さて、お待たせしております。2回目の連載。今回は具体的にDarkstepを中心とした主要なHard DnBアーティストを紹介していきましょう。今回は国籍ごとにまとめてみました。意外と音楽性とお国柄の繋がりや勢力分布も見えてきて面白いかもしれません。Drum & Bassというくくりで検索してDIGろうとしてもなかなかお目当ての音に巡り会えないもの。加えてハード系、ディープ系などちゃんとサブジャンル分けされてるところもなかなかありません。かなりざっくりした感じですが是非この記事を参考にして頂きたい!
[イギリス]
Technical Itch
いまだ現役バリバリトラックを作るシーンのオリジネーター。
現在のDarkstepプロデューサーの多くは彼に影響を受けてこの道を志しました。
Dylan
Freak Recordings, Therapy Sessionの創始者。現在はDnBシーンの一線からは退いている。
Donny
来日もしました、本業はゲームのサウンドクリイター。
Halfstepの手法をDarkstepにもたらしたのは彼の功績といっても良いでしょう。
Audio
超大御所NeurofunkプロデューサーであるにもかかわらずDarkstepシーンにも精通。
これぞHard DnBといえる、へヴィでマッシブなベースサウンドが特徴。
Dylan、Panacea、Donnyともコラボトラックを作っている。
他には:
Dom & Roland, Kryptic Minds & Leonswitch, B key, The Sect, Unknown Error, Kitech, Fortitude, Malicious 等
[オランダ]
DJ Hidden
来日経験有り。シネマティックでホームリスニングからダンスフロア向けにも対応のインテリジェンスあるトラックが特徴。
ほぼあらゆるタイプのエレクトロニックミュージックも作れちゃうまさに天才です!
Eye-Dとコンビを組み、Hardcore TechnoユニットThe Outside Agencyとしても活躍。
Sinister Souls
Dubstepに始まり、Crossbreed、NeurofunkとHard Bass Musicの”今”を体現してきたユニット。
1stアルバム”Beat The Drum Hard”は超名盤で、CDは日本でもなかなかのセールスだったとか。
他には:
Noisia, Black Sun Empire, Bong-Ra, Eye-D 等
[ドイツ]
The Panacea
世代的にはTech Itch等と同格なキャリアのアーティスト。
ダークな曲からGabbaやHappy Hardcoreを彷彿させるレイヴィーでアッパーな曲までいろいろと極端なお方。
DJパフォーマンスも圧巻です。
Current Value
Darkstepの概念を破壊してしまった神格的アーティスト。
Bjorkのトラックメーカー/リミキサーを務めたこともあり。
IDM、Breakcore、Industrial等ジャンルの枠を超えて広くリスペクトされている。
他には:
Dean Rodell, DJ G-I-S, OTM 等
[フランス]
Katharsys
例えるなら、鉄骨だけで作られた建物のような音。
重く鈍いドラムの音とメロディックな要素をほとんど排除した楽曲が特徴。
[イタリア]
Hallucinator
ジェイソンマスクの二人組みユニット。
初期のころはダークでニューロティックな曲調だったが徐々にHardcore要素の高い方向性にシフト。
デスメタル/デスコアなサウンドも特徴的。
[スペイン]
Dub Elements
PRSPCTからアルバム1枚をリリース後、Darkstepシーンからは退いてしまった。
Dubstep、他Bass Musicなら何でも作れて現在はEDM寄りなシーンで活動している。
Erre + Hardlogik
変り種Crossbreed(一時期”Bumba”と称していた)を作るプロデューサー。
実はErreもCrossbreedブーム以前からDnB+Hardcoreな音を作っていました。
[ベルギー]
Peter Kurten
実験的でサイコなトラックを作るDarkstepの中でもかなりアングラに位置するプロデューサー。
メタルコアバンドのメンバーだったキャリアもあり。
Sincoreとのユニット、Antichristusでも活動。
[ポーランド]
Switch Technique
TOAとほぼ同時期にDarkstep+Industrial HCな曲を”Hybrid”と称して提唱していたプロデューサー。
のちに自身もCrossbreedという呼称を使い始める。一貫してダークで禍禍しい音が特徴。
Brainpain
DubstepとDarkstep/Skullstepが得意なプロデューサー。
[チェコ]
Forbidden Society
日本大好き、我らのFSおじさん。
SLAYER大好きなメタラーなプロデューサー。
メタルだけでなくラップのサンプリングも多く、男気溢れるタフな音が特徴。
[ブルガリア]
Cooh
あらゆるジャンルの曲が作れてイラストレーターとしても活躍する天才な人。
DnBはテッキーかつインダストリアルでハードな音が特徴。Balkansky名義では凶悪なへヴィダブステップを制作。
[ポルトガル]
Fragz, C-Netik, BSA, Dkaos
まとめて紹介してしまいますがPRSPCTと並んで勢いのあるYellow Stripe Recordsのメンバー。
Crossbreed/Hardcore DnBが得意。地元ポルトガルのイベントも大盛況だとか。写真はC-netikとFragz。
[アメリカ]
Evol Intent
Hip Hop,Dubstep, EDM, Trap等の要素を盛り込んだまさにアメリカンなダークサウンドの3人組ユニット。
メンバーはそれぞれBro Safar、Treasure Fingers、Computer Clubのソロ名義でも活躍。
SPL
こちらもDarkstepシーンから退いてしまうが現在もDnBを含めてBass Music全般を広く作るプロデューサー。
今の音楽性からは考えられないようなダークな音が特徴的でした。
他には:
Dieselboy, Ewun, Gein, Spktrm, Hostage, Empire X 等
[ロシア]
Lucio De Rimanez
Current Value、LimewaxのSkullstepをさらに拡大解釈して変態的で独創的なドラムの曲を作っていたプロデューサー。
現在は制作をしていないようなのでとても残念。。。
Ganchar & Ruin
中高学生ぐらいの年齢ですでに第一線で活躍していた双子のプロデューサー。
ハードなDnBを作っていたがCrossbreedを経て、現在はどちらかというとHardcore寄りの人に。
その他:
C.A.2.K, Receptor, Triamer, Nagato, B-Soul, Suicide, SA†AN 等
[ウクライナ]
Limewax
Breakcoreアーティストを多く輩出してきたウクライナ出身、Skullstepの代表アーティスト。
テクニカルで激烈、そしてユーモラスなドラムワークは天才的といえるでしょう。The Hardway,
Goldberg Variations, Looh等いろんなプロデューサーとユニットを組んでいる。現在はオランダ在住。
[南アフリカ]
Counterstrike
来日経験有り。Darkstepシーンの代表的なアーティストの一人。皆の兄貴的な存在。
メンバーの一人Justinは現在チェコ在住。
その他:
Damage-Inc 等
[ベネズエラ]
Zardonic
メタル/ロックネタ大好きの覆面プロデューサー。
ダークとメインストリームのCyber DnBの中間的な音が特徴。
[日本]
Anode
日本が世界に誇る大阪のプロデューサーAnodeさん!
Tech Cycle, Perkussiv等からリリースされています。
その他の国のプロデューサー:
Mystification (ハンガリー)
Centaspike (オーストラリア)
Nanotek (ニュージ-ランド)
Freqax(ルーマニア)
Throttler(ギリシャ)
等々
プロデューサーの次に知っておきたいのはやはりレーベルです!
やっぱりそれなりにシーンは大きかった…というべきか、語りだすといくらでも出てきてしまうので要チェックの11レーベルを厳選して大紹介。
一部潰れてしまって音源入手困難なレーベルもありますが知識として抑えておいて損はないでしょう。
DARKSTEP重要レーベル11選
Dylan主催の伝説的レーベル。
LimewaxやCurrent Valueをこのレーベルで知った人も多いでしょう。
Tech Itchと合体したTechnical Freaks RecではLimewax、Audio、Current Value等
大物アーティストのフルアルバムのみをリリースした。
Barcode Rec
SporやChase & Status も在籍していた老舗レーベル。
後期にはDonnyやLDR、Current Valueのリリースが冴え渡っていました。
Tech Itch / Penetration
B key , Kryptic Minds & Leon switch等も当時在籍。
後にGein、NanotekやLimewaxのEPもリリースされるが現在はオーナーのTechnical Itchのソロリリースに注力されている。
Position Chrome
Panacea主催。中期以降はアッパーでハードコアなDnBを多くリリース。
Coohを世に輩出したのも大きな功績でしょう。
PRSPCT Rec
現在最大勢力なHardcore x Drum & Bassレーベル。
サブレーベルではさらにいろんなHardcoreアーティストが在籍しています。
Yellow Stripe Rec
PRSPCTに次ぐHardcore DnBレーベル。主催パーティーにはDope D.O.DやNinja Koreを呼ぶなどの攻めっぷり。
Ad Noiseam
IDM/BreakcoreのレーベルだけどDarkstep系の重要リリースも数多くあり。
DJ HiddenやBroken Note, Teknoist等がリリース。
Ohm Resistance
インダストリアルロックやポストハードコアなど生音系のリリースも扱うレーベル。
Silent KillerやJoanna Syze等がリリース。
Mindsaw Rec
すでに運営終了。katharsysやHallucinaor他、多くのアーティストが無名時代にここからリリースしていました。
Black Hoe Rec
アングラDarkstepネットレーベル。
ハードさよりもダークさ、マニアックな音が強みのレーベル。
Battle Audio Rec
新興Darkstepレーベル。
初めて名前の聞くプロデューサーや若手が多く参加しているので今後要注目のレーベル。
その他列挙(アーティストの名をそのまま冠してるレーベルは割愛)
Offkey Rec
Human Imprint
Algorythm Rec
Bad Chemistry
LB Rec
Genosha One Seven Five
Union Rec
Future Sickness Rec
Nekrolog1k Rec
Tech Cycle Rec
Evil Beats
Melting Pot Rec
Section 8 Rec
Guellira Rec
Killing Sheep Rec
Ex Machina Rec
Heresy Rec
等々。
やっぱり挙げだすとキリが無いので今回はこの辺で!
気になったらDiscogs等でリリースをチェックしてみてください!!
WRITER PROFILE
Drum & Bass のプロデューサーにして日本唯一のHardcore DnB パーティー、“Sprout”のオーガナイザー。メタルコアバンドのヴォーカリストとして音楽活動をしていたが2004年からDrum & Bassの地に足を着け,現在の”3×6”の名義でプロデュース/DJ業を開始する。オリジナルトラックにはアニメやゲームからの サンプリングを使用したものが多く、ナードとドープの狭間の独特の世界観を持っている。海外のDarkstep/Crossbreedのアーティストとも親交があり、過去にCurrent Value, Counterstrike, DJ HIdden, Forbidden Societyといったトッププロデューサーを日本へ招聘、自身のパーティーに出演させるなどしている。近年の活動としては新たにレーベル”ICONOCLAST RECORDINGS”を始動。国内若手プロデューサを集めたコンピレーションアルバムや自身のEPをリリース、今後もレーベルを通してアンダーグラウンドダークミュージックシーンの発展に貢献していくだろう。
アイキャッチ作: yuqwe.