ジプシーコア特集

特集記事

ヨーロッパのアンダーグラウンド・シーンを中心に盛り上がりを見せている魅惑のジャンル「ジプシーコア」特集!

ジプシーコアとは、セルビア~ギリシャ~ルーマニア~マケドニア~トルコといった国で生まれたチョチェク、タラバ、チフテテリ、ポップフォーク、ポルカフォークなどの伝統的なロマ音楽をブレイクコア、ジャングル、ハードコアとミックスした多国籍感のあるアッパーなダンスミュージックのスタイルとして認識されています。
陽気でアップテンポなメロディや哀愁のあるメロディに爆発的なエネルギーを持ったビートとの融合で生まれるジプシーコアはアンダーグラウンドのRaveやパーティーでは絶大的な人気を誇っており、近年はハードテックとの融合によってバルカンテックという新たなサブジャンルも誕生し、ジプシーコア/バルカンテックはダンスミュージック・シーンで人気を拡大させています。

ジプシーコアの明確な起源はハッキリと解ってはいませんが、2000年中期からUKで活動していたFreddy Frogs率いるレーベル「Frogs」がリリースしていたトライブ~ジャングル~テクノを混合させたハイブリッドなトラックにトラディショナルなサンプルやオールディーズなサンプルを組み合わせた楽曲は後のジプシーコアの原型を作っていた様に思えます。その他にも、ジプシーコアのベースともなっているブレイクコアにおいては、アメリカのDoormouseが05年にリリースしたポルカを素材にした『I ♥ Polka』や、タンゴとラガをミックスしたSnares Man!(Venetian Snares)の「Clearance Bin」、イタリアのDJ Balliが提唱していたイタリアン・フォークコアのスタイルも少なからずジプシーコアに影響を与えていたのではないでしょうか。

この特集記事では、ジプシーコア・シーンを代表するアーティスト5組にインタビューを行い、ジプシーコアの魅力についてお話をお聞きしました。
ジプシーコアに興味を持たれたら是非このインタビューに参加しているアーティストの音源からチェックしてみてください。




Audiotist
https://soundcloud.com/audiotist
https://www.facebook.com/pages/Audiotist/149554978425092?ref=hl

Q. ジプシーコアをどのように知りましたか?

何年も前、ブレイクコアだとか色々やり始める前に、ヘント(ゲント)のFrom Dub Till Coreというボート・パーティーへ行ったんだ。 Ed Coxの曲はKazaa か何かからダウンロードしていて知っていたけど、彼がそのパーティーに出演していたんだよ。おそらくEd CoxはClowncoreのジャンルでプレイして、それが、ジャングル・レイヴ・リズムに、アコーディオンのような素晴らしい楽器をミックスしたものへの僕の深い認識のスタートだった。彼のセットは本当に楽しかったし、今でも彼のライブセットを見るのは大好きだよ。

Q. ジプシーコアの最初の形式を作ったクリエーターやリリースは何だと思いますか?

これについては良く分からないな。個人的に言うとEd Coxから始まった。それ以前はCardiak やDr Peacock をよく聴いたよ!後に、Fexomat や Ringe Raja Recordsを見つけた。最高にいい音楽が揃っているよ。Wan Bushi やE-Coliもまたすごくいいハッピーな曲をやっているよね。聴く価値ありだよ!

Q. ジプシーコアのトップ5を教えて下さい。

最新のものじゃないけど、とりあえず最初に覚えているものを挙げておく。

Ed Cox – Clown Fi Get Murked
Fexomat – The wonder drug
Figcake – Fingerbang
Cardiak – Le Bretonnerie
Dr Peacock – Trip to Ireland

Q. 現在のジプシーコアについてはどう思われますか?

Ed Coxと E-Coli が一緒にやっている最高に素晴らしいライブセットが大好きだし、リスペクトしている。こういうジャンルでのライブセットやDJセットでは中々ないから、毎回聴くたびに痛感しているよ。だから、僕が出来ることと言ったら、それが長く続くように願うだけ。そうじゃなかったら、‘Circus Brekovic’ というWan Bushi とのプロジェクトを楽しんでいる。Goran Bregovic やあまり知られていないレジェンドたちのリミックス、おバカな感じの曲を作ったりしている。これからまだまだあるよ!

Q. あなたにとってジプシーコアの魅力とは何ですか?

ベルギーのオーケストラ・バンド、特にL’orchestre du vetex がずっと大好きだった。東欧の音楽も大好き。バルカン音楽、スカ、ブラスバンドなんかもよく聴いている。明瞭な楽器が持つ軽快なヴァイブ、ガバ・キックとの組み合わせ、安っぽい感じのブレイクス、それかただクリーンなジャングル・ブレイクビートとか。まあそんなことより、とにかく好きなんだよ。僕にとってパーフェクトな組み合わせだけど、もちろん楽器こそがジプシーコアそのものだ。最高に盛り上がるダンスミュージックは皆を笑顔にしてくれる。

Ed Cox
https://www.facebook.com/edcoxlife4land/
https://edcox1.bandcamp.com/

Q. ジプシーコアをどのように知りましたか?

ジプシーコアを知るために詳しく調べたりはしなかった、僕にとってジプシーコアとは伝統的なジプシー音楽やバルカン音楽を電子音楽でリミックスしたもの。誰もこんなものを作っていなかった。当時、速い伝統的なジプシー音楽を聴いて(頭の中で)バックグラウンドにハードコアのリミックスが聴こえてね、 このスタイルで何曲か作ってClowncoreが出来上がったんだ。少ないサンプリングがベースで、制作においてより満足している。

Q. ジプシーコアの最初の形式を作ったクリエーターやリリースは何だと思いますか?

長いこと多くの人がジプシー音楽と電子音楽をリミックスして作っていたのは間違いない。誰が最初かははっきりとは言えない、僕以前のクリエーターは誰も知らないけど僕が先駆者とは言わないよ。

Q. ジプシーコアのトップ5を教えて下さい。

あははは、選べないよ〜 E-Coli、Katch Pyro、Freddy Frogs は気に入っているプロデューサーだけどね。

Q. 現在のジプシーコアについてはどう思われますか?

まさに盛り上がろうとする寸前な気がする。今まできちんと作り上げられてきていなかったけど、本当にいい曲にはチャンスがあると思うよ。

Q. あなたにとってジプシーコアの魅力とは何ですか?

ジプシーコアは、本来2つのハイエナジーなジャンルの融合で、ダンスフロアにおいて膨大なエネルギーを持つと思う。プロデューサーらが伝統的な音楽を使うと、普段ハードなダンスミュージックを聴かない人たちを繋ぐことが出来ると確信している。

E-Coli
https://soundcloud.com/e-coli
https://www.facebook.com/ecolimusic

Q. ジプシーコアをどのように知りましたか?

ジプシーコアに出くわしたのは、Ed Cox, Freddy Frogs やLife4Land などのアーティストやレーベルからだよ。それからすぐに、ジプシーコアの本元となるRinge Raja Records が始まったんだ。

Q. ジプシーコアのトップ5を教えて下さい。

Ed Cox – Lonely Clown
Wan Bushi – Crazy Accordion Conny Bitch
Fexomat – Petrosnizza
Katch Pyro – Give me your tears gypsy
Figcake – Balkan Caravan

Q. 現在のジプシーコアについてはどう思われますか?

最近はジプシーコアを作っている人は少ないね。僕自身、曲の中で「コア」はもう使っていない、通常はテクノ・スタイルで作っている。それでも幾つか面白い曲は出てきているけどね。

Q. あなたにとってジプシーコアの魅力とは何ですか?

ハードコアなビートに絡み合ったダンサブルなメロディが好きだよ。対照的なものが音を特別なものにする。

Fexomat
https://soundcloud.com/fexomat
https://soundcloud.com/ringe-raja-records

Q. ジプシーコアをどのように知りましたか?

2005年頃にDJ Sickhead からバルカン音楽を紹介されてから、曲作りを始めたんだ。彼からジプシーのヴォーカル・チャントからトランペット・バンドに至るまでたくさんの曲をもらったよ。僕たち(NSF – Neurotic Sound Foundation)はそこからリミックスやサンプリングをしたんだ。

それから2年後に、DJ Sickhead と僕はRinge Raja Records を立ち上げようと決めたんだ。ワールド・ミュージック・コアに関連する全てのプラットフォームだ。

Q. ジプシーコアの最初の形式を作ったクリエーターやリリースは何だと思いますか?

Ed Cox のClowncore がジプシーコアのヴァイブを持った最初のものだと思う。

Q. ジプシーコアのトップ5を教えて下さい。

たくさんあり過ぎるよ〜 Ringe Raja Records のもの全部!

Q. 現在のジプシーコアについてはどう思われますか?

より多くの人がこの音楽を好きになってくれて嬉しいよ。僕らのレーベルは集中出来る時間がなくて今はちょっと動きがないけれど、幾つかリリースの話が進んでいるものがあるよ。

Q. あなたにとってジプシーコアの魅力とは何ですか?

最高なパーティー・ミュージック。楽しくて、アホっぽい、ハードでエクスペリメンタル。

Wan Bushi
https://wanbushi.bandcamp.com/
https://www.facebook.com/wanbushimusic

Q. ジプシーコアをどのように知りましたか?

どこでジプシーコアという言葉を見つけたのか定かではないけど、ジプシー音楽とハードな電子音楽をミックスして作っていたFexomat とE-Coli のおかげだと思う。だけど、僕の曲「Crazy Accordeon Conny Bitch 」は実はけっこう古いジプシーコアな曲だよ。ジプシーコアを知る以前に作っていたんだ。

Q. ジプシーコアの最初の形式を作ったクリエーターやリリースは何だと思いますか?

Ringe Raja Records (https://soundcloud.com/ringe-raja-records)はジプシーコアのみに着目した最初のレーベルとして評価する、それ以前はジプシーコアのみをリリースしていたのはどこもなかった。でもバルカン音楽と電子音をミックスするというアイディアは、もちろん目新しいことじゃない。僕のホームタウンにでさえ、2006年からバルカン音楽にテクノ、ハウス、ドラムンベースやハードコアをミックスしているBalkan Hotseppers (https://soundcloud.com/balkan_hotsteppers)というDJ がいるよ。

Q. ジプシーコアのトップ5を教えて下さい。

ちょうど選べるのが5曲のみ、順番は関係ないよ。

Ludwik Zamenhof – Balkan Glitch Step
Audiotist – the filthy drummer
Dr. Peacock – Trip to Ireland
C3B x General Waste – Lek It Kho
Figcake – Balkan Caravan

Q. 現在のジプシーコアについてはどう思われますか?

以前よりも多くの人がジプシーコアを作っていることはいいことだよ。でもそういう人は中々見つからないんだ。ジプシーコアの過去から現在までの全リリースが載っているカタログがあるといいんだけどな。

Q. ジプシーコアの魅力とは何ですか?

ハードな音楽+スマイル。純粋に幸せな気分になる楽しいもの。今の世の中、何でも深刻になる中で、いい気晴らしになるものがあるのはとてもいいことだよ。

翻訳:Megumi