20 Years of PRSPCT Japan Tour特集②Sinister Souls

特集記事

GHz BlogでのPRSPCT20周年記念ツアーの特集第二弾は、ハイクオリティなハードコア・ドラムンベース~コアステップ~クロスブリードで世界中に熱狂的なファンを持つSinister Soulsの名曲をご紹介!

PRSPCTの看板アーティストとして知られているSinister Soulsは今回待望の初来日!ハードコア・ドラムンベースというジャンルにおいてSInister Soulsの存在はとても大きく、このジャンルを広めた功労者の一人でもあるかと思います。
PRSPCTを筆頭にドラムンベース・シーンの重要レーベルからシングル/EPをリリースし、Ruffneck、Counterstrike、Fragz、Gancher & Ruin、Cooh、Erreとのコラボレーションやリミックス・ワークで広範囲にハードコア・ドラムンベースを届け、この10年で非常に多くのクラシックを残し、ハードコア・ドラムンベースの神髄を世に放ちました。

前回に続いて、Sinister Souls名曲を来日公演で共演される100madoさん、Bishamonさん、Hollyさん、merupoさん、TAK666さんに解説を交えてご紹介していただきました!

Face Smash!! vol.10
2023/Sep/16(SAT)
15:00 – 21:00
At G.R Cafe Terrace
■Entrance Fee: ¥4,500

■SP Guests from NL
DJ Hidden
Sinister Souls

■Acts
Savage States
Ko-Shan
B45H
Revenge
w
merupo

20 Years of PRSPCT Japan Tour Tokyo
Supported by MANTLE & Aggression Audio
2023/Sep/17(SUN)
23:00 – 5:00
At Nakano heavysick ZERO

■Entrance Fee
DOOR: ¥4,000+1D
DISCOUNT: ¥3,000+1D *遠方割

■SP Guests from NL
DJ Hidden
Sinister Souls

■B1F Floor
Bishamon
Crossbreed 4 Headz
MIDI War B2B Coretex
Miyuki Omura
100mado

■B2F Floor
Amaretto
Holly
Kanon
pencil
Twisted Soul 9999
uniyama
DJ YEW B2B TAK666

*遠方割条件
(1) 東京・神奈川・千葉・埼玉以外の遠方からお越しの方。
(2) エントランスにて来場までの道程がわかる交通証明のご提示をお願いします。
(切符の領収書、バスや飛行機の予約票、高速道路の利用明細等)

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Sinister Souls
https://soundcloud.com/sinister-souls
PRSPCTを拠点に数々のマスターピースを発表し、オランダのハード・ドラムンベース・シーンの代表格として知られるSinister Souls。

Adriaan de KoningとFred Huurdemanの2人によって始まったSinister Soulsは2009年にブロステップの看板レーベルRottun Recordingsからデビュー・シングル「Definition of Silence」を発表。その後もWicky Lindows、S.C.U.M.、Section8からのリリースやハードコア・フェスティバルQore 3.0のオフィシャル・アンセム「The Highest Technology」のリミックスを手掛けたことによりハードコア・シーンでも注目を集める。

当初はハードコア・テクノとダブステップをミックスさせたコアステップというスタイルを提唱し、攻撃的で邪悪な楽曲を連発。2012年にPRSPCTからリリースされた1stアルバム『Beat The Drum Hard』はダブステップ、ドラムンベース、ハードコア・テクノを独自のビジョンでミックスさせ、新たなハイブリッド・スタイルを提示し世界中のフロアを熱狂させた。その後もPRSPCTから『Horns Up LP』『Dead Eyes EP』『Make Some Noise EP』とハードコア・ドラムンベース/クロスブリード史に燦然と輝く名作を残す。

Adriaan de Koningが脱退し、Fred Huurdemanのソロプロジェクトとなってから発表されたアルバム『FCKN Hostile LP』では以前よりもパワフルでロッキンなドラムンベース・スタイルへと進化し、新たなファンを獲得。近年はZombie Cats、Shadow Sectとのコラボレーション・シングルも話題となり、オーバーグラウンドなドラムンベース・シーンからもサポートを得ている。
Fred HuurdemanはXaturate名義でハードコア・テクノに特化した作品も展開しており、The DJ Producerのリミックスも手掛けるなど、UKハードコアやインダストリアル・ハードコア・ファンからも支持されている。


100mado

Sinister Souls – The Highest Technology (Original Mix)

Wobble Bassで獲得した「粉っぽさ」がさらに加速した2012年、Brostepシーン隆盛の裏側で吐唾するかのような、「元はパシリの」粋がりキッズの頭をバットでフルスイングするようなサウンドが実に爽快で、局所的ハードコアスタイルの140Dubstep界では「In The Filth」と並び至極の1曲。
16bitやLaxxなど同時多発的に達したハードコア要素マシマシ破壊系Dubstepはしかし、「結局140Dubstepにこだわらなくて良いんじゃね?」と、今思うと真っ当な疑惑のもと結果散り散りとなり、大変刹那なシーンとなったが、インダストリアルかつ重心の低いサウンドは他では味わえない独特の世界観で唯一無二。

Bishamon

DJ Technorch – Gothic System (Sinister Souls remix)

2012年にMurder ChannelからリリースされたDJ TechnorchさんのEP「変身 第一形態~The Metamorphosis 1st Form~」からの1曲です。
この時期、Sinister SoulsはDubstepとHardcoreを掛け合わせた新しいスタイルの楽曲(Corestep/Hardcore Dubstepなどと呼ばれたりそうでなかったりした気がしています。)を積極的にリリースしており、それに感銘を受けたDJ Technorchさんが自らの楽曲のRemixを依頼した、と伺っています。

私はHardcore Technoの中でもDowntempo~Midtempoな楽曲が好みですが、当時は一般的なHardcoreの下限のBPMが150~155あたりだったのに対し、今回ピックアップした関連楽曲はDubstepと同じ140程度であり、これを用いることでDJで対応できるBPMの範囲を大きく下側に広げられることに喜びを覚えた記憶があります。また現在、私はHardcoreだけではなくHard/Industrial Techno, BreaksなどもDJで扱うようになっており、そこからHardcore TechnoのBPMに持ち上げてくるために使えるツールとして大変重宝しています。

そして最後に、私がHardcoreにハマった入り口の一つがDJ Technorchさんであり、強烈に独特なリフとボイスサンプルが使われている彼の代表曲「Gothic System」が上記のようなスタイルでSinister SoulsにRemixされたこの楽曲は、特に私の記憶に刻まれたものとなっています。

Holly

Sinister Souls– Snare Factory

2015年にPRSPCT Recordingsからリリースされた『Dead Eyes EP』より、タイトル通り多種のスネアが延々と打ち鳴らされる暴力的な曲です。彼らの曲の中でもここまで狂気に振り切った作風は珍しいのではないでしょうか。
イントロから不安を煽るメロディ、スネアの隙間をキックで埋めて作るグルーブなど自分がクロスブリードに欲しいものがすべて入っています。
クロスブリードはアーティストのリズムに対する実験精神が強く出るところがとても好きです。

merupo

Sinister Souls & Pythius – Ultimatum

本来、音楽というのをお勧めする際は御託を並べる前に「とにかく聴いてみて」としか言いようがないものと思っています。しかしながら、この文章をきっかけに新しい音に出会える人が1人でも増えるのであればそれは価値がありますねということで、僕からは2017年にPRSPCTからリリースされたEPに収録されている、Sinister Souls & Pythius – Ultimatumをピックアップします。

個人的にSinister Soulsの魅力だと思っている、丁寧なブレイクビーツにハードコアキックを違和感なくぶち込み、結果としてダンスミュージックとして優秀な曲となっているかと思います。とりあえず、「Crossbreedって何?」という人はこれを聴けば間違いない。
「1曲あげろ」ということで2022年に出たアルバム、”Everything Hertz“に収録されているElectro Magneticも候補でしたが、とにかくこのアルバムは全曲良い。ですので、これは通して聴いてほしいですね。HARD DNBのマスターピースだと思います。是非ともチェックを!

TAK666

Sinister Souls [ft The Outside Agency] / Perfect Organism

Sinister Soulsが2012年にPRSPCTからリリースしたキャリア初のLP、『Beat The Drum Hard』のラストを飾る曲。
今回の『20 Years of PRSPCT Japan Tour Tokyo』にて同じく来日となるDJ Hiddenが所属するユニット、The Outside Agencyとの(2023年現在唯一の)コラボレーショントラックです。

当時のSinister Soulsを象徴するアタックの強いキックにダブステップを経由した厚いベースライン、加えて随所で差し込まれる抜けのいいスネアを軸にどんどんリズムが変わっていく曲。この重厚且つ変則的なリズムに乗っているリフは反対にシンプルで、緊張感とグルーヴの気持ちよさがずっとキープされています。
一方、リズムパート以外では幻想的なロングスケールのパッドシンセが使われており、曲全体を通した緩急の付け方からドラマを感じることができる構成も特徴的。この辺りは実にThe Outside Agencyらしく、両者の強みが遺憾なく発揮されていながらサウンドや展開のバランスが絶妙である点が当時から非常に好きです。

時代背景の話をすると、The Outside Agencyが2010年に提唱したドラムンベースとハードコアの融合音楽クロスブリードは、その出現以降、双方のアンダーグラウンドシーンに着実に根差していったように思えます。
アーティストたちはこのドラムンベースとハードコアの新たな接点に対して試行を重ね、2年後の2012年は今振り返っても重要な作品、特にLPが多くリリースされました。

例を挙げると、
・Dub Elements / Party Program [PRSPCT]
・Forbidden Society / To The Threshold [Forbidden Society]
・Zardonic / Vulgar Display Of Bass [Big Riddim]
・Enduser, Needle Sharing, The Teknoist / Enduser Shares Needles With The Teknoist [Ad Noiseam]
・V.A. / Dawn Of Paranoia [Tainted Audio]
というように、錚々たる面々と作品群であることがお分かり頂けると思います。

ここにダブステップシーンから彗星の如く現れたのがSinister Soulsであり、先の曲が収録された『Beat The Drum Hard』です。それまでドラムンベースやハードコアを手掛けていたアーティストではなかったにもかかわらず、タイトル通り『強く叩いたドラム』に焦点を当てたハイクオリティーで攻撃的、且つ先鋭的なトラックの数々に当時相当くらいました。
イカつさとユーモアが合わさっているジャケットも含め、強く印象に残っている作品です。

今回、来日公演が叶ったことを、ヘッズの1人としてとても嬉しく思っております。