“GHz Interview33” yumeo & Shimon_Harbig

GHz Interview

6月10日にMurder ChannelからスプリットEPをリリースする期待の次世代アーティスト「yumeo & Shimon_Harbig」のインタビューを公開!

両者ともにテクノを軸としてノイズ、ブレイクコア、ダブステップ、ハードコアなどをモダンな感覚で組み合わせた楽曲を発表し、ユニット「codesight」としても非常にクオリティの高い作品を発表しています。

このインタビューでは両者の音楽的ルーツから出会い、楽曲制作の方法、スプリット『Grace』についてなど、興味深いお話を沢山お聞きしました。
インタビューに合わせてyumeo氏によるプロモミックスも公開されましたので、合わせてチェックを!

yumeo
2016年活動開始、実験的な作品を数多くリリース。
ビートメイクや作詞、作曲などを行い様々なコンピレーション、イベントに参加。
2022年よりスタイルを変え、現在活動中。

Shimon_Harbig
2017年からDJとして活動を開始し、翌年の2018年から楽曲制作を開始。
エクスペリメンタルな展開と陰鬱なサウンドを特徴とし、2022年4月にリリースされた「Gimcrack Life Is Enough Is Enough Is Enough !!!」より自身のスタイルを確立。それ以降はハードコアテクノ、ガバ、ハードテクノを中心に制作。
東京・渋谷を中心にDJの活動をし、海外アーティスト招致のパーティーにも参加している。
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Q. ご出身はどちらですか?どういった環境で育たれて音楽に興味を持たれたのでしょうか?

yumeo(以降y): 生まれも育ちも千葉県です。今も。興味というと元をたどれば幼少期に親の影響でYMO、MDに入れてあったモーニング娘。などをとても聴いていました。本格的に向き合って聴くようになったのは中学生あたりでそこから拡がっていきました。

Shimon_Harbig(以降S): 父母共にPC関係の仕事に就いていたのでネットに触れる機会が多く、幼少期からYouTubeなどでよくドラクエのBGMを聴いていました。 また姉がフルートの奏者で、オーケストラなどの管弦楽やジャズを生で聴くことが多かった為、興味というか、元々音楽が好きでした。

Q. お二人はハード・テクノ、インダストリアル・テクノ、ハードコア・テクノと様々なタイプの「テクノ」を作られていますが、テクノに興味を持たれたのはいつ頃からですか?

y: 元々、テクノに対しては、それまで色々な音楽に出会って調べて聴いてみたけどそこまでハマる感じじゃなかったです、ですが16歳くらいの時だったか”I HATE MODELS”氏の”Warehouse Memories”がネットサーフィン中に出てきて聴いたら感動し、そこからオールドスクールから最近のRAWな雰囲気のまで広く浅くゆるい感覚で聴いています。なので後から捉え方が変わった感じです。

S: 中学生の頃です。YouTubeの「あなたへのおすすめ」でなぜかEuromastersを急におすすめされ、それがきっかけになり、テクノに限らず様々な電子音楽に興味を持ち始めました。今まで高IQな音楽しか触れたことの無い、また多感な時期の僕にとって、この下品で低脳でフザけた音楽はとても魅力的でした。

Q. ご自身で音楽制作を始められたのはいつからですか?

y: 14歳くらいに音MAD動画の影響で落としてフリーの映像編集ソフトに同封されていた波形編集ソフトで雑多にサンプリングとかレコーディングした素材を加工してノイズコラージュぽいゴミを作ってました、黒歴史。それから2年くらいしてバイト代でAbleton liveとか機材を諸々揃えて、とにかくがっついていろんなジャンルを作ってました。データが残ってないのが悔しい。。

S: 本格的に制作を始めたのは某専門学校に入ってからなので、4年前です。高校生の頃からDJとしてデイイベント等出演していたので、DJ用にオリジナルトラックを制作し始めました。その頃テクノからは離れており、House、TrapやDubstepなどのベースミュージック、Hardstyleと、とにかく様々なジャンルを制作していました。

Q. ご自身の音楽活動に対して、最も影響を与えた作品のトップ5を教えてください。

yumeo
-Warehouse Memories / I HATE MODELS
-VITAMIN / 電気グルーヴ
-cartooom! / Plus-Tech Squeeze Box
-CRUDE POP SHOW TIME+ / SCHOOL YOUTH
-1000 gecs / 100 gecs
-ナゴム ポップスコレクション / V.A.

Shimon_Harbig
Noiken In Die Koiken / Euromasters
Rotterdam Nation 94 / Shinji Hosoe
123 kuj gie nog teln ? / Tripped
Torsion / Atomicon
Shake It / Cesqeaux & LNY TNZ

Q. 現在の名義以前にも音楽活動はされていたのでしょうか?

y: 本格的に活動し始めた初期は違う名義でエレクトロニカとラップトップノイズ的なライブとか創作をちょくちょくやっていました。無理やり地元の友達とスカムコピバンでベースを弾いたり。そのあとyumeoになってから初期はチップチューン、ブレイクコア、ラップトップパンクスタイルのライブをやったり滅茶苦茶ですね。今のスタイルはほんと最近です。

S: DJ活動を中心に、DJ用の楽曲を制作をする「Shimon」と、「Shimon」ではできないジャンルの楽曲を制作する「HARBIG」の2つの名義で活動していました。制作した楽曲は主にSoundCloudに投稿するだけでしたが、yumeoとの「2 Way Split」アルバムは「HARBIG」名義でリリースしました。
2019年に2つの名義を統合し、現在は「Shimon_Harbig」としてDJ活動、楽曲の制作をしています。 余談ですが、この名義はドイツのビスクドールメーカー「Simon & Halbig」から取っています。

Q. お二人の出会いについて教えてください。

y: 同じ専門学校で同学年で出会いました。最初はお互いトゲトゲでした。

S: 某専門学校での最初の授業です。出席番号が僕の次だったので、「いつも隣にいる奴」という印象でした。 話していくにつれ、その狂気じみた発想と感性が怖くなり、対抗するかのように「HARBIG」名義を作りました。そんな奴が2年間ずっと隣にいた為、僕も良い具合に毒され、学ばさせて頂きました。卒業した現在も仲良くさせて頂いております。

Q. 音楽の専門学校に通われていたとの事ですが、学校で学ばれた事は現在の音楽制作にどのように活かされていますか?

y: マスタリングやミックスなどの細かいデティールに関しての知識はとても活かされています、そして創作精神面での人生のヒント。あと、とても印象に残っているのが、”魅せ方の分かりやすさ”という授業で価値観改まりました。

S: テクノ中心のスタイルになった現在でも、音楽理論はよく活きていると思います。勿論、音作りや各エフェクターの使い方など技術的な面も活かされています。趣味程度にゲームやアニメのBGMを想定した管弦楽の楽曲を制作することがありますが、音楽理論をイチから叩き込んでくれた先生方に感謝しております。

Q. お二人は以前、codesightというユニットで作品を発表されていましたが、このユニットを始めた経緯を教えてください。

y: schwefelgelbやJawbreakers (JKS & Mayeul)のライブパフォーマンス映像で触発されてテクノユニット的なことを始めたいと思ってDJ活動をしてたShimonに僕から声をかけたのがキッカケです。最初はハード機材でやったりとかしましたが、ダルくなって全部DAW上で済ませました。今は活動休止中なのですが。また気が向いたら活動再開します。

S: 僕とyumeoのルーツで共通するものの1つがテクノであり、とりあえず1曲作ってみようと授業そっちのけで盛り上がっていました。授業中にスタートしたプロジェクトが「Bending of spells」であり、この曲はcodesight.がスタートする1曲となりました。

Q. yumeoさんはノイズミュージックやリズミックノイズ/テクノイズといったジャンルの要素をテクノに落とし込まれた楽曲をクリエイトされており、歪んだ音を好まれているように思えますが、そのような音にどういった魅力を感じられているのでしょうか?

y: 単純に歪んだ音は好きなだけで、あとは自分が作って聴いて心地が良いかどうかで創作しています。なので自分を搾り出して出た音というイメージです。

Q. Shimon_Harbigさんは『Grace』では、インダストリアル・ハードコアやガバを独自解釈された楽曲を収録されています。インダストリアル・ハードコア/ガバの王道的なアレンジや音作りからは離れた楽曲となっていると思えるのですが、これは意図的にされているのでしょうか?

S: 意図的といえば意図的です。元々僕の制作する楽曲は音数が多く、その時点で王道的なアレンジからは離れているかと思います。特に6曲目の「Optical Violence」はタイトル通り、光線のような展開の速さと、音数の暴力、それが顕著に表れているかと思います。その分ミックス、マスタリングに難ありといったところですが、元がガチャガチャしたジャンルなのでまぁいいかな、という雑なマインドで制作しています。

Q. 現在使用されている機材と楽曲制作のプロセスについて教えてください。

y: 昔から変わらずAbleton live suiteです。前はハードシンセやノイズマシーン、ピエゾとエフェクターを少々持ってたりとかしましたが、今は全部Live上で完結してます。キックを作ってそこから音を積んでいく手法が主ですが、良い感じのサウンドメイクができた場合はそれ中心に作ったりします。音を加工する作業が楽しすぎるのが仇となるのとミックスしながら制作しているので毎度創作スピードがとてつもなく遅くなってしまうのがネックではありますが、、そんな調子です。

S: DAWはCubase Pro 9.5です。最近はサンプリングが楽という理由でiMPC Pro2も一緒に使用しています。 ライブ用にKORGのELECTRIBE SXも所持していましたが、金欠のため売却しました。
制作する楽曲によって作り方を変えていますが、殆どは人間の話す声、笑い声、シャウトなどいわゆるVOXをサンプルパック、または自分の声をフレーズとして先に取り入れます。そのフレーズにハマるキックをアタックからリリースまでイチから丁寧に作り、CamelCrusherで台無しにした後、ローエンド補正→EQ調整→イメージャー調整→コンプレッサーでカチカチに仕上げます。あとは曲になるよう音源を配置するだけなので、制作時間の半分はキックに費やしているような気がします。 ごくごく稀にフレーズが頭に浮かんできますが、その場合にのみシンセサイザーを使用します。

Q. 『Grace』に収録されている楽曲で特に思い入れがある曲や、苦戦した曲などはありますか?また、お互いの楽曲に関して意見交換などはされたのでしょうか?

y: 特に思い入れがあるのは”Modification”ですね、自分が思い描いたサウンドに一番近づけたトラックです。基本全トラック制作作業後半になるにつれて苦戦します。今回はShimonと制作過程において意見交換などはしませんでした。

S: どの曲もそれぞれに思い入れがありますが、上記の制作プロセスと全く異なる方法で作った4曲目の「SOLID_X」は特に思い入れが強いです。ある映像の1シーンを楽曲で表現するという制作方法で、劇伴制作にも近い感覚でした。 意見交換など全くしませんでしたね。お互い3曲完成するまで、どんな楽曲を出してくるか分からない状態が続き怖かったです。

Q. 『Grace』はどういったリスナーの方に聴いて欲しいですか?

y: 色々な人?聴いてみて刺さる人がいて、僕らに何かしらのアクションがあれば嬉しいです。

S: この系統の音楽が好きで、王道のスタイルから外れたイロモノが大好きな方々に聴いて頂けたらと思っております。

Q. お二人の世代(1999-2000)からは国内外共に素晴らしいアーティストが登場してきています。同世代でシンパシーを感じるアーティストなどはいらっしゃいますか?また、ご自身の世代に共通しているものなどはありますか?

y: 知っている人のどなたが同年代かまだ詳しく存じ上げませんが。付き合い的には長くお世話になっているハーシュノイズデュオ “Wolf creek”やマッシュコア、ブレイクコアで凄まじいカットアップセンスの96-glassさんはシンパシーというかとてもリスペクトしてます。同年代の方連絡ください!共通する感覚はカオス。

S: 同世代ではgupiとFraxiomでしょうか、一時期ずっと聴いていました。僕がDJIPEの「No More Voices」を初めて聴いた時に感じたことですが、現代のアーティストにはよりエクスペリメンタルな展開の楽曲が求められているような気がしました。同世代のアーティストには必要な要素の1つであり、シンパシーというと烏滸がましい気もしますが、共通の求められているものと言いますか…それに近いものは感じています。

Q. コロナはお二人の音楽活動にも何かしらの影響は与えていると思われますか?

y: イベント中止とか自粛とかですかね?まだまだこれからって感じですね!

S: イベントの自粛等影響はあるとは思いますが、ネットがこれだけ普及した現代において、やりようはいくらでもあるのかなぁとも思います。VRとか、ちょっとやってみたい気もあります。 コロナ禍の今だからこそ、出来ることをしていきたいですね。

Q. 今後の目標や挑戦してみたいことなどはありますか?

y: 死ぬまで音を出し続ける、それだけ。あと、そのために部屋防音にしたいので稼いでいっそスタジオ建てたいです。それと挑戦といいますか予告というか、直にアナウンスしますが別名義でカオスポップもやっておりますのでそちらの方でも活躍していきます。よろしくお願いいたします。

S: 直近の目標はまず引っ越したいです。都内へアクセスしやすい所がいいですね…。リリース数を増やすこと、イベントの復帰など、上げだしたらキリがないですが、一つ一つ、焦らずに実現出来たらと思います。

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アーティスト / yumeo & Shimon_Harbig
タイトル / Grace
レーベル / Murder Channel
品番 / MURCD-045
価格 / 1000円(税抜)
発売日 /2022年6月10日

01. Intrigue – yumeo
02. Modification – yumeo
03. Metron – yumeo
04. SOLID_X – Shimon_Harbig
05. Iwannabe – Shimon_Harbig
06. Optical Violence – Shimon_Harbig
07. Throne – yumeo & Shimon_Harbig (CD Only)