GHz対談VOL.1 – 林田球 x Ume(Murder Channel) – 



GHz Interview, Murder Channel

GHz Blogにて新企画がスタート!各界で活躍するアーティスト達による対談記事を公開!

第一回目は、唯一無二のキャラクター造形とダークかつコミカルなストーリーで人気を博している漫画『ドロヘドロ』の作者・林田球と、今年6月にリリースされた「Dorohedoro original soundtrack」の楽曲コンパイルを担当したMurder Channelの主宰Umeが登場!

「Dorohedoro original soundtrack」の製作に至るまでの音楽的ルーツを中心にお話をしていただきました。


 

Ume:林田さんとはドロヘドロのサントラ製作をキッカケに最近よくお話をさせて貰ってたんですけど、今回改めていろいろと聞きたいなと思いまして。まず、サントラのリリースから半年経った訳ですが、作品の完成後の感想は?

林田球(以下・球):サントラはよく聴いていますよ。とてもいいCDが出来上がったなと思います。
こういう形で外部の方が作られた物を聴いて、解釈の仕方がとても面白いなと思いました。
不思議な感覚ですね。言葉にならない感覚みたいな部分がアーティストの方々に伝わっていたというのが嬉しいです。

Ume:そういえば、9月にサントラに参加してくれたSHACKLETONが来日した時に一緒にライブを見に行きましたよね。SHACKLETONのライブはどうでしたか?

:すごく良かったですね。技術的なところは解らないので感想が伝えづらいんですが、ライブはとても楽しかったです。
SHACKLETONは私が好きな要素がふんだんに入っていて、好きな楽器の音やテンポだったり、ちょっと陰気な感じもあるけど聴いていて気分が下がらないし。アートワークもきれいで良いですよね。
新しいアルバム(Shackleton With Ernesto Tomasini/Devotional Songs)もよく聴いていますよ。

Ume:あのアルバムは最高ですね!僕もSHACKLETONはSkull Discoの初期からずっと好きで殆ど欠かさず作品はチェックしてたんですけど、ライブを見る機会がいままで無くて。だから、9月に来日した時にやっとライブが見れたので嬉しかったですね。
ライブが終わった後にSHACKLETONと話が出来たんですけど、僕がGODFLESHのTシャツを着てたのに凄い反応してくれて終始GODFLESH関連の話をしてました(笑)。あと、SHACKLETONが林田さんにZENI GEVAをオススメしてたのが面白かった(笑)

:ずっと話してましたね(笑)。私はライブに行く事自体が久しぶりだったので楽しかったです。クラブとかに行く機会も中々無いので。

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Ume
:では、まずはルーツ的なことをお聞きしたいのですが、林田さんにとって最初の音楽体験とはどういった感じだったんでしょうか?

:親が洋楽を結構聴いてたんです。MTVが全盛期の80年代とか、私が小学校の頃ですね。その頃に親がメタルを聴いていて。Guns N’ RosesとかBon Joviとかが当時一般的にも流行ってたんです。
私自身はその時はBeastie Boysみたいな楽しい感じのを好きで聴いていて。Licensed to Illが出た時かな。暗い音楽とかを聴き始めるのは高校の時からですね。

Ume:その時は音楽を探す時の情報源はMTVがメインだったんですか?

:高校の時はタワレコとかに行ってひたすら試聴をしてました。良いのがあったら買って。そこから派生していって情報を得て買っていくっていうのが始まって。

Ume:なるほど。僕はMTVとかスペシャとか見れなかったからPVとかライブの映像が見れなくて。ひたすらブート屋でビデオを買ってました。AIRSとかで(笑)。

:AIRSね!私もラウドロックにハマっていた時にAIRSで一杯買ってました。好きなバンドのライブ映像を見たかったけど無くて。それで買ってみたんですけど本当に画質がひっどいビデオばかりで(笑)。

Ume:当時は洋楽メインの音楽雑誌にブート屋の広告とか普通に載ってましたからね。今はYOUTUBEがあるからブート・ビデオの存在自体知らない人が多いかも。でも、ブートビデオとか見ていると妄想が膨らんで良いですけどね。
それで、暗い音楽っていうのはどんなのですか?

:高校に入って受験がすごく厳しくて精神的プレッシャーが強くなってきたときに、なんていうんだろう、、怒りや不安をパワーに変えなくてはいけない時期になって。White ZombieやNine Inch Nailsとかのインダストリアル・メタルにどっぷりハマっていきましたね。

Ume:NINやWhite Zombieを中心にインダストリアル・メタルがメインストリームでも人気でしたよね。Fear Factory、Pitchshifter、Ministry、Filter、Prongとか。
世の中的にも、そういった音楽だったり、映画とかアニメとかの表現方法がハードでダークなのが多く生まれていて過剰な時代でしたよね。それでもエンターテイメントとして形になっているのが素晴らしかった。商業としてもかっこいい売れ方をしてるっていうか。あと、その頃って世紀末っていうのがトピックになってましたよね。

:そうか!世紀末でもありましたねー。とにかく絶望感みたいなのを煽るっていう。自分で高めていくっていうのに音楽はすごく役立ちましたね。

Ume:それじゃあ、林田さんが10代の頃はインダストリアル・メタルの存在が大きいんですね。

:10代の頃はそうですね。そこから本当に自分が好きなのを探していってましたね。


Ume:その時は周りの友達とか一般的にはどんな音楽が流行ってたんですか?

:渋谷系とかが一般的には流行ってましたね。自分は全然そっちにはいかなかったですね。心が全然穏やかじゃなくて荒れていた(笑)。
回りに同じ物を好きな人が居なかったのでレコードショップにもライブにも一人で行ってました。

Ume:僕も10代の頃はライブハウスやレコード屋には一人で行ってましたよ。MDFMKの為にフジロックにも。

:寂しいなー(笑)。私は幕張メッセが限界。私は富士の裾野まで行けない(笑)

Ume:ミクスチャー系とかも聴いてました?

:ミクスチャーってどんなのか解らないんですけど、SunbombとかSlipknotからロードランナーに広がっていきましたね。MTVで流行ってるのは聴いてましたよ。
System of a down、Crazy Town、Papa Roach、Kid Rock、The Union Underground、(hed)peはよく聴いてました。

Ume:素晴らしいラインナップですね!Slipknotの1stはマジで名盤。シングル曲以外にも”Prosthetics” とか”Get This”など、ヤバい曲ばっかり収録されてますもんね。

:コリィのボーカルが衝撃でした。あと、当時のSlipknotはB級感がすごかった。手も痣だらけで、なんか雑な感じで。
1stの頃、それこそ、AIRSで大量のビデオを見てましたから。この雑さが良い!って。とにかく履いている靴を見たくて。

Ume:1stの頃のライブ映像とかを見るとステージ上でメンバー同士で殴りあいっていうか小突きあいをしていて危ない雰囲気が魅力的でしたね。

:Slipknotの人達って本当にとても真面目で、それがライブにも出ていて。そこが大好きっていうのがあります。とても大人とは思えない格好をしていて、それでもすごく真面目だっていう。

Ume:Slipknot主催のTATTO THE EARTHっていうフェスがあったじゃないですか。めっちゃ豪華な面子が出演していて、コンピCDも良い内容でしたね。

:やってましたね!「The Pledge Of Allegiance」というフェスなのかな?それのCDに収録されてたSlipknotのPeople=shitとThe Heretic anthemの音が最高でよく聴いてました。
雑なのが一番良いですよね。雑さが消えた時に全てが終わる感じがする。

Ume:雑な感じだったりチープさが好きっていうのもあるんですね。

:チープさは好きですね。勿論、キチっとちゃんとしたのも好きなんですけど。自分の漫画もキチっとしたくないっていうか。雑さ…というか漫画を描き始めた頃の勢いというか、そういうものは自分の中で大事にしたいと思っています。
技術があがってくると線がきれいになったり、ちゃんとしてくるんですけど、ずっと下手なままが良いっていうのもある。それは、バンドとかだと1stが良いっていうのが自分にもあるのと自分の作品もそういうのを言われるからだと思います。

Ume:Slipknotのマスクとかステージ衣装に影響を受けてたりします?

:マスクは本当偶然で。キャラの顔が好きな訳では無かったというか。
私、漫画は描きたいけど何を描くべきかが全然定まらない、絵は描けるけど、何を描くべきか解らない時期がありまして。その当時、魔剣Xを描いていて、クリーチャーを描くのが好きだっていうのを発見して。それで、マスクを描き始めたんです。マスクだったらキャラの描き分けが出来るなって考えてた時に、Grindhouse Magazineの表紙にSlipknotが出ていたのを見て知ったんです。

Ume:それじゃあ、Slipknotやロードランナー以降はどんなのを聴いてたんですか?

:ラウドロックっていうのが2000年の始めから05年位まで流行って一杯良いバンドが出てきて。それで、終わっていくじゃないですか、そのムーブメントが。USチャートの100位以内にNickelbackしか居なくて。このジャンルの終焉だなと。
そっから、じゃあ、次は何にしようかな、激しい音楽は聴きたいしなーって。そこからタワレコに行ってひたすらジャケ買いをしてました。

Ume:ジャケ買いってなるとハズれもありますよね。

:ハズれも引きますよ。でも、ジャケ買いが多かったですね。Agoraphobic Nosebleedはジャケ買いで知りました。

Ume:Agoraphobic Nosebleedは最高ですね。

:Agoraphobic Nosebleedは短い曲ばっかで。凄い面白い!って。そこから、Pig DestroyerやRelapseの音源を聴くようになり。Relapseにメールを送ってTシャツを買ってみたり。Relapseの作品は凄くデザインが良くて。このジャンルってアートワークがとっても優れているジャンルなんだって知って、そこから広げていった感じです。
Itunesが登場してからはレコードショップでのジャケ買いは無くなるんですけど、Itunesでもまずはジャケで掘っていって試聴していって、アタリを探しています。今はShazamですね。海外ドラマとか映画で気になったのがあったらShazamで調べて。それで買っています。最近発掘して良かったのはGrails。ジャケも好きだし音も好きです。

Ume:ちなみにジャケだけ良いってのもあるんですか?

:ああ~、ありますね。ジャケはとても好きだけど、中身はあまり聴かないんだよな~っていうのが。ビリビリ破いてジャケだけスクラップするっていうのはあります。

Ume:グラインドコアからポスト・ハードコア、ドゥームメタルもお好きじゃないですか。そういったエクストリームな音楽のどういった部分に惹かれているんですか?

:音ですね。抽象絵画とかも好きなんですけど、それと同じような感じです。好みの要素が頭にあって、それに近いものが引っかかると良いなと思いますね。ジャンルとかバンドにまったく詳しくないので、音だけが判断の基準になっています。好みをうまく言葉で説明できなくて困ってるんですよね。意外と相反するものが好きだったりするので。

Ume:これは難しいかもしれないんですけど、林田さんの中で絶対に外せないアルバムは?

:いやー、それは本当に難しいですね(笑)。時期によっても変わりますよね?

Ume:例えば僕の場合なんですけど、Korn/Life is peachy、Wu-tang clan/36 chambers、Ministry/ΚΕΦΑΛΗΞΘ(Psalm 69)とかは自分の中で時代関係無く聴き続けるだとうなと。

:そうなると、Slipknotの1stとかNine Inch NailsのDownward spiral、NeurosisのA sun that never setsになるのかな。やっぱり90年代になっちゃいますね。
最近のだとCUT HANDSとVOODOOMは本当に大好きです。非の打ち所が無い位ですね。暗い音楽と民族音楽が混ざったのが無いのかなーってずっとおもっていたので、CUT HANDSはドンピシャでした。


Ume:それじゃあ、今まで最も良かったライブ体験は?

:Slipknotのライブは結構行ってたんですけど、どれもとても良かったです。(hed)peのライブも良かったですね。
でも、中野サンプラザで見たStray Catsのライブが一番良かったです。凄い楽しいライブでした。親がStray Catsを好きだったので家で延々と流れていて曲は全部知ってましたし。あれはライブとしては最高に楽しかったです。座関に居るお客さんがみんな踊っててライブって楽しいんだなって。今でもたまにStray Catsのアルバムは聴きます。

Ume:Stray Cats!ちょっと意外ですねー。

:そうなんですよ。自分でも意外だなって思います。完全に半々なんですよね。音楽も映画も暗いのばっかりじゃなくて、半分は明るいのを聞いていて。まあけっこうなんでも聴きます。
クリスマスシーズンになると延々とクリスマスソングを聴いてるし(笑)。


林田球
http://q-hayashida.com/
1997年、月刊アフタヌーン(講談社)の四季賞で準入賞を獲得した「ソファーちゃん」でデビュー。ダーク&グロテスクな独特の世界観にコミカルなキャラクター表現が熱狂的な支持を得ている。荒々しく躍動感溢れる線による細かい作画が特徴。2000年にIKKIにて「ドロヘドロ」の連載をスタートし、雑誌休刊後はヒバナ(どちらも小学館)に発表の場を移し掲載中。

MURDER CHANNEL
https://soundcloud.com/murder-channel
2004年、都内のクラブにてイベントをスタート。恵比寿MILKや中野HEAVY SICK ZERO、吉祥寺STAR PINE’S CAFE、難波ROCKETS、名古屋Cafe Domina、金沢MANIER等、様々なクラブで回を重ね、国内を代表するアーティストや16bit、Drop The Lime、Bong-Ra、Drumcorps、Chrissy Murderbot、Broken Note、Teknoist、Enduser、Filastineなどの海外アーティストも積極的にブッキングし、多くのアーティストの初来日を成功させた。
2007年からはレーベルとしても本格始動。幅広くストイックな音源リリースを展開しており、The Bug、Kuedo、Starkey、King Cannibalなどの海外のアーティスト達からも賛同を得ている。
PS3のゲームソフト「Savage Moon」のサウンドトラックのリミックス・コンピレーションの監修や、Hyperdub(イギリス)、Ad Noiseam(ドイツ)、Lo Dubs(アメリカ)などのレーベルよりMURDER CHANNELの作品がライセンスされレコードでもリリースされる。