“GHz Interview18” E-Coli

GHz Interview

UKのジャングルテック/ラガテック・アーティスト「Mandidextrous」と「C3B」と共に今月待望の来日ツアーを控えているUKのジプジーコア/ジプシーテック・アーティスト「E-Coli」のインタビューを公開!

これまでにE-ColiがJigsore~Amen4Tekno~OthermanRecords~Ringe Raja Records~Long Live The Animalsといったレーベルからリリースしたシングル/EPはジプシーコア/ブレイクコアやジャングルテックのリスナーを中心に圧倒的な人気を誇っており、去年12月にリリースしたEd Coxとのコラボレーション「La Alchemista EP」ではジプシーコアの金字塔を打ち立てました。
ポップフォーク~ポルカフォークなどのトラディショナルなバルカンミュージックにハードテック、ジャングル、ブレイクコア、ドラムンベースをミックスしたアッパーなジプシーコア・スタイルでシーンを牽引している重要アーティストの一人です。

本邦初公開となるこのE-Coliのインタビューでは彼のルーツからジプシーコアに纏わるストーリー、楽曲製作やUKのフェスティバルに関してなど興味深いお話を沢山お聞きしました。
来日ツアーの予習も兼ねてインタビューと共にE-Coliの作品も是非チェックしてみてください!




E-Coli
https://www.facebook.com/ecolimusic

Q.
貴方の出身地は何処ですか?現在は何処を拠点に活動されていますか?

育ったのはデヴォンで、ウェールズにも何年か住んでいたことがある。過去5年はブリストルに住んでいる。

Q.
音楽に興味を持ったのはいつからですか?
ライブでキーボードを演奏されていましたがピアノや音楽の勉強はされましたか?

今までずっと音楽をやってきた。幼少期からピアノを始めて、子供時代を通してレッスンを受けていた。クラリネットや他にもいくつか楽器をかじっていた時期もあったよ。10代の頃にドラムを始めて、しばらくはそれだけをやっていた。それで、音楽の制作を本格的にやり始めるまでは、10年ほどバンドをやっていた。

Q.
貴方に最も影響を与えたアーティストは誰ですか?

今までの人生において、幅広い音楽に影響を受けてきたから、最も影響を受けた一人のアーティストというのはいない。10代の時は、主にロックを聴いていた。特にリズムがテクニカルなバンドが好きで、大体ドラムの部分だけを集中して聴いていたんだ。最初に聴いた電子音楽のアーティストはWarp Recordsの典型的な・・・例えばAphex Twinやµ-Ziq、そして特にSquarepusherを聴いてから、電子音楽に完全にハマった。その後は、Bong-ra、Jahba、Life4Land Crew等の楽曲が出てきた時代にDJを始めたので、必然的に彼らによるブレイクコアのトラックをプレイしていた。あとは、昔からクラシカルも好きだったし、今でも様々なバンド、特にパンクやスカやバルカン音楽を聴いている。

Q.
音楽制作をスタートされたのはいつからですか?DJとしても活動されていますが、DJ活動を始められたのはいつ頃からですか?

大学で音楽技術を専攻している時に、Reasonを使って楽曲の制作を始めたんだ。あまりうまく形容できないんだけれど、トリップホップやエレクトロニカのようなものを作っていた。当時はArtemesiaという名義だったんだけど、何故そんな名前にしたのか思い出せない!多分「響き」が気に入ったんじゃないかな。数年その調子で活動を続けた後、Abletonを使うようになった。

Q.
E-Coliとしての活動を始めたのはいつからですか?

E-Coliとしての活動が始まったのは、当時大学生だった10年近く前、Abletonを使ってDJをやり始めた時。Jigsore Soundsystemのフリーパーティーで初めてのライブセットを録音して、それをアップロードしたいと思った時、新しいアーティスト名が必要だということに気付いたんだ。なかなか思いつかなかったけれど、最終的に高校生の時のあだ名だった「E-Coli」に決めたんだ。本名のElias Coleが由来。それ以上のことに繋がるとは夢にも思っていなかったけど、色んな人にミックスを気に入ってもらったおかげで、フリーパーティーでプレイする機会が増えて、その後はクラブにも呼んでもらえるようになった。最初は活動の全てをJigsoreと共にやっていたけれど、しばらくして、他のイベントにもブッキングされるようになったんだ。

Q.
あなたの音楽にはHardtek(JungleTek/Tribe)の要素があります。UK TeknivalやHardtekのパーティーには行かれていましたか?UKには素晴らしいHardtek/Tribeのアーティスト/レーベルが存在しています。貴方が影響を受けたUKのHardTek/Tribeのアーティストは?

うん。10代からUKのフリーパーティーに通い出して、Jigsoreと共にオーガナイズや出演もした。UKにではTeknoの歴史があるし、他にもJungleやDnBのような様々なアンダーグラウンド・ミュージックのスタイルが存在している。この国の人たちのテイストが非常に多様であるお陰で、様々な音楽が自然に融合してJungletekのような面白いサブジャンルが多数生みだされてきたんだ。最近は、HardtekやJungletekを中心に制作・プレイしている。常に音楽的スタイルの境界線を押し広げながら、UKな多様なサウンドを世界に向けて発信しているAmen4Teknoクルーと関わっていることは僕に大きな影響を与えてくれている。

Q.
あなたがGypsycoreを知ったのはいつですか?Gypsycoreのオリジネーターは誰だと思いますか?このジャンルで最も重要なアーティストとレーベルは?
あなたは純粋なバルカンミュージック(ジプシーブルースやポルカフォークなど)も好まれていますか?

うん。バルカン音楽は好きだね。でも実際、歌そのものより、メロディーや合奏法の方が好きなんだ。昔から好きだった金管楽器の音が中核となっているところが良い。似たような楽曲を作っているアーティストで初めて聴いたのは、Ed CoxとFreddy Frogsで、その後、Ringe Raja Recordsが始動して、Gypsyrcoreのホームになった。正確な経緯や時系列は憶えていないけど、Gypsycoreを制作している人は当時も少なかったし、今もあまりいないよ!他に特筆すべき重要なアーティストは、Fexomat、Wan Bush、Audiotistと彼らのCircus Brekovicプロジェクト、そしてRRR所属アーティスト全員。

Q.
E-ColiはGypsycoreアーティストだと認識されているかと思いますが同意出来ますか?

うん、まあそうだね。でも最近は昔と比べてブレイクコア色が薄くなって、Tekno要素が強くなっているから、未だにGypsycoreと呼べるのかはわからない。大体自分ではGypsytekやBalkantekと呼んでいるけど、ヨーロッパでは時々Happytekと呼称されることもある。ジャンル的にニッチすぎて、定義も曖昧だから、僕が作っているものがGypsycoreに該当するのか、しないのかは何とも言えない!でもこのジャンルが好きだから、その一員として見てもらえるのであれば、嬉しいことだね。

Q.
あなたの楽曲とDJスタイルはとてもダンサンブルでポジティブな雰囲気に溢れています。何故この様なスタイルになったのですか?たまに、ダークでシリアスな音楽を作ったりDJでプレイしたい時もありますか?

Teknoミュージックは元々ダンスフロアやパーティー向けのものだから、メロディアスで楽しい曲を作るのは当然だと思う。全てがハッピーなものばかりだとは言わないし、実際ダークな要素もあるけれど、本物の楽器の音というものはシンセと比べてより自然に人に語りかける力があるし、聴いていて楽しくなる。逆に、これを必ずしも家でリラックスしながら聴いているわけでもない。ダークで厳粛な音楽も好きだし、クラブでそのような音楽を楽しんだりもする。でも自分自身がプレイしたいとは思わないんだ。

Q.
E-Coliの作品はFREE DLでのリリースが多いですが、作品の売上は必要ないのでしょうか?
レコードやCD/カセットテープなどのフィジカルをどう思われていますか?

フィジカルな媒体は大好きだ。今までアナログ盤で出したトラックがあるし、近日中にリリースする予定のものもいくつかある。今でもレーベルがアナログ盤をプレスしていることは素晴らしいと思う。でもデジタル音楽に関しては、無料で配布するのもとても良いことだと思う。より広く音楽を発信できるし、無料だとダウンロードされる確率が高くなる。そして、単純に色んな人に無償で贈るという行為が好きなんだ。このシーンではそんなにレコードの売上に期待できるわけじゃないけど、逆に僕の音楽を無料で聴いて気に入ってくれたら、お金を払ってライブを観に来てくれるかもしれないじゃないか!

Q.
楽曲製作で現在使用している機材を教えてください。E-Coliの曲はどうやって作られているのでしょうか?

Ableton LiveをMacbook Proで使っている(Macbookは2011年後期型。この年代のMacbookは素晴らしい。残念ながら少しずつ壊れ続けているから、いずれ取り換えなければならない)。後はMIDIキーボード数台とRokit 8モニタースピーカーを持っている。ほとんどのトラックはバルカン音楽のサンプル、つまり楽器又はボーカルをベースとして作っている。インスピレーションを与えてくれるような良いサンプルと出会うことが出来れば、トラックの構成と基盤をわりと早く制作できて、その後数週間に渡って磨きをかける。外部のものに気を取られず、完全に音に没頭できるように、大体ヘッドホンを着用しながら制作するんだ。仕上げとミックスダウンはモニターで行って、ほとんどの場合、マスタリングは友人であり、彼自身も素晴らしいアーティストであるC3Bに任せる。

Q.
貴方のお気に入りのE-Coliの曲は?

一番お気に入りという曲は無いけれども、他より好きな曲はいくつかあるよ!いつになっても、初めてE-Coli名義で制作した「Amen Gypsy」は大好きだし、まだSoundcloudで聴けるようにしている。Abletonで初めて制作した曲だし、DJをやり始めた頃、何度もパーティーでプレイしていたから、良い思い出がたくさん詰まっている。多分、多くの人は、僕の「I Put A Spell On You」のリミックスが一番好きだというじゃないかな。本当に数えきれないほどプレイしているから、この曲は大好きな半面、うんざりしているところもあって、今まで出演したことの無い街でのライブを除いて、ほとんどプレイすることが無くなった。でもたまに聴くと良いものだね。


Q.
去年リリースされたEd Coxとのコラボレーション「La Alchemista EP」について教えてください。
Ed Coxとは何処で出会いましたか?彼とのコラボレーションはどうやって行われたのでしょうか?

Edと僕は、もともとお互いのことはあまり知らなかったんだけれど、共演がきっかけで出会ったんだ。そして数年前、スペインのイベントで一緒にブッキングされて、二人で何か面白いことを出来ないかと目論んだんだ。結局そのイベントはキャンセルとなったんだけれど、それがきっかけで一緒にセットの構成を考えたり、楽曲の制作をすることになった。二人とも自分の他のプロジェクトで忙しかったから、時間がかかったけれど、数か月前に初の共同EPをリリースできたのは嬉しかった。EPは好評で、今年はEdと一緒に面白そうなパーティーに出演したり、生楽器を取り入れたレコーディングをすることを楽しみにしているよ。


Q.
UKには数多くの素晴らしいダンスミュージックのフェスティバルやパーティーがあります。何故、UKではダンスミュージックがこんなにも人気なのでしょうか?
現在、UKではどの街が盛り上がっていますか?UKでオススメの若手アーティストやレーベルは?

UKは昔から独特で根強いダンスミュージックシーンがあった。何故かはわからないけれど、もしかすると島国で、ヨーロッパ本土から切り離されているから、他国からインスピレーションを受けつつも、一味違うことをやるからかもしれない。日本にも似ているね。日本も島国で、素晴らしく多様かつユニークな音楽シーンが形成されている。
UKではブリストルが一番好きな都市だ。様々な音楽のスタイルが共存していて、マニアックなジャンルもたくさんある。でも他にもマンチェスター、シェフィールド、リーズ等、根強いシーンがある都市や、面白いパーティーがある小さな町もたくさんある。毎日のように新しいレーベルやアーティストが出現しているから、おすすめの若手アーティストを常に把握するのは難しいな。でもHardtek/Jungletekの若手アーティストを発掘したいなら、Amen4Tekno JungleTekMafiaのアルバムシリーズをおすすめするよ。

Q.
貴方が出演したフェスティバルやパーティーで最も思い出に残っている出来事は?

去年の夏にBoomtown Fair のScrapyardステージに出演できたのは、特別な体験だった。数千人を前にした大きなステージだったから、とても楽しかったよ!同じく去年の夏、Glastonbury Festivalでプレイできたのも最高だった。10代の時からグラストンベリーに出演することは夢だったから。以前、小さなテントステージに出演したこともあったけれど、去年はちゃんとしたステージだった。あと、去年、イスラエルのパーティーにも出演したんだけれど、エキサイティングだったし、あれほど遠くまで行って、自分の音楽を知っている人たちに会えるということは驚異的だった。

Q.
今後の音楽活動において目標としている事は?

とにかく新しい国で新しい人たちの前でプレイしたい。僕の音楽は他の多くのアーティストとは趣向が違うから、これから自分がどこまで進歩できるかは読めないし、シーンは常に動いているから、全体的にもこれからどうなるかわかったもんじゃない。今までの大きな目標は日本でプレイすることだったんだけれど、ついに3月にそれが実現することになったから、いよいよ目標達成だ!あとは南米のパーティーや、ヨーロッパ本土の大箱にも出演できたら最高だね。

Q.
今後のスケジュールを教えてください。

これからの数カ月、楽しみにしているイベントがたくさんあるよ。日本では、3月23日に大阪、25日には東京で出演する。これはMandidextrousとC3Bと一緒にやるAmen4Teknoのツアー。あとはパリ、アイルランド、ドイツ、ポーランドでの出演が決まっていて、他にも海外出演がいくつか決まりそうだ。夏はEd Coxと一緒にBalter Festival、Bangface Weekender、Boomtown Fairで大勢のお客さんの前でプレイする予定で、他にも野外フェスの出演が決まることを祈っている。あと、KaotikとIrritant Recordsからアナログ盤をリリースするのと、約1ヶ月後にDr Peacockとお互いの曲をリミックスしたものが発表されるのを楽しみにしている。2018年は最高の1年になりそうな予感だ!本当に日本でプレイできるなんて信じられなくて、頬をつねっているよ。今まで無いくらい楽しみだ!君やMurder Channel Crewに会えるといいな!Gypsy Teknoでブチ上がろう!