“GHz Interview38” Aggression Audio

GHz Interview

ハードコア・テクノとドラムンベースを融合させたサブジャンル「クロスブリード(Crossbreed)」を主軸として、ダークでハードなドラムンベースやブレイクコアまで取り入れた作品展開で支持されているレーベル兼コレクティブ「Aggression Audio」のインタビューを公開!

日本から世界に向けて上質なクロスブリードを届けており、海外のアーティストとも積極的に関わっておられるAggression Audioの歴史をメンバーの皆さんにお聞きしました。レーベルが始まった経緯からクロスブリード/ハードコア・ドラムンベースの定義、楽曲制作についてなど、ファン必読な内容です!

Aggression Audioは、9/17中野heavysick zeroにてMANTLEとの共同主催でPRSPCTの20周年記念ツアーをオーガナイズされますので、当日までこのインタビューを読んでクロスブロード/ハードコア・ドラムンベース熱を高めて準備しておきましょう!

Aggression Audio
https://twitter.com/AggressionAudio
Aggression audioは2017年4月にPemcyがColon、Takeru、Quarkと共に立ち上げたクロスブリードレーベル。
ダークな世界観から繰り広げられるトラックの数々は、Lowrollerや、Deformer、Coohといった第一線のアーティスト、国内のタレントによる実験的なクロスブリードサウンド、新たな才能によるフレッシュさと多岐にわたり、世界中のコアなクロスブリードリスナーから高い評価を受けている。
レーベルパーティの「INNOVATE」では過去にHallucinator、Deformer、Shadow Sectらを、ゲストに迎えており、イベンターとしての活動も行っている。



20 Years of PRSPCT Japan Tour Tokyo

Supported by MANTLE & Aggression Audio
2023/Sep/17(SUN)
23:00 – 5:00
At Nakano heavysick ZERO

■Entrance Fee
DOOR: ¥4,000+1D
DISCOUNT: ¥3,000+1D *遠方割

■SP Guests from NL
DJ Hidden
Sinister Souls

■B1F Floor
Bishamon
Crossbreed 4 Headz
MIDI War B2B Coretex
Miyuki Omura
100mado

■B2F Floor
Amaretto
Holly
Kanon
pencil
Twisted Soul 9999
uniyama
DJ YEW B2B TAK666

*遠方割条件
(1) 東京・神奈川・千葉・埼玉以外の遠方からお越しの方。
(2) エントランスにて来場までの道程がわかる交通証明のご提示をお願いします。
(切符の領収書、バスや飛行機の予約票、高速道路の利用明細等)


Q. Aggression Audioがスタートした経緯を教えてください。

Pemcy:
立ち上げ時メンバーはColonさん、Takeru、Quarkと僕の4名で2015年8月のHARDGATE01で会って、意気投合したのが最初のきっかけです。(後にHollyが加入して今は5名体制)クロスブリードやってます!って表立っていう人はなかなか珍しいのか何かと4人一緒になることが多く、レーベルをやってみようかという流れになるのはごくごく自然でした。
あとは音楽の性質上、曲を作ってもリリース先をどうするか悩むことが多く、フットワーク軽く実験的に曲を出せる場としてレーベルを立ち上げてみた側面が大きいです。
上記経緯から2017年の春M3で1作目『MISFIT』リリースのタイミングでAggression Audioがスタートしました。

Q. Aggression Audioのコンセプトは?

Pemcy:
攻撃的なサウンドであること、ダークであることです。
あまりジャンルとしての一貫性などは考えておらず、アーティストがクロスブリードをどう捉えており、どのようなサウンドが出てくるのかといった面白さを大事にしてます。
ジャケットのコンセプトアートは実の弟に書いてもらっており、弟がドロヘドロが好きな影響もレーベルの印象に大きくかかわっているかもしれません。1,2作目とかのジャケットを見てもらえればなんとなく察するかと(笑)
ちなみに1作目はSwitch TechniqueのBelladonna LPをオマージュしたデザインになってます。


Q. Aggression Audioはハードコア・ドラムンベース/クロスブリードにフォーカスしたレーベルであると思われますが、どのようにしてハードコア・ドラムンベース/クロスブリードの存在を知って引き込まれていったのでしょうか?

Colon:
高校生のころ、地元福岡のレコード屋さんでCrossbreed Defenition Series Part 1を見つけたことですね。

Takeru:
初めてハードコアドラムンベース(以下HCDNB)を意識したきっかけは、ベネズエラ(現在はアメリカ)で活動中のアーティスト「Zardonic」の”Bass Metal (2013 Promo Mix for DJZ)”がきっかけでした。Dubstep,DnBを中心としたmixなのですが、中盤に差し込まれたDarkstepやHCDNBを聴いた瞬間、「このリズムが複雑かつ理解しがたい曲たちは一体なんだ!?」と度肝を抜かされました。
そこから、DarkstepやHCDNBの魅力に取り込まれてしまい、The Outside Agency、Switch Technique、Katharsysなどの曲を自ら掘り進んでいき、現在に至ります。

Quark:
2015年にHardtunesで聴いたSa†an – First Bloodからがキッカケですね。Hardcore自体は2008年ごろからIndustrialを中心に聴いていました。

Holly:
HARDGATEのジャンル紹介記事から存在を知りました。ダークステップアーティストである3×6さんのコラムで更にはまっていったと記憶しています。

Pemcy:
Hardcoreをよく聴くようになったときにOmi – The Future Life という曲が非常に気に入っていて、リリースしているレーベルを調べたらThe Thirdmovementでした。
そこからIgneon System & Deathmachine – Sins にはまりIndustrialやCrossbreedの無骨さや多様さに引き込まれました。
もともとドラムンベースが好きなのもあって、PRSPCTなどの存在を知ったことも大きかったですね。

Q. ハードコア・ドラムンベースとクロスブリードの違いとはなんでしょうか?

Colon:
個人的には似たようなものだと思っていますが…強いて言うならHardcore DnBの方が指している範囲は広いと思っていて、2ジャンルの要素を併せ持っている音全般を指すと思います。
Crossbreedについては、提唱者のTOAも具体的な定義を示していないものの、”Crossbreed Definition Series”から感じ取れるジャンル像はハードルが高いもので、仮に自分が作ろうとしてもどちらかのジャンルに寄りすぎてしまうと思います。

Takeru:
あくまでも主観ですが、Crossbreedはハードコアのサブジャンルとして認知されていることが多いと思っています。そのため、ドラムンベースかハードコアか、の違いしかないと思っていますが、確率されたジャンルでもないので、言及は難しいですね。

Quark:
あまり違いについて考えたことはありませんが、作者がどちらと言って作っているかで決まると思ってます。

Pemcy:
前者はドラムンベースにハードコアのアプローチを加えたもの、後者はハードコアにドラムンベースのアプローチを加えたものかと思ってます。
どのようなアプローチを仕掛けるかはアーティスト次第なところがあることが、これといった曲調が定まっていない要因かと捉えています。

Q. 最初にリリースされたコンピレーション『MISFIT』はどのようにして作られたのでしょうか?

Pemcy:
M3でCDとしてリリースしたのですが、CDの入稿の経験や即売会の知識が全くなく手探りで進めていったのが一番記憶に残っていますね(笑)
コンピレーションの参加者にはこの人がクロスブリードを作ったらどうなるか聴いてみたい!という人に声をかけてます。様々な解釈の曲が集まって、バラエティ豊かな大変良いものが作れました。

Q. Aggression Audioの活動が始まった時、ハードコア・ドラムンベース/クロスブリードは国内ではどういった状況でしたか?

Takeru:
2017年頃はCrossbreedが国内での認知が広がり、Crossbreedの要素(強烈なスネアなど)を取り入れた曲も多く見られたと記憶しています。

Quark:
音ゲーにも一時期入りましたし、一番流行ってたんじゃないかなと思います。とはいえニッチなジャンルであることには変わりないですね。自分も乗じて音ゲー公募に挑戦したりしたんですが、実力及ばずでした。

Q. Aggression Audioのリリースするハードコア・ドラムンベース/クロスブリードはドラムンベースとハードコア・テクノのリスナーからどういったリアクションを得ていますか?

Pemcy:
近いジャンルである、ダークステップやハードコア・テクノのリスナーさんからは自然に受け入れてもらっており、クロスブリードやハードコア・ドラムンベースといった分野は認知されてきているなと思ってます。
あとはブレイクコア勢の作るブルータルな曲調が好きで、Stellabeeさんや、pencilさん、sabi_cさんにも参加してもらっている中でブレイクコアのリスナーさんも増えたと感じてます。
しかしながらあくまでハードコア・テクノの一種という印象が大きく、ドラムンベースのリスナーさんにもちょっと変わったドラムンベースという形で認知を広めていきたいなと考えてます。


Q. 楽曲制作で使われているDAW/機材は?楽曲制作のプロセスを教えてください。

Colon:
Ableton Live(DAW)

Takeru:
FL Studio(DAW)

Quark:
Ableton Live(DAW)
ガバキックとドラムを作ったらあとは曲の最初から徐々に作っていく形進めていきます。
最近はミックスを重視してまして、より高い音圧で多くの低音を出せるよう試行錯誤していますね。

Pemcy
FL Studio(DAW)
16小節ほどのドラムパターンを最初に作り、ベースなどつけたし一番音が大きなドロップ箇所を最初に作ってます。そこから引き算で各パートを作ってます。スネアとミッドベースのバランスがよく意識してるポイントですね。

Q. キックとベースはどのように作られていますか?

Colon:
Hardcore/Neurofunk系のサンプル素材をレイヤーしています。

Takeru:
サンプル素材をいろいろと加工しています。

Quark:
ベースはSerumがほとんどで、フィルでたまにワブルベースのサンプルを使います。キックは結構気まぐれでRawkick使ったり、普通のキックからEQとDistortion重ねて作ったりします。歪んだベース感を出すときもあればガバキック寄りの時もあります。
アタックとベースはそれぞれ別のグループにしてサイドチェインを掛けやすくしたり、Stem mix時に処理しやすいようにしてます。

Holly:
普通のキックを歪ませた音と、VitalやSerumなどのベースを使ってます。
土台となる音は昔から作ってきたキックを改良してきたモノのため、秘伝のタレのような状態です。

Pemcy:
キックはドラムンベースのサンプル素材を使ってます。
ベースはSerumで作ったsub/midベースにサンプル素材のmid部分をレイヤーしてます。

Q. ハードコア・ドラムンベース/クロスブリードのプロデューサーはサンプルパックを頻繁に発表していますが、それらの素材を使うことはありますか?

Colon:
効率よくクオリティが上げられますので、使うことはよくあります。しかしながら音作りの根幹がわからず、自分の音が何かを見失ってしまう可能性もあると思い、バランスが大事かなと思ってます。

Takeru:
よく多用しています。誰でも曲を作れるということは、サンプル素材の良いところだと思っています。

Quark:
Switch TechniqueとThe Outside Agencyのをよく使ってます。始めたてだったりでそのジャンルに適した良い音を出すにはいいと思いますが、結局続けていくとその人の個性が必要なので、自分のサウンドセットみたいなものを構築していってそのまま使わなくなるのかなぁ~と思ったりします。
自分は今効率化と個性向上のために自分のサウンドセットをしっかり決めようかなと思ってます。

Pemcy:
作り始めた時はGancher&RuinとCoohのをよく使っていましたね。最近だとS.P.YのやLabsamplesから出てるDub Headのものがお気に入りです。個人的には高品質なサンプルパックを見つけて、効率よく曲を作るというのは良いことだと思ってます。
作り続けるうちに音の組み方で個性は出てきますし、足りない音を感じた時にシンセで音作りにチャレンジしたりというのが楽しいですよね。

Q. ご自身が今までにリリースした曲の中で最も納得のいっている曲とは?

Colon:
For You(Aggresion Audio)です。

Takeru:
現時点での最新作「Dr​.​Strangecore or How I Learned To Stop Worrying and Love Crossbreed」に収録された「Primal Walker」(Aggresion Audio)です。学生時代、Darkstepなどを聴いて深夜に散歩することが趣味だったので、その記憶をコンセプトにして作りました。

Quark:
Pocotan & RU-I – Element Symphony (Quark Remix)(Login Records)ですかねぇ~
序盤は16分刻み&リミックスの成分入れつつ、最後はQuarkbreedでめちゃくちゃになります。一生擦ると思います。

Holly:
Digitalian Killed The TV Starです(Prototypes Records)。広く認知してもらえたのはこれのおかげだと思います。

Pemcy:
ISACCAに収録されている、Futileですね。自分でCrossbreedとして作ったのはこれが最初で最後かもしれないです。
DAWのデータはもう吹っ飛んでしまいましたが、またこういう系統のものを作りたいですね。(Japanese Stream Hardcore)

Q. 9月17日に中野heavysick zeroにてAggression AudioとMANTLEのオーガナイズで開催されるPRSPCT 20周年ツアーで来日するDJ HiddenとSinister Soulsはどんなアーティストですか?

Colon:
DJ Hiddenは世界観の深いアーティストだと思います。例えばダークさと可愛さ、ハードな音と綺麗な音…といった相反する要素が高い次元でまとめられています。
真似しようと思ってもできない作品で、一度魅力に取りつかれると何年たっても聴いてしまう、そういう音です。中でも特にThe Raw UniverseとBreathe In Breathe Outが好きです。
Sinister Soulsの曲は分かりやすく盛り上がる曲が多いです。ジャンル初見の人でも良さが伝わるし、踊りやすいですね。具体的にはSwingやHorns Up、Tuh Tuh Duhなど…10年以上経っても使いたいと思える曲たちです。

Takeru:
Sinister Souls(以下SS)は、友達と一緒に聴いて楽しくなれる音楽で、みんなで一緒に歌えます。(Tuh Tuh Duh、Horns Up、Snare Factoryなどは友達とよく歌っていました)
DJ Hiddenは独りでしんみりと堪能し、孤独に昂れる音楽、というイメージです。(勿論、みんなで聴いても楽しいですよ!)
そういう意味では、DJ HiddenもSSも、対極にいるイメージです。そんな両者を同時に見れる日が来るなんて夢みたいですね・・・

Q. 国内のプロデューサー/レーベルで現在注目しているのは?

Colon:
Supireさん、Hollyさんですね。

Quark:
Hollyさんですね~ 制作スピードも速いし、クオリティも高いし、何より雰囲気が暗いままブレないのですごいと思います。

Holly:
Noise Parfumerieさん、Type-RUKUさん。

Pemcy:
国内のレーベルですとPersona non Grata、Turing、Liminal Warpが好きですね。
アートワークもサウンドもかっこいいですし、新しいことや面白いものを発信してますよね。
プロデューサーですとDeficitさんとSunkt8さんですね。
Holly – Tokyo Overground Buddah(Deficit Remix) は特に強烈で最高です。

Q. 今後の予定を教えてください。

Pemcy:
Aggression Audioの10作目として近日New EPがリリースされます!すばらしい内容になってますので、ぜひお楽しみに!
デモも随時受け付けてますので、レーベルのTwitterやSoundcloudにお気軽にDM下さい。https://aggressionaudio.bandcamp.com/
https://soundcloud.com/aggressionaudio