこち移動が多いから、ツアー先での作業にはヘッドフォンが一番重要だった。モバイルのセットアップで曲作りができて、後でスタジオにアクセスできたり、自宅へ戻った時にミックスダウンができる。DAWを手に入れたら、チュートリアルをチェックするのがすごく重要だよ。それか、使い方を知っている友達からコツを教えてもらうといい。それと、VSTの世界に飛びつく前に、まずソフトウェアに組み込まれているエフェクトとインストゥルメントをチェックすること。型にはまらずに達成できることがたくさんあるよ。

Q3.曲作りの練習法は?

結局はユーザーと曲に行き着く。アイディアがどこから来るかによって、行ったり来たりして進まないことがある。最近は、曲全体の構造を作ってから、後で細かい部分を追加する方法が多いけれど、以前は逆に、いきなりクレイジーなエディットをたくさんして、そこから構築していくやり方だった。ユーザーと共に徐々に変わっていくと思っているよ。曲作りの間、退屈したくないし、決まったやり方で自分を追い込みたくはないはずだ。曲作りの過程に柔軟に対応することが必要だと思う。

Q4.オススメのサンプルパックなどの素材があれば教えてください。

Bandcampで無料のサンプルパックをリリースしているアーティストはたくさんいるけど、僕はISRとFragment audioのサンプルパックのファンなんだ。現在は、ISRのサンプルパックに取り組んでいるけど、Spliceでも手に入るようになるよ。サンプルライブラリ全般じゃなく、単一のサンプルをダウンロードできる月額サービスがある。ドラムや特定の楽器の個々のヒットを探すのにいいと思う。特定のキーにアコーディオンが必要な場合、多分ここで見つかるはずだよ。ソフトシンセ用のプリセットやパッチもたくさん手に入るだろう。

Q5.音楽制作を楽しむ秘訣とは?

同じ音や同じ曲作りの方法にこだわらないことかな。自分に厳しくし過ぎないことと、一度にいくつものことをしないことだ。飽きてしまったり、行き詰まったら、他のアーティストの曲をリミックスしてみるといい。コラボレーションには気晴らしになる手段がたくさんあるよ。新しいことを試してみて、そこから学ぶことができるいい方法だと思う。

Atsushi Izumi
https://soundcloud.com/atsushiizumi

Q1.自分に合ったDAWの選び方は?

自分はAbleton Liveですがライブセットの構築が行い易い所、他のソフトウェアより楽器を扱ってる感覚に近く、体感的に総クリック数も少ない気がするので気に入ってます。
今年からApple Logic Xも使ってますがユニークな付属シンセやシーケンサーもあり、ソフトそれぞれで湧いてくるヒントも違うので、今から始める人はデモ版全部触ってみて決めたら良いと思います。

Q2.DAWを買った次は何を入手すべき?

バックアップ用HDD/SSD 過去メインマシンのデータ飛ばした事もあるので、あって損は無いと思います。
振り返るのは良くない、と聞きますが、過去の未完成プロジェクトを数年経って開くのも案外発見があって楽しいです。
あとは、Voxengo SPAN(スペクトラムアナライザー)は無償なのでとりあえずダウンロードしてたら役に立つと思います。
https://www.voxengo.com/product/span/

Q3.曲作りの練習法は?

始めた頃Seba&Paradoxの曲をアレンジャービューに貼り付けて、ドラムブレイクの部分をカット・ペーストして曲作り紛いみたいな事してました。
MIDIとか全部無視 最初は波形のエディットしか出来なかった。その作業でショートカットキー(Ctrl+V=ペーストの様な)も自然に覚えました。
いびつでも良いのでとにかく聞きながら画面上を埋めれば良いと思います。

Q4.オススメのサンプルパック(無料/有料どちらでも)などの素材があれば教えてください

ここ数年サンプルパックは使いませんが、古いけど気に入ってたのは「ELASTIK HARDTECHNO VS SCHRANZ / BOX」
https://ec.crypton.co.jp/product/detail/29360
スマホのマイクで集音して素材にするのも良いと思う

Q5.音楽制作を楽しむ秘訣とは?

伝統楽器でも競技でも無いし 自由なスタンスでやれば良いと思います

Hitori Tori
https://soundcloud.com/hitori-tori

Q1.自分に合ったDAWの選び方は?

お勧めについては、僕の個人的な経験から話すよ。コンピューターで曲作りをする場合、視覚的には刺激的ではあるけど、プログラムのアレンジメントビューのオプションが多すぎて、ユーザーを圧倒しないDAWを勧める。個人的には、コンピューターの画面がソング・アレンジメント、オートメーション・エンベロープ、ウェーブフォーム、ピアノロールなどで散らかっていたら、気が散ってしまって曲作りどこじゃない。見た目がとても合理化されているから、サウンドトラッカーを使って電子音楽を正確に作ることを絶えず楽しんでいる。トラッカーは基本的に、一定の論理的なフレームワーク内に整理された縦列の数字である。そう、必要ならサウンドに関してもっと詳しくアクセスできるけど、大抵はデジタルのキャンバスに一度に1つのパターンを編集することに限られる。

僕がもっと若かった頃は、Player Pro Trackerを使っていたよ。色々なエディタービュー・オプションがあったけど、ソングシーケンスは特定の順序で配置されたパターン(テキスト)の名前で表されていた。このトラッカーから視覚的に刺激を受けたとは言えないけど、音楽制作をしていた時、ウェーブフォームやピアノロールに夢中になるよりは、音楽のシンタックス(構文)にもっと集中していた。23年後の今もまだトラッカーを使っているよ。サウンドデザインから、レコーディングギア、曲のアレンジまで全てにRenoiseを選んでいる。Renoiseは スナップショットで曲の進行状況を知らせるパターン・マトリックスビューなど、先進的な特徴がある機能を備えた最新のトラッカーだ。過去に使った一部のトラッカーとは違って、Renoiseにはマクロとミクロの両方の曲の要素をユーザーに気づかせる便利なツールが多くついている。

Renoiseが好きな主な理由は2つある。

1)使いやすさ/柔軟性:プログラムのオプションでナビゲートするのは簡単で、僕がやりたいことを正確に実行する。外部の機材と簡単にシンクして、柔軟なMIDIインプリメンテーションが可能になる。このことだけでも、音楽制作において本当に素晴らしい選択だよ。
2)安定性:Renoiseはバッファの問題がなく、ライブではほぼ完璧に作動する。このプログラムで3つのインスタンスを簡単に開くことができ、プレイ中に異なる曲のファイルを各インスタンスに置き換えれば、長いセットを行うことができる。

つまり、DAWを選ぶ時・・どんなシーケンサー/エディターにすでに満足しているか?と自分に問いかけてみる。音楽ソフトで使用されているものは、似たようなコンセプトが時々あるから、よく知っているスマホアプリや無関係な物理的なガジェットを考慮してみる。ピアノロールGUIを使ってメロディを書くことだけに満足しているか?Logic、Ableton、FL Studioを含む多くのDAWは、楽器、機器を制御するピアノロールGUIを実行する。「ピアノロールDAW」は、こういったことが好きなら良い選択肢だろう。音楽制作の全体的な目的は何か?自分は音楽制作を楽しんでいるか?パフォーマンスするために音楽制作をしているのか?最終目的がパフォーマンスなら、DAWがライブに備えてどう役に立つかを検討してみるといい。

Q2.DAWを買った次は何を入手すべき?

ヘッドフォン、いいミキサーとモニタースピーカーを揃える。もちろんこれは僕の意見にすぎないけど、おそらく妥当な順序だと思うよ。優先事項としては、新しいミキサーに接続する前に、コンピューターを直接モニターに接続して、ダイナミクスのサウンドがどう聴こえるか判断することをお勧めするよ。音の大きさに注意を払う、ベースはどう響いているか?高周波音はどうか?をチェックするといい。

次に、コンピューターをミキサーの入力チャンネルに接続して、ミキサーをスピーカーに接続する。入力レベルとゲインを調整すると、さっき聴いたダイレクトなサウンド(コンピューターからスピーカーのみ)と一致することがとても重要だと思う。コンピューターを直接接続した時と同じ音量にする。これを初期段階でやっておけば、ミキサーを通して聴こえる固定レベルは、コンピューターから出る音に対して「真」のサウンドになる。この「ミキサーバランシング」は、見落としがちだけど、初期段階では重要なことなんだ。ミキサーのチャンネルに接続するだけだから、すぐに音楽制作を始められる。入力レベルのゲインは、聴こえてくるサウンドのダイナミクスに大きな影響を与える可能性がある。早い段階でミキサーを通した「真のサウンド」を封じ込めることによって、全く問題なく聴こえるサウンドを変更するように言ってくるマスタリングエンジニアを省くことができて、頭を悩まさずに済むよ。音楽制作では、ヘッドフォンを断続的に使うこと。全てがバランス良く聴こえるように、ヘッドフォンを使うのは時々でいい。ヘッドフォンだけとか、モニタースピーカーだけという使い方はしないことだ。両方使って、最終的なミックスのサウンドがうまくいったかを確認する、マスタリングへ送る前に少なくとも両方で確認することだ。


Q3.曲作りの練習法は?

僕が現在やっていることは、ブレイク系の音楽には、ドラムを作成することから始める。最近は、Korg Electribe ESX-1サンプラーを使って、ドラムブレイクを作るのが好きなんだ。サンプラーで作成したブレイクループを、Renoiseのインストゥルメント・スロットに直接サンプリングする。次に、そのサンプルのEQ処理に少し時間をかける。音楽制作プロセスの初めに酷いサンプルを使っても無駄なだけ、判断ミスは先のことに影響するからね。だから、ドラムブレイクのパーツを3つの別々のトラックに分ける。1つのトラックは高周波数サウンド用(クッリクやハイアット)で、1つは中周波数サウンド用(スネア)、そして3つ目のトラックは、低周波数(ベースキック)のため。つまり、ブレイクのパーツは「サンプルオフセット」パターンコマンドを使って、それぞれのヒットの周波数に応じて3つのトラックに分けられる。ブレイクのヒットをもっと際立たせるために、各トラックで基本的なEQ調整を行う。各トラック(エフェクトチェーンの各EQ調整のすぐ後)にごくわずかなディストーションを適用して、一部のトランスジェントを「均等化」するのに役に立つ。ドラムブレイクのサウンドに「ダイナミックにバランスが取れている」と納得したら、ブレイク全体を1つのサンプルとして再度レンダリングする。ループサンプルに良いダイナミクス処理を確実にするのに役に立つから、全てのドラムはこうやって仕込むんだよ。

メモ:うまく仕込んだ「バランスのとれたブレイク」のコレクションを保存しておけば、今後作る曲にすぐに利用できるようになる。

次に、カスタマイズしたばかりのドラムから、Renoiseでいくつかのパターンを作成する。8パターンを超えるいいリズムにする。Roland A-01などのベースシンセを接続して、作ったリズムに合わせてファンキーなベースシーケンスを作る。スタジオで他のシンセを使って、さらなるベースシーケンスを作成する。もっとやり易くするためには、最初のシンセが録音された時と同じキーに、他の全てのギアを確実に調和させる。例えば、使った元のベースシンセがFシャープで調和されている場合、Intellijel MetropolisはシーケンスのスケールをFシャープにプログラムする、など。だから、それぞれ約8バーの長さのベースラインを6〜8つ作成する。Renoiseのインストゥルメントに直接録音し、ベースラインを曲のパターンに入力して曲全体のシーケンスの長さを効果的に増やす。ベースラインに合わせて、ノート/パッドを付け加えて、曲を4分間のシーケンスに延長する。曲はまだ完成していなけど、全体的な構造は間違いなくできている。

さて、もっと集中して聴くために、DAWから一度離れて別の環境で今まで行ったことを聴き返してみる。シーケンスをWAVファイル/mp3にレンダリングして、Renoiseアプリケーションを完全に閉じる。DAWを見ていると全体的な曲の感じ方が時々変わることがあるから、DAWから離れて「進行中」の曲を聴く方がいい。リスニングセッションでは、mp3プレーヤーか同様のデバイスで曲を再生して聴きながら、紙か電子メモパッドにメモを取る。メモは、曲の中で何を変更したいかを明確に、簡単に、時間基準で書く。

例:
0:00 – 0:12 ボーカルサンプルを追加する(ディランの叫び声)
0:29 – 0:49 コードを追加+前から残っているノートを削除
0:59 – 次へ行く前に激しいトランジション・サウンドを追加する・・など・・
1:44 – 1:48 ドラムを消す
3:40 – 4:15 エンディングを作成する

聴き終わったら、Renoiseでもう一度曲を聴いて、メモしたことを片付けていく。メモを取ることで、曲を完成させることが本当に簡単になった。メモと照らし合わせたら、曲は基本的に完成だ。完璧だよ、これでまた休憩を入れてリフレッシュしてから、最後のバージョンを仕上げる。

Q4.オススメのサンプルパックなどの素材があれば教えてください

市販のサンプルパックについてはよく知らないけど、使うことには反対はしていないよ。1998年にYamaha A-3000サンプラーと一緒にサンプルパックCDを貰ったんだ。入っていた色々なサウンド・スニペットは問題なかったと思う。サンプルのサウンドを良くするのは、完全に「ユーザー」の能力によるということが気に入っている。EQとエフェクトを適用することで、元のサンプルよりはるかにいいサウンドに変えることができるし、やりがいがあった。でもそうは言っても、無料のサンプルが一番だと思うな。インスピレーションを探しているなら、オンラインで入手できる無料のループ(例:www.looperman.com)を検索して、おもしろいと思うサンプルを自分なりにカスタマイズしてみる。自分でエフェクトとEQを適用することで、今後作る曲に独自のサウンドをリサイクルできるし、手間も省けるよ。便利な音楽兵器の宝庫を作り上げて欲しい。

Q5.音楽制作を楽しむ秘訣とは?

最近は、自分の音楽機材の限界を探るのが楽しいんだ。「今日のセットアップでOctatrackを一番変わった方法で使うにはどうするか?」とか、「全てのパーカッションにポリフォニックシンセをどう使うか?全てのメロディに自分のドラムマシーンをどう使うか?」なんて考えることがあるよ。まあもちろん、僕のアイディアはバカげていることもあるけれど、それを実行するのは楽しいものだよ。やりがいがあることを楽しむことが、僕を熱中させ、楽しみ続けられる理由だと思う。

翻訳:Megumi