Peace Off 特集PT.1

Peace Off特集

ブレイクコア・レーベルの中で最も人気とクオリティを兼ねそろえており、ハードコアやドラムンベース・シーンからも支持を受けている名門中の名門レーベル「Peace Off」が今年20周年を迎えるのと、Peace Offの看板アーティストの一人である「Stazma The Junglechrist」の10周年記念ベストアルバムのリリースも合わせて、GHz BlogにてPeace Offの特集記事を数回に渡って公開致します!

第一弾となる今回は、Peace Offの歴史を簡単に纏めた紹介記事!
Peace Offの入門編となるリリースやブレイクコア史に残る永遠の名作を取り上げていますので、知っている方も知らない方もこの機会に是非チェックを!

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ブレイクコア・シーンで絶対的な存在感を放っている大物アーティストである「Rotator」を中心に1999年にフランスでスタートしたPeace Offは、同年にRotator、Kids Return、SlamといったPeace Offの初期メンバー達の楽曲を収録したコンピレーションLP『The Kamikaze Club 01』と、当時はMCとの2組ユニットであった「Rotator Kids(Rotator)」とPeace Offの設立メンバーでもある「Slam」とのスプリット『Rotator Kids vs Slam』を発表してブレイクコア・シーンに登場。DHR、Praxis、Ambush、Kool.POPが開拓した初期ブレイクコア・スタイルをベースとしつつも、より幅広いジャンルを取り込みながらストレートなパンクアティチュードを持ったダンサブルでパンキッシュなブレイクコア・サウンドを披露しました。
翌年の2000年には、初期のUKブレイクコア・シーンの土台を作り上げた偉人の一人「Parasite」と後にPeace Offの主要メンバーとなるフランスの「Electromeca」によるスプリット『C’mon PunXXX !!! Counterattack !!!』と、90年代後半からブレイクコア・シーンで活躍していたドイツの「Society Suckers」とフランスの「Slam」のスプリット『United On The Warpath!!!』、そしてコンピレーションLP『The Kamikaze Club 02』をリリース。当時はまだブレイクコアとデジタルハードコアの境目が一部で曖昧であった所に明確なブレイクコアの姿勢とサウンドを提示した功績は大きいと思います。


2000年以降には、Peace Offはサブレーベルを立ち上げてブレイクコアのフォーマットを広げていきます。ダンスホールやラガのセクシャルでダーティーなバイブスにジャングルやドラムンベース(テックステップ)のマッシブな部分を組み合わせた「Damage」や、IDM/グリッチの手法をブレイクコアに落とし込んだ実験的かつアグレッシブな作風を取り扱った「Mutant Sniper」、ストレートなハードコア・テクノをリリースする「Bang A Rang」といったサブレーベルから続々と革命的なレコードをリリースしました。ブレイクコアの表現方法を完璧に理解しているYann Dub のマスタリングと、ビジュアルそのものがブレイクコアなDzgnbio のアートワークによってPeace Off はトップクラスの品質を誇っており、Peace Off がフランスで開催していたイベント「Kamikaze Warfare」はBreakcore Gives Me Wood と並んで00 年代のブレイクコア・シーンを代表する大規模なイベントの一つでした。




そして、Peace Offは新人発掘においても突出しており、ブレイクコア・シーンを代表する存在となったアメリカの「Xanopticon」やフランスの「Electric Kettle」、「Repeater」、イギリスの「Dr. Bastardo」、「Broken Note」、ベネズエラの「Cardopusher」といったアーティスト達のデビュー作はPeace Offからリリースされています。
2000年中頃から後半にかけて、Peace OffとそのサブレーベルからはRotator『Dissident Sound Maniak Part 1.0』、Cardopusher『Hippie Killers Don’t Mind Jah Conversations』、Broken Note『Fueling The Fire EP』、Mr Kill『Haters Want War』といったブレイクコアの歴史に残る名作を連続してリリース。
Peace Offには世界中のブレイクコア・ファンから大きな期待を寄せられていましたが、その期待を毎回上回る作品をリリースし、Peace Offはブレイクコア・シーン以外にも大きな影響を与えていました。2000年後半からスタートしたダブステッ専門のサブレーベル「Ruff」ではメタルやハードコアのエッセンスを巧みに活かしたダブステップのリリースでブレイクコア・ファンからダブステップ・ファンも魅了していました。



2010年以降は、Stazma The Junglechrist、Ruby My Dear、TechDiff、Sa†an、Gore Tech、Ulcerium、Hitori Tori、Ars Dadaといった新しい世代のブレイクコア・アーティスト達をフックアップしてブレイクコアのアップデートをおこない、停滞気味であったブレイクコア・シーンを再び盛り上げました。
2015年にサブレーベル「Bang A Rang」からリリースされたオランダのハードコア・アーティスト「DJIPE」の『Misophonia』以降は目立った動きが無かったものの、今年開催されるBANGFACE WEEKENDERにて、Peace Offの20周年を記念したテイクオーバーが行われる事になり、世界中のブレイクコア・ファンを驚かせました。




まだまだPeace Offについては取り上げたい作品はありますが、今回はこの辺で終了となります!
次回は、国内外のアーティスト達によるPeace Offのチャート記事を公開!