“GHz Interview10” YOCO ORGAN (後半)

GHz Interview

金沢のオルタナティヴ・ラップグループ「YOCO ORGAN」のインタビュー後半!!!

後半では、新体制になってからの活動を中心に海外アーティスト達と作り上げたEP「MAGURO DAYS」や今年リリースされた新作「JAMASINAI DAYS」の製作に関してやHip Hopに対する想いなど、非常に面白い内容になっております!

“GHz Interview10” YOCO ORGAN (前半)
http://ghz.tokyo/2016/10/04/yoco_organ_pt1/


Q.
「MAGURO DAYS」はどういった経緯で出来上がったんですか?



PERUTANI> AFTERを出した後、トラックメイカーが抜けてしまって。友達や知り合いとかは気にせず、もう自由に外注しようと。その頃にSoundcloudをチェックし始めて。色々と凄い人が居るんだなーって気づいて。単純によい音楽を作りたかったから、地元の人に頼むのも東京の人に頼むのも外国の人に頼むのも同じだったんです。

0081> 一回落ちたんですよ。離れるならおもいっきり離れようと。

PERUTANI> 楽曲もダブステップを作りたかった訳じゃなく、良いと思った人達がそういう音を作っていたという。ダブステップをリクエストしたわけじゃなかった。

0081> BPMが140前後とか、ヒップホップマナー的に難しいっていう意識も無かったし。

Q.
トラックの変化もありますが、リリックの内容もAFTERやロクホーとは違ったアプローチになっていますよね。



0081> そんなに意識はしていないんだけどね。多分、その時点でキャリアは10年以上はあったんで、より多くの人に聴いて貰ったり、理解して貰ったり、パイを広げる為のリリックの内容や言葉の選び方はあったのかもしれないです。

Q.
YOCO ORGANの魅力の一つにアブストラクトな歌詞というのがありますが、こういった歌詞の書き方になったのは何故でしょうか?



0081> ラップなので、言葉遊びの要素を残したいっていうのはあるんです。一聴して理解出来ないとか、韻の踏み方やフロウとかは純粋に面白いと思いますけど、ラッパーに向けたリリックを書くことはもう無いです。

PERUTANI> 性根が捻くれているのもあるけど、、言葉遊びを常に入れたい。直接的な言葉ばかり使うと飽きられるんじゃないかなーと。自分も飽きちゃうし。

0081> 最近はヒット曲の研究とかするようになりました。松任谷由実や井上陽水などのシンガーソングライターの。ビジュアルが浮かんで、歌詞が胸をうつ。すかしていて考える隙を与えるような。
僕個人は、ブルーハーツをやりたいんです。今の時代はあそこまでの暑苦しさは辛いかもしれないけど。まっすぐで一人称、でも聞いた人みんなの物語でもあるっていう、それに近づきたい。

Q.
今年リリースされた「JAMASINAI DAYS – EP」に収録されていた「アイニキタ」は今までのYOCO ORGANからは想像出来ない位に直球な歌詞でしたが、あそこまで感情をさらけ出すのに恥ずかしさみたいなのはありませんでしたか?



0081> 僕はありましたね。2バース目の頭に「会いたかった、会いたかった」っていう歌いだしがあるんですけど、何回も書き直して(笑) でも、何度も歌い直したらもうそこに着地して。

PERUTANI> MAGURO DAYSを作っている時にSNSのお陰でアメリカの人やイギリスの人、100mado君とも出会えたし。あれは素直な想いです。地方に住んでいるんで、あのツールがないと色々と寂しいし、厳しい。

0081> 「アイニキタ」みたいな曲は今だから出来るっていうのもあります。人間臭すぎるという感覚は自分の中にもあるけど、これだけやってきたからもう怖いものもない。他の曲では愛だよ!愛!って言ってるし(笑)

“JAMASINAI DAY” 特設ページ(全曲リリック公開)

Q.
近年のYOCO ORGANのスタイルに対して昔からのリスナーや地元のファンからの反応は?



0081> 昔のほうが良かったという声もあると思います。
でも、その人達に向けて昔と同じことしてても意味ないし。僕ら懐古主義が嫌いなので。あの頃は良かったって、無意味ではないけど、で、次にどうするかの話をしないと。

Q.
Outlook Festivalからアイドルの現場まで出演されていますが、この立ち居地はある程度意識されてるんでしょうか?



0081> 結果そうなったって感じです。居心地はいいです。たとえば、アイドルの現場で160BPMの低音の効いた曲をプレイ出来るのは価値があると思います。いろんな現場に出れてありがたい。
逆にヒップホップの現場が少ないので是非ブッキングされたいんですけど(笑)

Q.
お二人がヒップホップに求める物が変わった結果、今のスタイルに行き着いたという事もありますか?



PERUTANI> 僕等というより、リスナーやオーガナイザーさんが僕等にヒップホップ的な物?を感じなくなっているのかも。

0081> ヒップホップ好きなのにね。悲しい(笑)

PERUTANI> 悲しい(笑) でも今のスタイルがあるからバンドの対バンにアイドルイベント、オールジャンルのフェスにまで呼ばれているのかなって思う。

0081> ヒップホップの側から離れていってしまった感じ。これってヒップホップ?みたいな議論、あれが苦手なんです。僕等も、アブストラクト的な切り口の時に、YOCO ORGANはヒップホップじゃない、みたいなこと言われて。とにかく内輪が煩い。外に向けてやろうとする人に対して。それが一番嫌いでした。それで、どんどん離れていって結局僕ら2人だけになりました。

PERUTANI> 僕もヒップホップの苦手なところって文化っぽくなっちゃうところで。例えば、「それヒップホップだね~」ってよく言うでしょ?ジャズ好きの人って「それジャズだね~」って言わない。そんだけ、良いも悪いも押し付けがましいジャンルだなーって。

Q.
個人的にはYOCO ORGANの持っているオルタナティブ感ってOUTKASTに近いなって思いますよ。



0081> OUTKAST大好なんでなりたいですねー。あいつら一番ずるい(笑)
 しかもあの立ち居地なのに、凄い売れているのが良いよね。超金持ってて(笑) 
あれを許容するアメリカのシーンも凄い。それこそ、UKだとSKEPTAがマーキューリー賞を取るとか。彼に賞をあげる方もカッコいい。

PERUTANI> わかるなー。ずるい人になりたいんだよね。オルタナティブ感っていうのは的を得ているんじゃないかな。

0081> 毎年話しているんですけど、フジロックに何人の日本人ラッパーが出るのかっていうのが一つの基準値って部分があると思って。今年、KOHHが出るのは理解出来るんです。でも、フジロック層に振ると所謂ヒップホップから離れていくとか。

PERUTANI> オールジャンルの場所で戦えるラッパーが少ないのか、そもそもヒップホップがそんなに人気が無いのか、ロックのシーンが余りにも大きいのか。ロックはまだまだスターが出てくるでしょ?シーンの大きさが凄い。ダンスミュージックやヒップホップをフォローする数や回るお金は、ロックのそれとはまだ比較できないですよね。

Q.
リリックを書く上で歌詞で衝撃を受けたアーティストっていますか?



PERUTANI> 僕はキリンジ。歌詞が凄く良くて。キリンジの曲で、「ピアスの穴から月明かりが漏れる」ってラインがあって。もう文学でしょ。よく、そんな情景が思い浮かぶなって。井上陽水や松任谷由実とかって歌詞が凄いなーって。
ラップだったら、RHYMESTER。この前出たBitter, Sweet & Beautifulは全曲凄い。アレばっかり聴いている。描写もフロウもあるし。あの人達は凄いなー。

0081> 僕はグライムを聴いています。MCとしてのスキルが凄い参考になる。フロウとか。拍のとり方とか凄くて。

Q.
YOCO ORGANは多数のトラックメイカーとコラボされていますが、ラッパーを自分達の作品に迎えないのは何故ですか?

PERUTANI> 特に他意はないですね。まだまだ二人でやれることが多過ぎて。もっとやりたいことをやってYOCO ORGAN的に色々と確立してからラッパーの方とコラボしてみたいです。

Q.
今後のスケジュールを教えてください。新作のリリース予定は?

0081> ライブは10月23日に渋谷チェルシーホテルでMOP OF HEAD企画、11月11日に大阪トライアングルの周年イベント、11月26日に新宿ドゥースラーが決まってます。
新作は現在製作中でREMIX E.Pが年内?新作は来年には出せるかなと。

インタビュー/文:GHz Staff
※このインタビューは2016年9月22日に収録されました