GHz Junglist interview #1 DJ DON (後半)

GHz Junglist

GHz監修によるJungleコンピレーション”GHz Junglism”の発売を記念して参加アーティスト達のインタビューを公開!

第一回目はAmenbrother名義にてコンピレーションに参加してくれた東京オリジナル・ジャングリスト「DJ DON」のインタビューを公開!
後半のインタビューでは、世代もジャンルも超えて混ざり合う東京の音楽シーンにとって欠かせない場所である「新宿ドゥースラー」の話を中心に今のクラブシーンや新宿という場所、良いパティー、そして良いDJの秘訣とは?など、興味深いお話をお聞きしました!

前回に引き続き、このインタビューの為に提供してくれたMIXも合わせて是非チェックを!
そして!このインタビューを詠んだ後はジャングルやベースミュージックなどのクールで熱いサウンドと美味しい食事&お酒が堪能出来るドゥースラーに是非足を運んでみてください!

[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/270116419″ params=”auto_play=false&hide_related=false&show_comments=true&show_user=true&show_reposts=false&visual=true” width=”100%” height=”450″ iframe=”true” /]

GHz Junglist interview #1 DJ DON (前半)
http://ghz.tokyo/2016/08/16/ghz-junglist-interview1/


Q.
DON君が曲作りを始めたキッカケは?

きっかけは店ですね。店でDJやってくれてたBRUEっていう子がいて、その子もビートメイクしてるんだけど、もっといい音楽が聴きたい!ってことでビートメイカー同士のバトルをうちではじめて。で、参加者にはエントリーフィーを払ってもらって、勝者が総取りでレコードをプレスするっていうのをやりたいっていうから、いいじゃんどんどんやろうよって言って。で、やろうよやろうよって言ってたら、主催のその子が「ここでやるからにはDONさん出てくださいよ」っていって。俺も興味はあって、機材とかも揃えたりはしてたんだけど、言ってしまえば仕事にかまけてしまってて。乗りかかった船だからこれはやんなきゃダメだってことでビートメイク始めました。

Q.
最初に作った曲はジャングルだったんですよね?

やっぱり作ってみたいのはそこだったし。そういう意味では何年もDJやってて、フラストレーションが溜まってた。「こういう曲があればいいのに」っていう、それをちゃんと形にできるようにしたいな、と。
で、それこそ今回出させてもらうAMEN BROTHERのKEKKEと二人でやってる曲なんか、2人で制作するのはそれはそれでおもしろいし。俺が想像してるものを形にしやすいっていうか。構成的には俺が組んで、上モノとかはKEKKEが作って、組み合わせて作るみたいな感じで。これはこれで俺がアイデア浮かばないところもKEKKEがやってくれるし、面白い形で作っていけたなって。

Q.
DON君も参加されていた「新宿BASS」っていうコンピはどういう経緯で?

あれこそ今話してたVOODOO BEAT BATTLEっていうバトルで集まった人たち、実際ドゥースラー周りの人も多いんだけど。で、DJ もんだいがいっていう子が「せっかくこんなにビートメイカーいるしコンピレーション出したいんだよね」っていって。新宿ってついちゃったし実際集まってるからその名前になったんだけど、それでベースミュージックのコンピレーションを作ろうってことで。

[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/playlists/179437181″ params=”color=ff5500&auto_play=false&hide_related=false&show_comments=true&show_user=true&show_reposts=false” width=”100%” height=”450″ iframe=”true” /]


Q

DON君がドゥースラーを始められたのはいつからですか?どんなキッカケで始めたんですか?

2010年からで今は7年目です。ぼんやりお店をやりたいっていうのはあって、ドゥースラーをうちが買い取る前は元々あった店で、そこでSKYFISHとKEKKEと3人で、フライヤーにカナトっていうのでBPMっていうイベントを始めて。そっから独立しようって話になって店始めちゃったんです。

bpm_03
bpm_01

Q.
ドゥースラーではベースミュージックやジャングルが聴けるお店で有名ですよね。それは最初からそうしようと思ってたんですか?

うん、音楽を推したいなとは思ってて。自分の好きな音楽とかかける音楽を聴けるお店にしたかった。それ系のジャンルが聴けるお店ってなかったから。結局ないものは作っちゃえみたいな精神で。

Q.
DON君はブッキングもされているんですか?

ブッキングも勿論あったりします。ただ、自分でブッキングしてパーティやってもらうとか、そういうのはなくて。周年とか、年に1回、2回くらいはあるかな。パーティに関してはベースミュージックは箱代無料みたいなのやってたから、若い子達がやってくれたりとか。

duusraa6th

Q.
箱代無料は凄いですね。反応はどうでしたか?

ちょいちょい反応はあって、若い子達がそれをやってくれて。そっから他のハコに移ったパーティとかもあったりとか。すごい手応えはあって、今でも公には言ってないけど、そういうパーティやりたいっていうのがあったら、言ってくれたらどんどんうちでやんなよって気持ちでやってるから。

Q.
DON君がDJをやり始めた頃の現場と今の現場で最も違うことは?

今は深夜やる人がすごい少なくなったかな。デイになってきてて、ぶっちゃけデイタイムのが人は入るかも。ホントに深夜遊ばなくなったね。

Q.
DON君がDJ活動を始めた90年代終わりから2000年代始めは、クラブっていうのはやっぱり夜中の文化でしたか?

文化っていうか、当然のように夜中やるもんだったし、それこそCHAMPION BASSだって最初は平日木曜の深夜だったから。それでも遊んでる人は多かったけどね。ドゥースラーの場合、新宿って立地もあるんだろうけど。渋谷だったらまだ他にハシゴできるし人も集まってくるっていうのがあるんだけど、新宿にはいわゆるクラブ的な所がどんどんなくなってて新宿OTOさんも渋谷に移転しちゃったし。あと仲良くさせてもらってるBe-Waveさんと、老舗のレゲエクラブのOPENさんくらいかな。

Q.
DON君の若い頃と今の若い子達の間で意識の違いを感じるところはありますか?

昔は、クラブがやらせてあげるよ的なイメージだったのが、やっぱり絶対数がすごく減ってて、「クラブでイベントやれるんだ!」っていう意識がすごく希薄というか。インターネットで聴いて、それをただ大きい音でかける、的なイメージになってるのかな。おっさんの言うことだからあれだけど、音楽の聴き方が変わってきたから、ホントにぜんぜん違うっていうか。DJもPC一台あればできちゃうから。最近だとターンテーブル要らないです、って言われることがすごく多くて。CDJもほぼ使わなくて、ほぼPCだけ。TraktorとかLiveだけ。PCからPC、PC、PC、コントローラーだけ置かしてください、タンテ邪魔なんでどかしてください、みたいな。パイオニアのミキサーもいらねえじゃん!みたいな状況が。それに応じてうちもブースを大きくしないとなって問題が起きたりとか。

Q.
PCDJは圧倒的に増えましたね。あと、フライヤーを作るイベントも少なくなりましたよね。

フライヤーはデジタルだけだね。それを痛感するのが、単純にフライヤー作る会社がどんどんいなくなってる。

Q.
少なくなってるんですか?それは結構ショックですね、。

もう少ない少ない。作るにしても昔より全然安いし。なんで安いかって、自ずと分かると思うけど、その当時は需要があって儲かるから、すげえ高い金払ってたなーって。昔は何日もかかってそれに何万も払ってたけど、最近だと中一日とかで届くし。言い方悪いけど、我々みたいなおじさん勢がやってるイベントはフライヤー作ってるけどね。「フライヤーおねがいします!」って言われるとちょっと感動したりして。「フライヤー置かせてもらえますか」っていう人がほぼいないからね。
個人的には寂しいなとおもうけど、うちはこういう店にしてはフライヤー置いてる方だなって、自分で今思った。 フライヤー文化を当時通ってるから今もすごく好きで。

Q.
失礼な言い方になっちゃうかもしれないですけど、ドゥースラーって大きいフロアではないじゃないですか。あれくらいのサイズのハコで良いDJをする人の条件とかってあります?

全然狭いですね。で、通常営業の時は普通のお客さんもいたりするので、普段はラウンジ的なDJをやってもらうことになるんだけど。そこでやってもらう人は俺がこの人なら、ってチョイスしてるんだけど、そこでベースミュージックをかけてもらいたいしかけてもらったりもするし、なんだろう、いいDJってのはぶっちゃけ音量を出さなくても楽しませられる人。例えばひたすらズッターンズッターンってベースミュージックのみかけてたら、空気を作れないじゃないですか。ラウンジってこともあって音量もあるしこれはジャンルが悪いとかじゃなくて、それをうまく聞かせられる、昇華出来る。そういう、空気を読んで空気を作れる人。もちろんパーティの時とかはうちもかなり音量出すんだけど、普段のラウンジではそこで盛り上げるわけじゃないから。レベルメーターが真っ赤っ赤になってDJやってる人もいるけど、そうじゃなくかけてる人ってやっぱり上手い人が多い。空気の持っていき方とか。

Q.
対して、フロア対応において良いDJっていうのは?

フロア対応の時は、お客さんの心を捕まえられるかどうか。うちは1フロアしかないから絶対聴くことにはなるんだけど、ソファーに座ってる人を立ち上がらせるようなね。キャッチーなものを使い分けたりとか、ちゃんと物語を作れるDJがいいDJだなって思います。

Q.
最近で凄く良いと思うDJって誰ですか?

元LEF!!!CREW!!!のMORO君ですね。MORO君はうちでもラウンジやってもらってるけど、パーティでもうまいし。あれはすごいね、ホントにうまい。トライバル的なベースミュージックっていうのかな、をメインにしてるけど横浜出身だからなのか、幅が広い!なんでかわかんないけど横浜出身のDJって幅が広いよね。おもしろい街なんだろうなーと思って。縦の先輩後輩文化も強くて、鍛えられてるのもあるらしくって。とにかく振り幅が広いのにまとめるし、ミックス早いし、お客さんの状況読むのもうまいし。
あと、TREKKIE TRAXのandrewもうちで二ヶ月にいっぺんやってるけど、彼もうまい。50才くらいかな?って思うくらいの選曲の振り幅の広さで。

tennai
beatbattle

Q.
ドゥースラーでは今まで数多くの素晴らしいパーティーがあったと思うんですが、特に印象深かったドゥースラーでのパーティーは?

DJ Kだろうね。俺熱中症になったんで。(笑)
真夏で、すごい人数入っちゃってエアコンがギリギリダメで。俺もすごく盛り上がって1人で飛び跳ねてたら、にしかわっちがダイブしてたからなぜか俺もダイブすることになったんだけど、重くてあんまり上げられなくて。で、暴れまくってたら熱中症になって、裏のローソンに駆け込んで冷蔵庫に頭を突っ込むっていう。あの日は忘れられないなー。

Q.
海外のDJ達もよくドゥースラーでプレイしていますよね。Rob SmithがDJしたりとか。

あれはホントありがたいというか。昨年、Rob Smithが長期間滞在してて、帰る前にうちでお別れ会じゃないけどやろうってことで開催して。また今年もやってくれて。来年もやりたいねって言ってくれて。わりと外国のDJがアフター的にやってくれて。こちらからお願いしてるわけじゃないんだけどDJが聴けちゃうってのがありがたかったりして。そういう時の方がのびのびやってたりするから、そういうDJが聴けるのは嬉しいなって、うん。こないだもイタリアのCkronoっていう、Voodoo Rebelっていうレーベルをやってる、トライバルだったり、そういう民族音楽のベースミュージックみたいなのをやってる人が普通に遊びに来て、夜中DJやってる、とか。

Q.
良いDJの条件の次に、良いパーティになる要素があったら聞きたいんですけが。

良いパーティになるかどうかは別にして、いい意味でちゃんとお酒の注文が出るパーティってやっぱり、イベントというか、ちゃんとパーティになるよね。賛否両論もあるんだけど、俺はそれはそれでいいパーティだと思う。ちゃんと盛り上がってお酒飲んでっていう。ただその音楽を聴きに来ました、っていうのは、イベントであって、パーティにはならないなって。お酒が出てれば必ずいいってわけじゃないけど。店でやってる若い子達とかはおっさん達とは楽しみ方が違うっていったらそれまでなんだけど。それはそれでいい事なんだけど、うちでやっぱりいいパーティになった時はお酒がよく出てる時が多いかな。

Q.
新宿っていう街についてはどうですか? 音楽の面とか、商売としてだったりとか。やりづらさ、やりやすさがあったら教えてください。

実際のところ、新宿でよく頑張ってるな、とも思うし、渋谷とかだったら店のハシゴもできて横のつながりもあるかなって思うけど、渋谷でやってるわけじゃないからそれはなんとも言えないし。新宿でよかったなって思うこともあったりとか。渋谷に店があったら、変な話それこそ埋もれちゃったかもっていうのもあるし、自分でも思ってたけど新宿って実際行きたい店がなかったりするから、新宿でよかったと思ってます。店が、雑居ビルの階段で5階っていう、良くも悪くもわかりづらい場所にあるから、知り合いに連れて来てもらうとかじゃないと中々こられなかったりするんで、そういう意味だとフラっと来る人は少ないのもあって、あんまり面倒くさいことは起きないですね。立地も東南口出てすぐなんで、いわゆる新宿の怖いイメージの場所とはかけ離れてて良かったです。

Q.
お店をやってみて何か変わったこととか得たものってありますか?

社交的になりました! (笑) 商売柄っていうのもあるけど、自分でも必要性に追いついたかなっていう感じはします。元々人見知りだし、未だにそれはかわらないし、ジャングルなんて人見知りのやる音楽、なんて言いすぎか。でも、ちゃんと社交的になりました。まだまだ足りないけど。

Q.
DJを10年以上やっていて、お店の店長もやってるDON君に聞きたいんですけど、音楽に疲れないためにはどうしたらいいですか? 疲れちゃう人多いですよね。止めちゃう人も多いじゃないですか。うまくバランスを保つにはどうしたらいいかなと思って。

家に帰ったら音楽を聴かない。俺は商売にしちゃったから。正直、「音楽が好きか」って聞かれると、わかんない。結局は好きなんだと思うんだけど。若い子達に言えるのは「辞めない」ってことかな。ペースは全然やらない時期もあってもいいし、辞めないでほしいね。休んでもいいと思う。休んだリスクもあるけど、その期間で自分にインプットするものを増やせばいいだけで。気軽に考えればいいんじゃない?って、俺はそれ全然出来てなかったから説得力ないんだけど、でもそういうのが必要だと思う。あと音楽以外の趣味を見つける。そしてやっぱり家で聴かない(笑)俺の場合はだけど(笑)

Q.
今後の予定とか目標を教えてください。

アルバム出せるくらいに曲作れたらなーと思うし、まず今自分の好きに作れる曲を作りたい。ジャングルも作るけど、2ステップも作りたい。そういう、DJでかけられるやつもジャングル要素のある曲も。

Q.
最後に、DON君にとってジャングルとは?

ジャングルとは、なんだろうな、人生狂わされたね。ありがたいものです。

インタビュー/文:GHz Staff
※このインタビューは2016年4月27日に行われました。

GHz Junglism 予約受付中!!!
book_2p_color_ol_sample