“GHz Interview37” Numb’n’dub

GHz Interview

ブレイクコアのメンタリティと手法を受け継ぎながらジャンルレスにグローバルに活動する規格外なアーティスト「Numb’n’dub」の最新インタビュー!

5月25日にMurder Channelから新作『Numb’n’dub meets Murder Channel』のリリースを控えているNumb’n’dub氏にコロナ過での活動、ダブプレート制作、ブレイクコア、大阪のシーンに関してなどをお聞きしました。

『Numb’n’dub meets Murder Channel』受注生産限定セットはMxCx online storeにて5月5日まで受付中!
https://mxcxshop.cart.fc2.com/


Q. コロナ過での音楽活動はNumb’n’dub(以降NMDB)さんにどういった影響を与えましたか?

コロナの世界的パンデミックが起きて、自分を取り巻く環境ももれなく変わりました。
今まであった構築されたもの、DJ、バンド、パーティーも一旦強制的に0になって、また1から以前とは違う形でそれが築き上げられてるなって感じます。
最初の頃はコロナ以前に戻りたいっていう感じでしたが、また新しく1から構築されてく方が良いなと感じました。

Q. コロナ過にNMDBさんは日本だけではなく、海外の配信イベントにも出演されていましたが、配信ライブで重要にしていた事とはなんですか?自粛期間中で印象に残っている配信イベントは?

自分は何かとポジティブに捉えるところもあるので、仕方なく配信でプレイするっていう感覚より、配信だからこそ、現場ではできない面白いことができると思っていて。いろいろ現場ではできない小細工とかを入れたプレイスタイルで楽しんでおりました。

Q. ウクライナのSuck Puck RecordsとNMDBさんは親交が深いですが、最初に彼等の存在を知ったのはいつ頃ですか?Suck Puck Recordsは現行のブレイクコアやレイヴミュージックにどういった影響を与えていると思いますか?

彼らと最初に出会ったのは、2019年に出演したイギリスのフェスティバルBOOMTOWNでした。すぐに意気投合してバックステージで僕が持ってきた日本の音楽に、彼らが即興でアーメンブレイクスをのっけて遊んだりしてました。
SUCK PUCKはヨーロッパでブレイクコアを中心にハードでヘンテコなレイヴミュージックを発信する貴重な存在です。フェスティバルでテイクオーバー枠があったり、自分たちでもレイヴを開催したりしてるので、今後もっと大きくなっていくように自分も何らかの形で協力したいなと思ってます。

Q. The GAME SHOPとの共作『RUDEBWOYZ ARE ALIGHT EP』はどういった経緯で生まれたのでしょうか?

近年は多種多様な音楽性のロックバンドが出てきていて、THE GAME SHOPもドラムンベースやブロステップをロックバンドとして体現しているんですけど、クラブ側のベースミュージックの捉え方と、ロックバンド側での捉え方が違う事を否定的に意識することも実際あると思うので、THE GAME SHOP、KIT from MeloiksigNをバンド側から、自分とROAD TO OUTLOOKで優勝してるNINETY-Uを迎えて、一曲ユニティしてる曲を作りたいなと思い作りました。

Q. NMDBさんはダブプレート制作を頻繁に受けていますが、いつ頃からダブプレートの依頼を受けるようになったのでしょうか?NMDBさんがダブプレート・カルチャーを知ったキッカケは?
様々なジャンルのDJにダブプレートを提供していますが、最も以外なジャンルからのオファーとは?

ダブプレートに関してはありがたいことに定期的に依頼を受けてやらせてもらっております。始まりはそれこそ、OUTLOOKフェスティバルが日本で開催され始めた頃とほぼ同時期ですね。
北海道のIMPACTというクルーのDJ NoBがいち早く自分にダブプレートの依頼を出してくれました。ダブプレートってレゲエのフィールドで盛んにあっているイメージですが、彼らはロックDJ集団なんで、ロックDJのフィールドからオファーを受けたのがすごく衝撃的でしたし、絶対に面白いって感じました、結果、彼らはそのサウンドクラッシュで優勝しております。

Q. 現在のダブプレート・カルチャーについての見解を聞かせてください。

OUTLOOKフェスティバルの影響もあり、日本国内でレゲエの世界でよく行われていたサウンドクラッシュが、他のジャンルの中でも行われるようになったなと感じます。その影響からいろんなジャンルのダブプレートがどんどん出てきたなと。
Mighty Crownが国内のロックフェスようにバンドのダブを録って出たり、実際コロナ禍でいち早くDJ SHIMAMURA企画のFAR EAST TAKEOVERで、東京vs大阪とかでハッピーハーコアでサウンドクラッシュしましたし(たぶん世界初!?)、サウンドクラッシュじゃなくても、ロックやハッピーハードコアとかのDJをやっている人たちの中で、自分にしかできない個性を出したいと思ってる人たちはこのタブプレートを作るというやり方で、それが実現できたらいいなと思っています。

Q. 2023年に入ってからのNMDBさんの周りの音楽シーンはどういった状況になっていますか?今気になっているアーティストやDJは?

2023年に入って、また新しい形で築き上げられてきた音楽シーンがどんどん定着して加速しているように感じます。ローカル内でジャンル関係なしに、いろんな繋がりができて、それがパーティーやそれぞれの音楽活動に深く関わっているって感じます。
大阪でも、新しいアーティストと現場でお会いすることも多くなって、みんなそれぞれ個性があって好きです。そこまで深く関わってはないけど、関西ハイパークルーとかSNSを通して見る限りではアホなことしてて、自由で面白いなと思いました!

Q. Murder Channelの音源をメガミックスした『Numb’n’Dub meet Murder Channel』をもうすぐ発表されますが、どういった方法でこのメガミックスは作られたのでしょうか?

普段からDJ出演する時は、自分の中でばいを般若スタイルって言ってるんですが、普通にDJもできるんですけど、やっぱり自分にしかできないことやりたいんで、ミックス用に曲をエディットしたり、上からアカペラを足したり、ほぼ曲作りみたいな感じでやるんですけど、それの最たるものが今回のミックスになってます。
Murder Channelからリリースされている作品を中心に、ビートを組み替えたり、アカペラを出してみたり、曲のスピードを速くしたり遅くしたり、Murder Channel関連の映像作品からサンプリングしてきたりと、DJミックス的な感じはあるけど、10何分の長い一曲みたいな感覚もあります。

Q. 『Numb’n’Dub meets Murder Channel』にはサイケアウツGとKrumbleのリミックスが収録されていますが、NMDBさんにとって彼等はどういった存在でしょうか?

サイケアウツGに感しては大阪でいち早くドラムンベース、ジャングルを基調にクラブ系ライブアクトとして活躍されるほんまのレジェンドですよね。ずっと自分も一緒に何かやりたいって思ってましたし、今回それが実現してすごく嬉しいです。
KRUMBLEは自分がブレイクコアにハマってた時期に名前を連ねていた重鎮なので、こちらも時を経て一緒にやれてすごい嬉しいです。

Q. 『Numb’n’Dub meet Murder Channel』のイラストを手掛けたJak M.C.Sについて教えてください。

UKで今最も勢いのあるレイヴフェスのBALTER FESTIVALのアートワークを担当している地元のタトゥーアーティスで、UKの三大レイヴフェスの中でも1番アートワークが好きなフェスティバルです。自分が出演させてもらった時から、いつかこのフェスティバルのアートワークの一部みたいなデザインをして欲しいなと思っていたので、今回それが実現して嬉しいです。

Q. 2021年に同レーベルから『Old Skool Tycoon Killah』というストレートなブレイクコアのシングルをリリースしていましたが、今作のテーマは何だったのでしょうか?

この曲に関しては、完全にBACK TO 2000年代って感じ。自分が大好きだったサウンド感を現代に蘇らせたいと言う思いからつくりました。

Q. NMDBさんはブレイクコアを活動当初から作り続けてアップデートさせていますが、ブレイクコアを自身の表現方法に取り入れ続けるのはなぜですか?

1番自分に合っている音楽だなと思います。海外に出始めた頃から、それがより強く出てきてると思います。ちょっと前までは、それまで自分がやってたボーカル曲、ブレイクコアも混合させるスタイルの合点が見つけれてなく、いろいろ試行錯誤してたんですけど、ここ最近はそれが自分の中で完全に合点のいく形になり、今の自分が1番良いなと感じます。

Q. NMDBさんは音楽活動を続けてもうすぐ20年を迎えますが、活動を続ける中で困難な時期などはありましたか?スランプになったときの解決方法とは?

長くやり続けてきて、最近思うのはやっぱり、心から好きだって思える音楽を、トレンドや流行、周りに流されずに表現する大切さを噛み締めてます。そして自分の個性を素直に出しやすい時代になってると思います。

Q. 同年代のアーティストやDJ達、同じ場所で活動していた人々がシーンから離れていくのをどう感じていますか?

大体5年から10年で、ローカルのシーンの風景は変わるってあるアーティストの方とお話してたことがあるんですが、やってる方はずっと好きでやってるんで、あまり変わらないなと思います。
以前までは、諦めて去ってしまうアーティストに対して、もっと頑張れよ!みたいな気持ちはありましたが、死んでしまう人もちらほらいるし、命が続いて、その人が生きてるだけでいいなと思うようになりました。

Q. NMDBさんが長きに渡る音楽活動で得たものとは?

それが、初期衝動の中にあるかどうかは人それぞれあると思うけど、自分がお客様やリスナーやったとして、その自分がこういうアーティストがいれば1番楽しい、絶対に面白い、これが自分だって思える音楽。ちなみに続けるということが1番健全だなと思います。プロモーションの面でいろいろ見せ方とかで自分の見える景色も変わると思うので、芯になる部分はブレずに貫いていくことが良いなと思います。

Q. 今後の予定を教えてください。

延び延びになってますが、曲は完成しているのでアルバムを出します。

2017年にGHz Blogにて公開したロングインタビューも是非チェックを!
http://ghz.tokyo/ghz-interview15-numbndub-a-k-a-nmdb/