Peace Off 特集PT.5

Peace Off特集

GHz BlogでのPeace Off特集も遂に最終章!

今回は、Peace Offの看板アーティストの一人であり、マスタリングエンジニアとして2010年以降のPeace Offの殆ど全ての作品を手掛けているレーベルにとって欠かせない重要なアーティスト「Stazma The Junglechrist」のベストアルバム『10 Years Of Breaking Things』をStazma自身が解説したセルフライナーノーツを公開!

『10 Years Of Breaking Things』は、Peace Offからリリースした数々の名作EPから厳選されたブレイクコア・クラシックを中心に、Murder Channel、PRSPCT、BRKといったレーベルからリリースしていた素晴らしい完成度を誇る名曲を収めたStazmaのベスト盤であり、2010年以降のブレイクコア・シーンの流れをパッケージングしたともいえる歴史的なCDとなっています。

ブレイクコア・ファン以外にも、ブレインダンス~ドリルンベース~ジャングル~ハードコア・テクノ~メタル~アシッドなどのファンにもオススメです!
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イントロダクション

皆が手にしているのは、2枚のCDという形になったタイムトラベルマシーンだ。僕のミュージック・プロジェクトStazma The Junglechrist は、2018年で10周年を迎え、僕がこの10年間にやってきたことの大きな証しをオファーして皆と祝いたかった。初期の頃のサンプルがベースのマッシュアップから、最近の主にアナログ・シンセサイザーがベースのもっとメロディアスな曲まで、この2枚のCDはずっと旅して来た。

1枚目のCDは、僕が過去にリリースした EPから気に入っている曲を選んだ。数々のレーベル、言うまでもなくPeace Off や、Structural Damage 、Cunt Gang、 Acroplane 、BRK 、PRSPCT 、そしてMurder Channel 。
2枚目はコンピレーションとリミックスや、他のアーティストのアルバムに出演したものから曲をピックアップした。長いことこういうものを作りたいと思っていたが、要約これらたくさんの曲を1つにまとめることができた。

2008年から2018年までの僕のタイムトラベルを皆へ贈る。
ジャングル、IDM、ハードコア、ガバ、ダブ、グラインドコア、アシッド、サーフロック、パンクとか色んな音がしょっちゅう乱交しているようなものさ。ルールも何もないこの30曲(2018年終わりにちょうど30歳になったばかりで当然のナンバー)

スタジオやステージで、この30曲のノイズを作曲したりパフォーマンスしたりものすごく楽しかった。これを聴いて皆にも楽しんでもらえるといいな。そのうちツアーで会おう!

Disc-1 / 10 Years Of Breaking Things

Rudyz Breaking The Dancehall [POFF KC 07]

これは僕にとって1番最初のリリース曲。Rotator がMyspaceで見つけて僕に声をかけてくれたんだ。今聴いてみると、サンプル・カッティングのミスや不要なディストーションなんかが全部分かる。だけど、違うスタイルの音楽からサンプルをたくさんかき集めて1つの曲へまとめるのは本当に楽しかったし、今だに笑顔になるよ。この曲は99%サンプルで作ったもので、現在の曲作りの方法とは全く違うと言える 。

Coconuts and Cocaine [POFF DIGIT 01]

『The Lucky Strike EP』は、僕の大好きなレーベル Peace Off から曲をリリース出来るなんて、とてもラッキーだと思ったからこのタイトルをつけたんだ。Peace Offにとって初のデジタルシリーズなのも嬉しかった。このEPは楽しむってこと以外のコンセプトは何もないんだけど、結果的にこの曲になった、このEPに入るに相応しい数少ない「ハッピー」な曲だと思うよ。

Your Computer Is Under Arrest [ACPR021]

303 スタイルの音を曲に使うのが以前からずっと好きだった。僕にとってジャングルビートとアシッドのミックスは、山の頂上へ駆け登るとか完全に我を忘れて何時間もダンスしたくなるような感覚なんだ。このEP はAphex Twin とSquarepusher から受けた影響がベースとなった音の最初の1つだよ。

Drunken DSP [POFF LTD 25]

Rotatorに Peace Off からヴァイナルのリリースをしないかと言われ、初のソロリリースということもあって最高にハッピーだった時のことを覚えている。当時の僕は全てのことに腹を立てていた。感じ取れると思うけど、明らかに今まで作った中で1番凶暴な曲だ。このEPの中では1番凶暴な曲ではないけど、おそらく僕の音楽を定義するには最もふさわしく、当時の、また現在のStazma を表すいい例だ。

Apocalypse with Le Crabe feat. Mike Redman [BRK-vin-02]

Le Crabe とはリヨンでBRKのパーティーで会ったんだ。彼のライブセットはもっとパンクでたくさんのヒップホップとノイズの影響があって、シーンの中で見てきたものとは何かとても違うものだった。彼とは仲良くなって連絡を取り合っていたよ。彼の声や歌詞がすごく好きだったから、コラボしないかって何回か誘ったんだ。しっかり計画した初の完全なコラボ・リリースだよ。スタジオでレコーディング中のMike (Deformer) にこの曲を送ったら、一緒にやろうと言ってくれて、結果的にすごくいいものが出来上がった。僕らのBRKの友達によるリリースだっていうのは頷けるよね。

Allergic Itching [MURCD-040]

Itchでは、新しい自己表現を見つけ始めた、以前よりも凶暴ではないけど、もっと複雑で旋律的な作曲。色々な新しいテクニックにチャレンジしてみたし、Moog Sub Phatty と Xoxbox を全ての曲に多用した僕とアナログ・シンセサイザーのラブストーリーの始まりでもあるんだ。 またこういう形でやってみたい。

Disc-2 / Re-Compiled

Jungle Destroyer [OFJ002]

僕にとって本物のジャングルとは、ハードでエネルギーに溢れたものでなくてはならない。僕のジャングル系の曲はいつも音がブレイクコアすぎるんだけど、そういうのも好き。4分間の曲で1つのスタイルだけに集中するのって大変なんだ。

Gameboy Physical Destruction – Planet 93 (Stazma The Junglechrist Too Many Dead Punxxx Remix) [JXFBits #5]

これは、長く僕のライブセットのイントロに使っていた曲。Gameboy Physical Destruction は、僕がリヨンで出会ったバンドで、Johan(ギタリスト/シンガー)とはいい友達なんだ。始まりから全然電子音楽じゃない曲をリミックスしたのは初めてだったけど、すごく楽しかったよ。歪んだギターの音をメチャクチャにしたり、スクリーミング・ボーカルは常に熱いよね。

Gore Tech – Heretic (Stazma The Junglechrist Beauty in Violence Remix) [POFF DIGIT 23]

僕の相棒Gore Techとは同世代で、彼のすごくダークで捻くれたようなアプローチのドラムンベースの大ファンなんだ。このリミックスは、僕が影響された連打の激しいUKハードコアから、90年代のIDMに少しのインダストリアル・メタルまでをミックスしたもの、これら全部をGore Techの音楽に合体させる作業は最高に楽しかった。

Melt.Spc [MR.CD.02]

これは、あるレーベルからコンピレーションに参加しないかと誘われて作った曲だよ。ハードコア・テクノ系のレーベルだったから、完全にUKハードコアの曲をほとんど面白半分に作ってみたんだ。まあちょっとしたチャレンジだったよ。

Metalworker [GHZ-005]

この曲も同じく僕が影響を受けた色んな音のスーパーミックスだ。ジャングルっぽい音を残しながら、ギター、スクリーミング・ボーカルやアシッドを加えたり、すごく楽しかった。言っておくけど、このスクリーミングとギターは僕なんだ、サンプルは使ってないよ!

Enduser – Shut Down (Stazma Acid Shower Remix) [STDigi018]

Lynn(Enduser)と初めて会ったのは、彼が Bong-Raとツアーをしていた2011年、Ad Noiseam 10周年パーティーだった。彼らをボルドーからリヨンまで車で連れて行ってあげてね、楽しいドライブだったよ!それから連絡を取り合っていたし、同じパーティーでもよくプレイした。このリミックスは、僕のスタイルと言えるもの全部を詰め込んで、彼のスタイルと組み合わせた。原曲のヴァイブは残しつつ、新しい展開を加えてみた。

翻訳:megumi
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Stazma The Junglechrist
メタルやパンクなどのバンドミュージックのアグレッシブさとブレイクコア、ジャングル、ブレインダンス、IDMなどの緻密なビートと電子音を高いレベルでミックスした次世代ブレイクコア・サウンドで10年代のブレイクコア・シーンを牽引するフランスのJulien Guillotによるソロプロジェクト。

2008年にフランスの名門ブレイクコア・レーベル「Peace Off」のコンピレーションLP『The Kamikaze Club 07』でデビューを果たし、翌年にCunt Gangから初の単独EP『The Crump Punk EP』を発表。Structural DamageからのEPやBreakcore.NLのコンピレーションへの参加を得て、2010年にPeace Offから『The Lucky Strike EP』を発表し、ブレイクコア・シーンにおいて注目の存在となる。その後もスキルを高めていき自身のサウンドとスタイルを更新し続け、2011年にPeace Offからリリースした『Napalm Junglist』で圧倒的なクオリティのブレイクコアをシーンに叩きつけ衝撃を与えた。活動初期はCardopusherやRotatorなどのPeace Off系統のラガコアやメタリックなブレイクコアをベースにしたアグレッシブなスタイルであったが、2013年にAcroplane Recordingsからリリースした『Acid Bleed』からアシッドやIDM/グリッチを大幅に取り入れたメロディアスなアシッドコアの楽曲も発表していく。2014年に発表した『A Giant Skull Made Of Guns EP』ではインダストリアルやノイズといった実験的な要素を巧みに使った新しい感覚のブレイクコア・サウンドを作り上げてアーティストとしての幅の広さと実力の高さを証明してみせた。
 
2016年にMurder Channelからリリースしたミニアルバム『Itch』では、モジュラーシンセを大幅に取り入れたメロディアスでオルタナティブなアシッドコアを披露。優れたプログラミングに加えて、Stazmaの作曲家としての才能も見事に現れた名作として未だに人気が高い名作となっている。近年はPRSPCT RVLTからの12″レコードのリリースやDJ Skull Vomitとのコラボレーション・シングル、EnduserやMonster Xのリミックス・アルバムで強烈な個性を発揮しており、今後のブレイクコア・シーンを背負って立つ存在となるであろう。