本質に忠実なインダストリアル・ハードコアの美学と理念を継承し、ブレイクビーツやベース・ミュージックを貪欲に取り込んだオルタナティブなスタイルを提示するDJ/プロデューサー「Miyuki Omura」によるレーベル「Perfect Education」が始動!第一弾として4月29日にリリースされるコンピレーション『THIS IS OUR METHOD』の発売を記念して、レーベル・オーナーであるMiyuki Omuraさんへのインタビューを公開しました!
『THIS IS OUR METHOD』は、Miyuki Omura、Holly、Coakira、Engage Blue、Smile Demonといった海外からも高い評価を受けているアジアのハードコア・プロデューサー達に加え、オランダからThe Outside Agencyがゲスト参加した豪華な内容となっています。インダストリアル・ハードコアを軸に、ダークでハードなダンスミュージックとしてのハードコア・テクノをパッケージした見逃せないコンピレーションです。
今回のインタビューでは、レーベル・オーナーであり、本作をキュレーションしたMiyuki Omuraさんに、Perfect Educationを立ち上げた経緯や現在のアジアのハードコア・シーンについてなど、『THIS IS OUR METHOD』の背景に迫っています。4月29日には中野heavysick ZEROにてリリース・イベントも開催されますので、そちらにもぜひ足を運んでみてください。
『THIS IS OUR METHOD』はレーベルのbandcampにて予約受付中です。
Q. Perfect Educationを立ち上げた経緯について教えてください。レーベルのコンセプトや目指している方向性はどのようなものでしょうか?
これまでいくつかの海外レーベルからリリースさせていただき、ありがたいことにフルジャケットのヴァイナルも2枚出すことができました。その後、海外を中心に少しずつファンベースが広がり、プロダクションにも自信が持てるようになってきたタイミングで、「自分のレーベルを持ちたい」という想いが自然と強くなっていきました。
また、現実的な側面として、音楽を届ける仕組みやロイヤリティの扱いにおいて、より透明性を持って自分自身でコントロールしていきたいと考えるようになりました。加えて、レーベル運営も主体的に責任を持って取り組んでいきたいと思ったことが、大きなきっかけの一つです。そして何より大きな理由は、アジアには素晴らしいアーティストが数多くいるにも関わらず、海外へ繋がる機会がまだ限られている現状への悔しさです。Perfect Educationは、その架け橋となるようなレーベルを目指しています。
Q. 第一弾作品となるコンピレーション『THIS IS OUR METHOD』は、どのような流れで制作されたのでしょうか?コンピレーションのテーマや参加アーティストが集まった経緯についても教えてください。
レーベルの最初のリリースは、コンピレーションアルバムにしたいと最初から決めていました。一番の動機でもある、日本やアジアのアーティストを海外に紹介したい、「こんなにかっこいい人たちがいるんだ」ということをしっかり提示したいという想いがあったからです。
コンピレーションのテーマは、クラブユースを前提としたシリアスな歪み系ハードコアです。ここでいう“シリアス”とは、音楽のスタイルだけでなく、そのジャンルに真剣に取り組んでいる姿勢や、ぶれない活動を続けているアーティストだと自分が感じた方々に参加していただきました。そういった意味でも、この作品は一つのスタンスを提示するものになっていると思います。
また、「インダストリアル・ハードコア」と銘打っていますが、ジャンルの枠に縛られすぎず、表現の自由さも感じてもらいたいと考えています。そのため、BPMなどの細かいレギュレーションはあえて設けていません。
Q. ゲストとして参加しているThe Outside Agencyとはどのように出会い、交流が始まったのでしょうか?『THIS IS OUR METHOD』に招かれた理由についても教えてください。
今回このプロジェクトに参加いただくにあたり、直接コンタクトを取ったのはDJ Hiddenです。初めてお会いしたのは、2014年に東京で開催された「Sprout」というイベントでした。当時、私も少しだけ運営のお手伝いをしていて、そこでのプレイに強い衝撃を受けたのを今でも覚えています。当時のCDJは現在のようにシンク機能も一般的ではなかったと思いますが、3デックで展開されるセットは本当に圧巻でした。
Sproutをきっかけに交流が始まり、その後もオランダで食事に連れて行ってもらったり、Thunderdomeに招待していただいたりと関係が続いています。The Outside Agencyは、自分にとって長年リスペクトしてきた存在であり、こうして繋がりを持てていること自体がとても特別なことだと感じています。
今回参加をお願いした理由も、その信頼関係とリスペクトがベースにありますし、このプロジェクトのコンセプトを象徴する存在だと感じたからです。快く参加してくださったことに対して、今度は自分が日本でしっかりとお返ししていきたいと思っています。
Q. 『THIS IS OUR METHOD』はインダストリアル・ハードコアのリスナー以外では、どのような音楽が好きな人におすすめできますか?
クラブミュージックが好きな方にはぜひチェックしていただきたいですが、サウンドとしてはかなり振り切った作品だと思います。その中でも、広い意味でのインダストリアル・ミュージックが好きな方には特に響くと思いますし、最近では音ゲーをきっかけに歪んだキックやハードなサウンドに触れた方にも、興味を持っていただけたら嬉しいです。
いわゆるキャッチーで分かりやすい音楽ではないかもしれませんが、その分それぞれの楽曲にはサンプリングや音作りにさまざまなギミックが仕込まれています。細部を聴き込んでいく楽しさもこの作品の魅力の一つだと思っています。
Q. ご自身でレーベルを立ち上げてみて感じたことや印象に残っていることはありますか?
まず大きかったのは、設立時の資金の確保です。また、最終的にすべての判断と監修を担うことになるため、その責任の大きさを強く実感しました。これまでも楽曲制作やアートワークに関わる中で、ある程度自由に表現させていただく機会はありましたが、レーベルにはそれぞれのカラーがあるので、常に100%自分の理想を反映できるわけではありませんでした。
そうした環境の中でプロの方々からサポートを受けながら成長させていただいた実感はあります。実際にレーベル運営を一人で担ってみると、これまで関係者の方々が行っていた業務の多さと大変さを身をもって理解しました。。今回はリリースパーティーも控えていたため、スケジュールに間に合わせるプレッシャーも大きく、その中で最善を尽くしてきたつもりです。
改めて、迅速に対応してくださった関係者の皆様には感謝していますし、現在はそのすべてを含めて大きなやりがいを感じています。
Q. 中国やシンガポールのイベントにも出演されていますが、日本以外のアジアではハードコア・テクノはどのような状況にあると感じましたか?
中国やシンガポールはいずれもクラブカルチャーが大きく発展してきていると思います。実際にプレイしてみて、オーディエンスの熱量がかなり高く、プロモーターの方々もとてもプロフェッショナルだと感じました。
一方で印象的だったのは、ローカルアーティストのパフォーマンスレベルが高いにも関わらず、海外ゲストDJのブッキングが中心になりがちで、地元のタレントが十分に評価されにくい構造がある点です。特に中国では、その状況に対する問題意識も高まっているようで、ローカルDJにも適正なギャラが支払われるべきだという議論が起きていたと聞きました。
自分自身も海外から招聘される立場なので単純な話ではありませんが、呼んでいただいた以上は、そのイベントができる限り持続可能な形で続いていくよう、プロモーション面でも協力していきたいと考えています。
Q. 昨年から今年にかけて、インダストリアル・ハードコアにはどのような変化が起きていると感じますか?共感するアーティストやレーベルがあれば教えてください。
自分の知る範囲で、比較的新しい動きとしてインダストリアル・ハードコアに絞ると、フランスのManu Le MalinによるMKNK Records、スペインのREER Community、アメリカのKilbourneが運営するHammerheadなどが印象に残っています。いずれも共通しているのは、自国のアーティストを積極的にフックアップしていこうという強い意思が感じられる点で、その姿勢にはとても共感しています。
ヨーロッパの大きなシーンはエージェンシーや既存のネットワークの影響力が強く、新しく参入するハードルは依然として高いと感じています。そうした背景もあり、自分たちでレーベルを立ち上げ、コミュニティを形成しながらローカルシーンを発展させていこうとする動きが、より強まっているのではないでしょうか。こうした流れはインダストリアル・ハードコアに限らず、現在のクラブミュージック全体に見られる傾向かなと思います。
Q. 近年、ハード・テクノがハードコア・テクノの要素を取り入れ、BPMも上がり歪んだサウンドが増え、境界が曖昧になってきているように感じられます。ハードコア・テクノのプロデューサー/DJとして、現在のハード・テクノとハードコア・テクノの関係をどのように捉えていますか?
サウンド面では共通する要素も確実に増えてきていると思いますが、自分自身は両者を完全に同じものとしては捉えていません。ハードコア・テクノは、長年培われてきたカルチャーや、その背景にある思想、DIY的な精神性も含めて成り立っているジャンルだと感じています。
現在のハード・テクノの爆発的な広がりは、コロナ禍以降に加速した印象があり、ある意味では異なる文脈から発展してきたもののようにも見えます。ただ、今まさに強いトレンドであり、多くの人が関心を持っていることは間違いないと思います。また、シュランツも再び注目を集めていますが、自分自身も昔から聴いてきたジャンルの一つです。
今後どのように進化していくのかはとても注目していますし、両者は対立するものではなく、お互いに影響し合いながら変化していく関係だと捉えています。
Q. 日本のハードコア・シーンはここ数年でどのように変化していると感じますか?その中で、インダストリアル・ハードコアはどのような位置にあると思いますか?
ここ数年で、日本のハードコア・シーンはコミュニティとしてのまとまりが確実に強くなってきていると感じています。定期的にイベントが開催されるようになり、シーンとして良い循環が生まれてきている印象があります。また、以前と比べてよりアンダーグラウンドな音楽でもイベントを実現しやすくなってきており、リスナーも含めて、シーン全体で支え合っている空気を強く感じています。
その中で、インダストリアル・ハードコアはまだマイノリティな存在ではありますが、だからこそ今はジャンルとしての認知を広げていく段階にあると考えています。その入口として、Perfect Educationが興味を持ってもらえるきっかけを少しでも増やしていけたら嬉しいですし、その積み重ねがシーン全体の広がりにも繋がっていけばいいなと思っています。
Q. Perfect Educationの今後の展開について教えてください。
やりたいことはたくさんありますが、実現するまではあまり言いすぎないようにしています。まずはコンスタントに、妥協のないクオリティでリリースを続けていくことが一番の目標です。
2026/4/29(Wed)
Perfect Education x Terrordome invites Tripped
Nakano heavysick ZERO
OPEN 14:00 – CLOSE 20:30
前売り: ¥3,500(+1D)
DOOR: ¥4,000(+1D)
【B1 Floor】
Tripped B2B Miyuki Omura
V:SiTOR (Live)
Bishamon
Coakira (Live)
Holly
kanashima
Ko-Shan
tcmz
【B2 Floor】
belbetQ
Bound Round
HARETSU
Hi-Rose
Mercury
Reverse16
TYPE-O RISK SYSTEM
Vespiner
VJ :
SIGMA/ASTE
hurafura
前売りチケットは以下のサイトにて販売中です
https://miyukiomura.stores.jp/items/69a66d43cbce520042d6e02c
