“GHz Interview23” 栄免建設株式会社

GHz Interview, 未分類

東京のクラブシーンを賑わせている謎のアーメンアノニマス「栄免建設株式会社」の本邦初公開となるインタビュー記事を公開!
疾走間のあるアーメン・パンクからピアノやレイブセンセを用いた煌びやかなレイブコア、そして160BPMで展開するベースの利いたトラックまで幅広く制作し、ブレイクコアからベースミュージック・シーンで注目を集めている期待のアーティストながらも未だに謎の多い人物でもあります。
このインタビューでは楽曲製作からプライベートな事、栄免建設株式会社の設立前から現在に及ぶまでの様々なお話をお聞きしました。

そして、栄免建設株式会社が特別にDJ MIXをGHz Blogに提供してくれました!
自身の曲やブートレグを中心に国内や海外のアーティスト達のフレッシュなトラックを纏めた最新のダンスミュージックが見事に収められたハイレベルなMIXとなっています!
是非、MIXを聴きながらインタビューをご覧ください!


Track List:
01. On(栄免建設株式会社 Renovation)/ Aphex Twin
02. Lotus Eater(栄免建設株式会社 Remodel)/ Mura Masa
03. Guelb Ou Dem / B-Ju x yunis
04. Phylliroe (CUEPEEDOG Remix) / インターネットウミウシ
05. Crowned Mount / BSN Posse
06. I’m Still Here / Prayer
07. The Gurl / DJ NHK Guy
08. In Formation / Philip D Kick
09. E/F/F/E/C/T / Ennnn
10. Hidden Teeth / Osheyack
11. Bank of Georgia headquarters / 栄免建設株式会社
12. Baby F-16(oshirijima bootleg) / Panteros666
13. Th3 S1dh-Ir1d1um(栄免建設株式会社Renovation)[Carpainter – PAM!!! feat. Onjuicy MashupVersion]
14. A Red Gene Asthma / 栄免建設株式会社 & CUEPEEDOG
15. Sekigahara / Kokushimusou
16. Dohgen Tower Bridge Apartments / 栄免建設株式会社
17. James Brown Is Dead(栄免建設株式会社Renovation) / L.A. STYLE
18. Skogskyrkogården / 栄免建設株式会社
19. Badman / Symbiotic Sounds
20. Draw VIP / Slick Shoota
21. Dopamine (Token Remix) / Tokyo Noir
22. Phuture / Infekto
23. I Am Not Invincible (Silent Dust Remix) / Sinistarr
24. JBB #10 / Ant To Be
25. Acid Rain / Mekuso
26. Kismet / Ruby My Dear
27. overthrow / DJ集団自殺
28. The New Selecta / Rognvald
29. Dont Panic (Deft Remix) / WALLWORK & RZR
30. hard off haul / Daisuke Tanabe
31. Robo (Tropical Interface Remix) / Pixelord
32. CONSEQUENCE / THUGWIDOW
33. Broken / Ryuei Kotoge
34. Human The Death Dance / ovalesk
35. Threatening Sky / Umio

栄免建設株式会社
https://twitter.com/amenkensetsu
https://soundcloud.com/amenkensetsu
栄免建設株式会社は1969年(昭和44年)九州での創業以降、
Amenbreakを通した社会貢献」の経営理念の元、
確かな技術力と誠実な仕事によりお客様に高品質のアーメン施工を行ってきました。
21世紀に入りインターネットの発展からアーメン建築に求められるニーズは高度化、多様化しています。
私たちはそれらに的確に応えられるよう常に挑戦を心掛け、新たなアーメン工法の開発と共に
地球環境への配慮や安全・安心の提供しサステイナブルな社会作りを目指し、
より豊かな未来を築く活動を推進してまいります。



Q.

ご出身はどちらですか?どういった環境で音楽に出会い興味を持たれましたか?

出身は九州です。音楽は誰の影響ということもなく、ただ良いと思ったものを掘り進んで行った感じになります。最初に興味を持ったジャンルはHiphopで、高校の頃にネットで知り合ったNotuvさんにWarp Recordsを教えてもらって以降電子音楽全般を聞くようになりました。
クラブイベントとしてはFUCKOKAやYesterday Once More(YOM)、KOKLIFEのアーティストの出るイベントにはよく行っておりました。現在の活動もこれらの影響が強いかと思いますし、もっとみんなに九州のシーンに注目してもらいたいので九州出身であることは結構強調しております。

Q.
「栄免建設株式会社」以前はどの様な活動をされていたのでしょうか?

高校のころDTMを始めました。当時はHiphopのビートメイカーで動画サイト等に投稿してました。ただ全く再生数は伸びなかったです。その後LABeat系やElectronicaに影響を受けたビートとか作ってましたが、結局あまりいいものを作れなくて反応もイマイチでした。
その後二十歳になってからクラブに行き始めてDJとして活動してました。特にメインとしてたジャンルはなく、新しいジャンルが出るたびにかけてましたがEDM、TOP40、Hiphopが多い箱だったので変な曲をかけるDJと思われてたんじゃないかなと。そちらの活動が楽しくなり、栄免建設株式会社の活動直前はDJメインでほとんどDTMはやってない状態でした。

Q.
アーメン・ブレイクに興味を持ったのはキッカケは?アーメン・ブレイクを楽曲制作で最初に使用したのはいつ頃からでしょうか?

元々Hiphopのビートメイカーだったのでサンプリング文化やブレイクビーツ自体が好きというのもあり、それの一つとしてアーメンを認識してたと思います。なので初めてアーメン・ブレイクを意識した曲はN.W.AのStraight Outta Comptonだったかもしれません。
アーメン・ブレイクを初めて使ったのはあまり記憶にないですが、2015年ぐらいにフリーのサンプルパックに入ってたのを使ったのが初めてだったかと。刻み方はYoutubeでBreakcore/IDMの作り方みたいなのを見て学びました。アーメン・ブレイクに魅かれた一番の理由はピッチを変えたり、タイムストレッチをかけた音に他のブレイクビーツにはない気持ち良さがあることだと思います。

Q.
「栄免建設株式会社」としての活動はいつ頃から開始されたのでしょうか?

栄免建設株式会社のコンセプトを思いついたのは2016年9月17日に福岡で開催された「Dの食卓」というイベントで国士無双のライブを観ている最中です。大ネタで踊るのが楽しく、アーメンアノニマスという文化に興味があり、プラスで北九州のトラックメイカーのOshirijimaさんが大好きで、BPM160の曲を作りたいと考えてたのでそれを混ぜたものをやろうと考えました。
アーメンアノニマスとしてやるならなんらかのキャラ付けをしたいなぁと思い、「株式会社」がネタにしやすいし、あまり付けてる人もいないなぁと思いました。それと大学で建築を専攻し、建設業界への就職が決まってたからです。
「アーメン」ではなく「エイメン」にした理由ですが「アーメン」だと漢字表記が難しいのと、平野耕太氏の「HELLSING」という漫画に出てくるアンデルセン神父というキャラがAmenを「エイメン」と詠んでいたのが印象的だったのでエイメンにしました。漢字は適当に決めたんですが、初期は「栄面」とよく間違えたれたので、そっちにすればよかったなぁと思いました。
Photo by toshimura

Q.
ライブで着用されているヘルメットと作業着はいつ頃から着用されているのでしょうか?

3回目、東京で初めてのライブからになります。ちなみにヘルメットは現場でも使える本物のヘルメットです。衣装を着てプレイすることは頭にあり、名前入り作業着は1着から作れたんですが、ロゴ入りのヘルメットを製作する最低ロットが10個とありなかなか手が出せませんでした。ただヘルメットを作ったら買うって言ってくれた方が何人か出て来たので思い切って作ったらなかなか反響が凄くて、他の分はすぐ売り切れました。現在はちょくちょく追加で作っては物販を行ってます。正直売上はないに等しいんですが、売ること自体がネタになってますし、防災グッズとして使っていただいたり、SNS映えみたいになったりとなかなか宣伝要員になってるかと思います。


Q.
The Winstons / Amen. Brotherの7”インチから実際にブレイクを抜いて使われているのでしょうか?

アーメン・ブレイクは色んなサンプルパックを買ってそれを組み合わせて使ってます。ジャンルや製作者によってアーメン・ブレイクのミックスはかなり異なるので今でもチマチマ集めてます。1曲の中に色んな加工をされたアーメン・ブレイクを使うのが好きなんですが、いずれは聴いただけで僕だと分かるように加工したアーメン・ブレイクも作ってみたいですね。

Q.
アーメン・ブレイクの使い方において影響を受けたクリエイターは?

ベタですがVenetian Snaresの影響が大きいです。国内ではKenKoTaijiさんです。細かい刻み、特にピッチが変化するものに惹かれますね。でもアーメン・ブレイクはあまり使われてませんが、どちらかというとBreakcoreよりもDrill ‘n’ bass寄りの刻みの方が好みだったりします。

Q.
楽曲制作のプロセスを教えてください。使用されている機材は?

最近はレイブスタッブやアシッドを打ち込んで、いいメロディができたらそれを広げていくみたいな作り方が多いです。
プレイクビート的な刻みすぎないパートは最初の方に作りますが、細かいブレイクコアパートは最後に作るようにしてます。そうしないと曲作りがいつまでたっても終わりが見えてこなくなってしまうので……製作中は仮で刻む前のアーメン・ブレイクのループを載せてます。
使用DAWはAbleton Liveです。過去にACIDとFL Studioを使っていたこともあったんですが、MIDIとオーディオ編集共にやりやすくこれが一番ハマりました。他にハード音源だとアシッドを打ち込むのにTB-3をよく使ってます。MIDIキーボードはAKAI MPKmini MK2を使ってます。他にもRolandのSH-01Aなどのハードシンセも買ってるんですが、まだ曲に使えてないので今後使っていきたいですね。モニタースピーカーはKRK RP-5 G3です。

また、LIVE用にMidi Fighter 3DというMIDIコントローラーを使ってます。これはモーションセンサーが搭載されており、傾けることによってMIDIシグナルを送れるので、ライブでは動かしながらリアルタイムでアーメン・ブレイクを加工しています。それにオーディオIFはFocusrite Scarlett 2i4という4outの物を使用し、アーメン・ブレイクとそれ以外に分けて音を出すことでさらにDJミキサーで個別にエフェクトを掛けたり、パフォーマンスをしています。

Q.
ご自身が制作されたアーメン・ブレイクやビートのプログラミングなどで拘っている事は?

踊りやすさはかなり意識してます。なので細かく刻んでも、アクセント的に見ると割と一般的なダンスミュージックのドラムのセオリーから逸脱しないようになってます。
アーメン・ブレイクの素材を半拍単位でスライスしてMIDIで打ち込んでいて、キック、スネア、ハット、シンバルのバランスを意識しています。また逆再生やタイムストレッチした音を用いる為にオーディオファイルの状態で切り貼りもしています。
アーメンパンク制作時は元の音源のアクセントとアーメンのアクセントが合うように打ち込んでいます。また、キックはアーメン・ブレイクのだけだと弱いので、808のキックを重ねたり、さらに他のキックを重ねて強化してます。MIDIで刻むとキックのところだけコピペすればいいので作業効率がいいですね。

Q.
栄免建設株式会社として常にアーメン・ブレイクを使った楽曲をリリースされていますが、アーメン・ブレイクに飽きる様な時は無いのでしょうか?

今はまだ完成には至ってないですが、Nervous Horizon等のようなClub系のビートや、Garageのビートをアーメン・ブレイクで出来ないかの模索を行っています。なので飽きるどころかむしろアーメン・ブレイクでやりたくてやれてないことの方が多く、まだまだ研究していくことになるかと思います。

Q.
プライベートでも建設関係のお仕事をされているのでしょうか?普段はどういった生活を送られているのですか?

建設業の中でも施工管理の仕事をしています。だいたい6時半に家を出て20時ごろ帰宅、21~24時にDigったり制作をしてます。土曜日も仕事なので、金曜日の夜や土曜日のデイイベント、また関東県外のオファーが受けづらいのがクラブで活動する身としてはなかなかの制限になってしまってます。正直オファーの半分ぐらい受けられてないので今後どうしていくか悩んでますね。

Q.
最近注目しているアーティストやレーベルなどはありますか?

自分もリリースしたり、DJユニットにも参加しているんですが、T5UMUT5UMU君のHAKAisDEADはインターネットとしての音楽性と現場でのRAVE感の掛け合わせで今後もどんどん勢力を広げていくと思います。
Breakcore界隈ではmiso-nicomi recordsがクオリティとしてもパーティとしても一番勢いがあると思います。自身のパーティは毎回大盛り上がりなので、今後他の界隈にも波及していくんじゃないでしょうか。
私が栄免建設株式会社としての活動を始めたきっかけの一人であるOshirijimaさんが今年から始めたレーベルであるLivingが「夜っぽい」というテーマのリリースを行っていて、なかなか面白い作品が多いです。
あとマイブームに近いのですが、中国系のエクスペリメンタルなBeat、Bass Musicにはまってます。レーベルでいうとGenome 6.66 MbpやSVBKVLTなどです。

Q.
栄免建設株式会社の音楽活動において目標としている事やチャレンジしてみたい事はありますか?

制作面では今はまだRaveやBreakcoreなど元々アーメン・ブレイクの使用が多いジャンルを作ってましたが、今後はより広いジャンルでアーメン・ブレイクを使用した楽曲を作ってみたいと考えてます。特にBPMも160やそれ以上の曲が中心でしたが130~140も好きなので、このBPM帯の曲は作ってみたいです。 合わせて、元々コンセプト的にみんなが知ってる曲のBootlegを作ってLIVEをやってたのですが、より実験的な曲でのLIVEセットもやってみたいと思います。
また現在コンピに1曲提供とかのみで、EPはまだ作ったことないので制作するべきなんだと思うんですけど、なかなか時間が取れなくて難しいのと、1曲ごとに方向性を変えたい性なので、シングルとしてちまちまリリースしていくのが性に合ってるのかなと思ってきています。ただ世界観にとても感銘を受けた漫画作品(どちらかと言うとそれのアニメ)があって、それをコンセプトにした作品を作りたいと思っており、それに関してはEPかそれ以上の曲数のまとまった作品を作りたいという思いもあります。

あとLIVE活動もなかなか大変な部分があったり、あまりやりすぎて飽きられるのも怖いので、DJセットの活動も視野に入れていきたいなと思っています。今回提供したミックスがそれのキッカケになればなと思っています。

Q.
今後のスケジュールを教えてください。

リリースとしてはロンドンのレーベルに1曲提供しました。また秋M3でもコンピに参加する予定です。さらに某グループへトラック提供を行いました。オリジナルでは初の非インスト曲になり、面白いものができてます。
LIVEだと9/29千葉のBar&Lounge NUTSにてGRAVITY 1st Anniversary、11/17に仙台にてNeoBrotherZでRAVERS CALLINGvol.3、11/25には渋谷にてLOUNGE NEOで家-Yeah-に出演いたします。是非足を運んでいただければなと思います。