Aaron Spectre – The Quickening

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3月にリリースされたEP『Computorr』でも圧倒的過ぎるサウンドとクオリティを我々に再び叩きつけたAaron Spectreが早くも新作を発表!

『Computorr』と同じ方向性を持った作風でありながらも、今作はバンド的な側面をクローズアップした力作。Aaron Spectreではジャングルやドラムンベース、ブレイクスをクリエイトしていましたが、今作はどちらかというとDrumcorps名義に近い内容。天才的なドラムプログラミングがさらにアップデートされ、ジャングルの自由さとマッシブさにドラムンベースの実験性とハードコア・パンクのメンタリティを高次元で混合させる事に成功し、またもや未開の地に辿り着いています。
1曲目「The Quickening」ではマスコアやプログレッシブ・メタル、もしくはモダン・ジャズの様なフリーキーでタイトなドラミングをダンスミュージックの中に流し込み、機械的でありながらも人間的な質感を感じさせるグルーブがあり、ブラックミュージックのフィーリングもどことなく匂わせ、カテゴライズ不可能な新しい何かを生み出しています。2曲目「Megiddo」からはさらにハードコア化が進み、グリッチ+パンクなドラムンベース「Radio」と「Drumcorps – Burning (Aaron Spectre Remix)」まで一気に駆け抜けます。

『The Quickening』を別の角度から開拓すると、The Dillinger Escape PlanとHellaにBillainを混ぜ合わせた様なカオティックなサウンドでダンスミュージックとマスコア/ポスト・ハードコア系を繋ぐ新たなミーティングポイントとも言える内容になっており、Limewaxが『Zombie Vs Zombie / Casino』や『Romance Explosion EP』の頃に表現していたドラムとベースだけで他は最小限に抑えたミニマルながらもドラムパターンは増殖していく殺傷力の高いドラムンベースの流れにもシンクロしたシンプルな美学が映し出されています。
『Computorr』と『The Quickening』は長きに渡る実験の成果が形となってきており、過去作『Building The Panopticon』や『Say More Fire』をアップデートさせた集大成的な物になっていますが、Aaron Spectreはまだまだ進化する事が確実となっているのも解ります。