PRSPCT特集

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ハードコア・ドラムンベース・シーンのトップDJであるTharserの来日を記念して、彼が主宰するレーベル「PRSPCT」の特集記事を公開!

今回は、7月16日に下北沢LIVEHAUSにて開催されるMurder Channel Vol.28に出演するハードコア・ドラムンベース・コレクティブ「Aggression Audio」のPemcy、Takeru、Colon、Murder Channelの梅ヶ谷雄太にPRSPCTのハードコア・ドラムンベース・クラシックを解説していただき、PRSPCTが20年に渡って追求しているハードコア・ドラムンベースの魅力をお伝えします。

この記事を読んで予習をして、7月16日は是非下北沢LIVEHAUSへ!

Colon

Sinister Souls – Tuh Tuh Duh ft. eRRe

Crossbreedというジャンルが一番盛り上がっていてリリースも豊富だった2012年、Dubstep方面で活躍していたSinister SoulsがPRSPCTからリリースしたアルバム”Beat The Drum Hard”の収録曲である。

一般的にCrossbreedと呼ばれる楽曲は、ジャンルのルーツがDarkstepとIndustrial Hardcoreであることを考えればダークでストイックなのが自然である。そこに「チャラさやパーティ感のある盛り上がるCrossbreedだってあって良いんじゃない?」と一石を投じたような曲がこれだと思う。(時期が近いリリースのDub Elements – Go Party! ft. Alexander HeadやI:Gor – Testifyも私の中では同じようなポジションに位置する)

三連のハネたリズム、耳に焼き付く特徴的なメロディ、時折入るコミカルなサンプリング…などなどどれをとってもパーフェクトで、つい踊りたくなる一曲だと思う。その後リミックスEPが出たのも納得である。(おそらくPRSPCTで単曲のリミックスEPが出ているのは、この曲とLimewaxのAgent Orangeだけ)

10年経っても色褪せない魅力がこの曲にはあると思うし、10年後もまだ聴いてると思う。本当にありがとうございます。

Pemcy

DKaos – Epistemic

ハードコア・ドラムンベースには多彩なスタイルが存在しているが、本作はいわゆる「ポルトステップ」スタイルで活動しているYellow Stripe RecordingsのクルーがPRSPCTでリリースした、変わり種のEPだ。

その中でもDKaos – Epistemicは本当にエキサイティングなトラックで初めて聴いたときの衝撃は忘れられない。スローダウンなビートでスターウォーズを彷彿とする音色が挿しこまれていく高揚感のあるイントロ、鮮烈なレイヴスタブで捲り上げていくビルドアップ、スピード&パワーな4×4のキックスネア。どこを取っても最高のトラックであり、ハードコアとドラムンベースの距離感が近づいてきている近年だからこそ、多くの人に知ってもらいたいトラックである。

Takeru

Dolphin – Bring It On
PRSPCTとハードコアレーベル「Karnage Record」とのコラボレーションEPからの紹介です。

この曲を一言でまとめるなら、「ハードコアのキックで作り上げたドラムンベース」でしょうか。シンプルな曲の構成とキャッチーなフレーズが、この曲の魅力を引き立てており、今でもなお愛され続けている名曲だと思います。

2016年末頃、通勤中に聴いていたPodcastで、この曲の存在を初めて知りました。当時はリリース予定日も作曲者も一切が不明であり、Colonさんと共に、誰のキックがこの曲に一番近いか、どこからリリースされる曲なのか・・・といった考察を繰り広げていたこともあり、僕の思い出の一曲となっております。

梅ヶ谷雄太

COOH & The Panacea – Large Hedron ColliderPRSPCTは90年代後半から脈々と続く伝統的なダーク&ハードDNBのフィーリングやサウンドを継承しつつ、ストイックかつオープンマインドな姿勢でハードコア・ドラムンベースの可能性を広げてきました。音の強度を重要視したストレートなものや、スカルステップをよりフロアライクにしたものなど、活動当初から一つの方向性に絞らずにハードコア・ドラムンベースの可能性を追求していたと思います。

そして、このリリースはPRSPCTとハードコア・ドラムンベースが新たなフェーズに入ったのを告げた重要作でした。The Panaceaが開拓したマッシブなテクノイド/ハーフ・スタイルをPRSPCTのカラーに寄り添わせた結果、異形のハードコア・ドラムンベースが誕生。今こそ再評価すべき一枚ではないでしょうか。