『ハードコア・テクノ・ガイドブック オールドスクール編』予習記事

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いよいよ来月出版される『ハードコア・テクノ・ガイドブック オールドスクール編』の予習記事を公開!

90年代の最初期ハードコア・テクノ・シーンで活躍し、インダストリアル・ハードコアやドゥームコア、テラーコア、クロスブリード、メインストリーム・ハードコアなど、様々なサブジャンルに影響を与えた革新的な名作を作り上げたパイオニア達の貴重なインタビューとディスクレビューで構成されたのが『ハードコア・テクノ・ガイドブック オールドスクール編』。今回は主要アーティストのバイオグラフィーと音源をピックアップしてご紹介。発売までに予習も兼ねて是非チェックしてみてください!

Marc Acardipane
伝説的なレーベルPlanet Core Productionsとその傘下レーベルから、Mescalinum United、Ace the Space、The Mover、Marshall Mastersなど、幾つもの名義を使い分け数々の名作を発表し、ハードコア・テクノ・シーンにおいて絶対的な存在として君臨し続けるアーティスト。
90年代から今に至るまで、ハードコア・テクノからガバ、トランス、ドゥームコア、ブレイクビーツ、インダストリアル・ハードコア、ジャンプスタイルなど、様々なジャンルを自己流に解釈した独創的な作品を発表しており、ダンスミュージック・シーン全体に多大な影響を与えている。ハードコア・テクノ/ ガバ・シーンを中心に、90年代のRave シーンを彩ったハードコア・クラシックから実験的でカルト的なアンダーグラウンド・クラシック、そして、Scooter vs. Marc Acardipane & Dick Rulesとしてリリースした「Maria(I like It Loud)」などでメインストリームのダンスミュージック・シーンでも知られている存在であり、今も精力的に活動を続けている真の開拓者。ハードコア・シーンにおいては不動の地位を築き上げているが、テクノのシーンでも同等に大きな影響力がある。特に、The Mover名義でのアルバム・リリースや、трипのコンピレーションへの参加、過去の名作の再発などで次世代のテクノ・アーティストやDJ、リスナーからも支持を受けている。2020年には、過去の名曲のリマスタリングに加えて、Nina Kraviz、VTSS、Percのリミックスを収録した『The Most Famous Unknown』が発表された。



Lenny Dee
ハードコア・テクノ・シーンの最重要レーベルIndustrial Strength Recordsのオーナーであり、様々な名義やユニットで数多くのハードコア・クラシックをリリースし、ハードコア・テクノの発展に大きく貢献した人物。
English Muffin、Industrial High、Knight Phantomといったプロジェクトでリリースしたレコードによってハードコア・テクノの土台を作り上げ、ハードコア・シーンの新旧世代から崇められるLenny Dee は、ハウスやテクノ・シーンにおいても重要な役割を果たしており、ジャンルを超えて多くのフォロワーを生み出したパイオニアである。80年代にはTommy MustotoとのFalloutでハウス・クラシックを残し、90年代初頭から中頃にかけてRising High RecordsやMokum Records、Rotterdam Recordsから立て続けに革新的なレコードを発表し、ハードコア・テクノ/ ガバを大きく進化させた。レーベルオーナーとしても、Industrial Strength RecordsのサブレーベルであるBastard Loud Records、IST Records、Ruff Beats Recordsからリリースされたハードコア・クラシックをプロデュースしており、90年代のハードコア・シーンの中心的な存在であった。2000年以降も挑戦的な活動を行い、様々なアプローチでハードコア・テクノをクリエイトし続けており、最近ではD.A.V.E. The Drummerとのコラボレーションやオールドスクールなディスコ・セットなどで、新たな世代やジャンルのリスナーを獲得している。



Delta 9
ハードコア・テクノ/ ガバにハードコア・パンク、スラッシュ・メタル、ノイズをミックスしたエクストリームなスタイルで数々の名作を生み出しているDave Rodgers のソロ・プロジェクト。
1994年にDrop Bass Networkからリリースされた『Deep 13』でデビューを飾り、翌年にはIndustrial Strength Records から『Wehrmacht』と『Doomz Day Celebration』をリリース。メタルやハードコア・パンクをサンプル素材としてだけではなく、それらのジャンルが持つパワーやメンタリティまでも落とし込んだ狂暴なスタイルや、ダンスフロアでの機能性を重視したアッパーで速効性が高いガバ・スタイルなどで、数多くのハードコア・クラシックを連発。DJ Dave & the Chicago Hardcore Party
ForceやShadowmanといった名義でも作品をリリースし、1997年にはグラインドコア/ デスメタル・レーベルEaracheからアルバム『Disco Inferno』を発表。2000 年以降は自主レーベルであるPsychotik RecordsとDevil Times Nine からシングルをリリースしていき、ダークでエクストリームなハードコア・スタイルを磨き上げていった。
2015 年からテクノ・プロジェクトDave Deltaをスタートさせ、Hard ElectronicとPowertekからアルバムとシングルをリリース。Devil Times Nineを拠点にDelta 9 のシングルも定期的にリリースし、世界中のエクストリーム愛好家達を魅了している。


Hammer Bros
Shit da Budo(MC Shit B)、Tatsujin Bomb、Tokyuhead(Librah、DJ Lib によるユニット。
1994年の結成から1998年の活動休止までの間に国内外の様々なハードコア・レーベルからシングル/EP を発表し、日本のハードコア・シーンの土台を作り上げた。1995年にThe Speed Freak主宰レーベルShockwave RecordingsからOUT OF KEYとのスプリット・レコード『Hammer Bros vs out of Key – Vol. 1』を発表。翌年にはHammer Brosの単独レコード『Shin Gen EP』を自主レーベルKAK-A Recordingsからリリース。その後も、オランダのArcadeやドイツのTerrordrome、Brutal Chudのコンピレーションに当時のハードコア・シーンを代表するアーティスト達と共に参加。1997 年に日本のZK Recordsから7″ レコード『1to3for Hiroshima EP』とKill the Restからリリースされた日本のハードコア・シーンを語る上で外せない重要なコンピレーション『The Last of the Mohicans』に参加。同年にアメリカのDigitalhut Sounds から12″ レコード『Police Story』をリリース。Hammer Bros活動休止後は、DJ Lib & MC Shit B名義でもレコードのリリースを行う。
日本のアニメや映画からサンプリングされた日本語を多用したハードコア・テクノ/ ガバを主体に、重く荒々しい緊張感のあるシリアスでエクストリームなトラックやストーリー性を感じさせるユーモアのあるトラックなど、海外のハードコアを模範にしながらも日本独自のスタイルを開拓し、独創性の高い名作を作り上げ、日本のハードコア・シーンに多大な影響を与えた。


Manu Le Malin
20年以上に渡ってハードコア・テクノ・シーンの最前で活躍するトップDJ であり、フランスのハードコア・シーンを代表する最重要人物。テクノ、アンビエント、ノイズ、クラシックをハードコア・テクノに落とし込んだダークでサイケデリックなスタイルで、インダストリアル・ハードコアを形成したプロデューサーの一人でもある。
Manu Le Malinは、テクノとの出会いによって1992年から本格的にDJ としての活動をスタートさせる。テクノからトランス、ハウスをメインとしたDJ プレイを行っていたが、翌年に訪れたThunderdomeによってハードコア・テクノ/ ガバに衝撃を受け、自身のスタイルもハードコア・テクノへと変化させていく。Manuの存在はハードコア・シーンですぐに話題となり、1995年にはパリで開催されたThunderdomeに出演。同時期にEnergy ’95やThe Tribal Gatheringといった大規模ダンスミュージック・フェスティバルにも出演しており、ハードコア・シーン以外からも早い段階で支持を集めていた。ハードコア・テクノからガバ、テクノ、トランスを自由自在にミックスするスタイルは絶大な人気を集め、Manuは90年代後半にハードコア・テクノ・シーンのアイコン的な存在へとなっていった。プロデューサーとしても自身のレーベルBloc 46を中心に、実験的なハードコア・テクノ/ インダストリアル・ハードコアの傑作を発表している。2016 年に公開されたドキュメンタリー作品『Sous le donjon de Manu Le Malin』には、Jeff MillsやLaurent Garnierといった重鎮達も出演し、彼等の証言によってManuがハードコア/ テクノ・シーンにおいて絶対的な存在である事が証明されている。近年はThe Driver名義やW.LV.Sでも活動し、テクノ・シーンを中心に大きな人気を得ている。


The DJ Producer
DJとして30 年以上のキャリアを誇るベテランであり、ハードコア・シーンでもトップクラスの人気と実力を誇るLuke McMillanによるハードコア・テクノ・プロジェクト。Rave シーンの黄金期に数々の伝説的パーティーに出演し、イギリスのハードコア・テクノ・シーンの土台を支えた最重要人物であり、UKハードコアのパイオアニアである。
1996年にSkrewface RecordsとStorm BreaksからThe DJ Producer名義の12″ レコードを発表し、アーティストとしても本格的な活動がスタート。WargrooverとのスプリットやManu Le Malinとのコラボレーション・シングル、Hardcore MafiaやSemtex Recordingsからの単独リリースも行い、1997年にDeathchant からリリースした12″ レコード『The Only I Can Do It EP』で今に通じるUKハードコア・スタイルを開拓。その後も、盟友Hellfishとのコンビネーションによって革命的なシングルを立て続けにリリースし、UKハードコアを世界中のハードコア・シーンに知らしめていく。1999年には、自身がA&R を務めるRebelscumをスタートさせ、インダストリアル・ハードコアとUK ハードコアを混合させた強靭的なハードコア・サウンドとニヒリスティックな世界観を持った名曲を発表していった。現在もハードコア・フェスティバルの常連として毎年多くのフェスティバルのメイン・タイムを任されており、各国のハードコア・ファン達から絶大な信頼を寄せられている。また、Rinse FMで行われているMumdanceのプログラムにミックスを提供した事でも話題を集め、ハードコア・シーン以外の新しい世代からも支持を集めており、ハードコア・テクノの魅力を今も多くの人々に伝え続けている。