『ドロヘドロ・オリジナルサウンドトラック』完成記念鼎談 – 林田球 x Ume x メチクロ –

DOROHEDORO Original soundtrack, GHz Interview

6/15よりリリースされる『ドロヘドロ・オリジナルサウンドトラック』。
計6カ国・14組の世界最狂アーティストによる混沌のダークサウンドスケープを企画した、当事者3名による編集後記的鼎談。

林田球 [漫画家/ドロヘドロ作者]
Ume [MURDER CHANNEL/当企画・プロジェクトマネージャー]
メチクロ [MHz/当企画・アートディレクター]

 

Ume : まず最初にお聞きしたいのですが、全曲聴いてみていかがでしたか?

林田球(以下・球):もう本当に好きで「教えたくないなー。」というのが正直な所で、凄い良いのが出来ちゃったので、本当に売りたくないなって(笑)。 週イチで完成した曲が送られてきたんですが、仕事で疲れて起きた朝に新しい曲が届いていて、それを聴けるのが私にとって最高のプレゼントで、幸せだなーって。

Ume : メチクロさん的にはどうでしたか? 以前からドロヘドロのサントラを作りたいって言ってくれてましたよね。

メチクロ(以下・メチ):妄想するだけでも充分楽しいのに、実際に完成してしまったわけだからね…「最高!」以外の言葉が見つからないです。 一人の音楽ファンとしても、現在進行形で聴きたい音がたっぷり詰まっているので相当ヤラれてます。

Ume : 収録アーティストは、林田さん自身が膨大なリストを全て聴いた上で選んでもらいましたよね。それこそ、最初は60組以上の候補リストがあって、そこから音源を聴いて貰って。

:ウメちゃんに「こういう音が好きなんですよ」って説明して、セレクトして頂いたアーティストが全部ドンピシャで、リストの曲だけじゃなく、販売されているCDは全部買って聴き込んで選びました。私が語るのはおこがましいのですが、アーティストの他の作品も聴いて欲しいです。

Ume : 個人的には『Khost』が最もドロヘドロの世界観を再現しているなと感じましたが、お二人が好きなのはどの曲ですか?

:もちろん全部好きなのですが、世界観だと『Roly Porter』かな。一番聴いているのは『VOODOOM』ですね。

メチ:僕は『Igorrr』ですね。『ドロヘドロらしさ』という点では、ちょっとドラマティック過ぎるかな?とも感じたけど、その辺を過剰にブーストしても成立するのが音楽ならではですね。…でも、好きな曲が多すぎるので、改めて同じ質問されたら違う曲をあげちゃいます(笑)。泣く泣く収録曲から外した『Daw Jones Brotherhood』のTake2も本当に素晴らしかったし。

 

khost – Redacted Recalcitrant Repressed
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Roly Porter – Don’t Think, Just Kill
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VOODOOM – Blaka Smoko
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Igorrr – Dorohedoro
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Ume : 出来上がったサントラを通して聴いてみると『Shitwife』の浮き具合がハンパないなって感じたのですが、どう思いますか? 曲自体は文句なしに最高なんですけど、曲調がこのサントラの中では唯一といっていいほどにポップじゃないですか。

メチ:『ドロヘドロ』を読んでる人には、むしろ受け入れられやすいと思うな。オリエンタルな音階で『Eating food and Fighting Wizards』というタイトルなので、劇中のシーンを具体的に想像しやすい曲だと思う。 ちなみに、球さんは統一感がないとか全く感じてないですよね?

:ないですね。私は、色々な曲が入っている方がアルバムとして評価が高くなる傾向があるので、変わった曲を作ってくれる可能性を持ったアーティストをリクエストしました。それなのに統一感が出たことが不思議。

メチ:『浮き具合』という点では、どうなるか全く読めなかったのが『NAH』だったんだけど、どういう経緯で決まったんですか? HIPHOPからノイズまで様々なテイストを持ったアーティストなので、球さんがどういうスタイルを期待したのか知りたい。

:いやー。もうただ好きで。これは入れとかないといけないと思ったので、ダメ元でも頼んでくださいって(笑)。

メチ:シンプルすぎる(笑)。でも結果的にかなりハマりましたよね。『NAH』から『hanali』へと繋がる展開は、異次元ビートの応酬という感じで、Disc:1の中でも重要なトピックになっていると思います。僕が全体で統一感を感じたポイントは、ジャンルも国籍もバラバラな14組だけど、レイヤーの数や音の密度がすごく似ている。球さんのペンのタッチや画面の奥行きに近い印象を感じますよ。

:私が音数の多い曲が好きだから、そういうのを選んでいるんですよね。

メチ:あと、『ドロヘドロ』の魅力と言われることが多い『ダークとコミカルの融合』も、みんな巧く捉えていて本当に驚いた。例えば『Khost』の楽曲などは、一聴するとダーク極まりないのに、音圧や展開が笑えるほど極端なので、ある意味最もコミカルだとも言える。

Ume : 参加したアーティストの皆は実際に『ドロヘドロ』を読み込んだ上で製作してくれたんですが、一定のキャラやストーリーではなくて、全体の世界観にスポットを当てて製作した人が多いですね。『Shackleton』などは、漫画全体に漂っている世界観をイメージしたと言ってました。

メチ:それはすごく重要なポイントで、キャラクター推しのグッズっぽいアルバムになるのは絶対に避けたかったので、本当に良かった。日本のコミックファン向けに変に意識されたら困るな。という心配はちょっとだけあったんだけど、誰一人コマーシャルなことをしなかったのが奇跡的。まあ、この面子なら当然だけど(笑)。

:私も、いくつかは苦笑いする曲が届くかな?って思ってましたけど、全部がピタッときたので嬉しかったですね。

Shitwife – Eating food and fighting Wizards
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NAH – Enter the Hole
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hanali – She Is A Devil
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Shackleton – Transformations
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Ume : 今だから言える話なんですが、実際に漫画を読んでみるまでは返事出来ないっていっていたアーティストもいて、でも漫画を送ったら速攻で「やる!」ってなったんですね。これは完全に『ドロヘドロ』の力だなと。

:嬉しいですね。漫画はエンターテインメントとして気を使って描いている部分もあるんですけど、感覚の部分をちゃんと解ってくれたんだなって。

メチ:しかも、誰が参加するのか一切伝えずにオファーしてるから、不純な動機が入る余地がない。普通はメジャーなアーティストをチラつかせて交渉したりするんだろうけど、ウメちゃんが一対一でガチ交渉した結果だから尚更嬉しいよね。

Ume : 完成後にラインナップを伝えたらみんな驚いてました。 改めて今回収録されたアーティストを振り返ってみたら、なぜかイギリス人が多くて、僕がドロヘドロを初めて読んだ時も「イギリスっぽいな」と感じたので、これは何かあると推測しちゃったのですが、オファーの際にはその辺意識されましたか? 『Dead Fader』『Khost』『Ed cox』『Shackleton』『Dr DAS』『Roly Porter』とかはイギリス人です。

:そうなんだ! 全然知らなかったです。私は無意識でイギリスの人を選んでたんだ…。イギリスって映画監督の『エドガー・ライト』しか思い浮かばない。

メチ:球さんもウメちゃんも、カルチャー的にはアメリカ大好きなのに不思議ですね。でも、確かに雨とかのイメージがイギリスっぽいと言われればそんな気がするね。そういえば球さんが国籍やジャンルで何かを選んだのを見たことないかも。

:そもそもジャンルを知らないんですよ。音楽に関して人と話すこともないし、ウメちゃんが初めてくらいで、リクエストすると沢山教えてくれるので便利だなーって(笑)。

Ume : でも、曲順に関しては、お手上げだったので、最終的にメチクロさんが決めてくれたんですが、『DISC:1』から『DISC:2』の流れに関してはどう思いましたか?

:私はいつもシャッフルしてしまうので、曲順とか全然気にしない派なんですけど良いと思いますよ。自分の好きなものが一杯入っているので満足です。

メチ:サントラと銘打ちつつも、曲順などで過剰に演出を加えるのは野暮だから、音楽アルバムとして繰り返し聴きたくなるように配置してみました。Disc:1がアッパーで、Disc:2はズブズブって感じかな。もちろん好きなように聴いて欲しいけど、たまには通して聴いていただけると嬉しいです。

Ume : このサントラを、こんな人に聞いて欲しいっていうイメージはありますか?

:ないですね。自分は暗いなー。って人とか、日本のアーティストで聴く人いないなー。って人とかかな。

メチ:映画やアニメの追体験をするためのサントラじゃないから、自由で良いんじゃないですかね。でも、自分がお客さんとしてこのアルバムに出会ったら、ワケが解らなすぎて買っちゃうと思います。解らないのが悔しくて何度も聴くんだけど、真意は結局解らない(笑)。でもかっこいい音楽に出会えたのでラッキーという感じで。

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サントラに参加したアーティスト達によるインタビュー&DJミックスも公開中!
http://ghz.tokyo/category/pickup/dorohedoro-original-soundtrack/