“GHz Interview05” SA†AN

GHz Interview

容赦無い極悪・残忍なメタリック・ブレイクコアをリリースし、
近年世界中のアンダーグラウンド・シーンから注目を浴びているロシアの若き奇才「SA✝AN」のインタビューを本邦初公開!

2006年のデビュー以来、数多くのレーベルから作品を発表し、2010年に名門ブレイクコア・レーベルPeace Offから「Revenge Of The Fallen」、翌年11年に「Grave Poetry」と2つのEPをリリース、
その圧倒的なクオリティーと世界観でブレイクコア・シーンにとって欠かせない存在となった彼は、最近では、
PRSPCT、Future Sickness Records、Yellow Stripeといったハードコア・ドラムンベース/クロスブリード系レーベルからも作品を発表し、多様なシーンから支持を得ています。

ブレイクコア、デスメタル、ハードコア・ドラムンベース、スピードコアなど過激なダンスミュージックのスタイルを全て取り入れ、これまでになく強烈でセンセーショナルなエクストリームミュージックを作り続けるSA†ANに、
今回のインタビューではバックグラウンドや楽曲製作に関してなど非常に貴重なお話が聞けました!


SATAN2

 

Q1. 年齢と出身地を教えてください。

26歳。ロシアのサンクトペテルブルク在住 。

Q2. 音楽に興味を持ったのはいつ頃からですか?貴方の楽曲からはDeath Metal、Breakcore、Drum’n’Bass、Hardcore Technoの要素を感じますが、どんなアーティスト達の作品に影響を受けているのでしょうか?音楽以外に影響を受けた物(映画、本、芸術作品など)があれば教えてください。

12歳のときに電子音楽を聞き始めて3,4年はそれ一本で、それからメタルという音楽に関心を持つようになったんだ。
(影響を受けたアーティストについて)様々なジャンルの中からそれぞれのアーティストを選ぶとしたらTechnical itch, Venetian Snares, Omar Santana, Slipknot, Cradle of Filthかな。ホラー映画が好きだからそこからも影響を受けているかもしれない。正直何でもインスピレーションとなり得る。例えば、どこかに座って空を眺めて果てしない宇宙のことをぼーっと考えていることでさえね。

Q3. いつ頃から音楽活動を開始されていますか?自身でも音楽を作ってみようと思ったキッカケは?貴方が育った場所にはどんな音楽シーンがありましたか?

自分で音楽を作り始めたのは2006年くらいから。その前にも何度か音楽を作ろうと試した事はあったけれども2006年からは本格的にやろうと思ったんだ。キッカケは自分のビジョンを音楽で表現したいと思った事。僕の地元ではコマーシャルなポップミュージックが音楽の大半を占めている。アンダーグランドな音楽シーンもあるにはあるけれども、ヨーロッパのシーン程大きくないんだ。

Q4. SA†ANの名前の由来を教えてください。楽曲のタイトルやサンプリングされているセリフなどにサタニズムな物が多いですが、それは貴方の意思や主張を反映させているのでしょうか?SA†ANの活動コンセプトを教えてください。
また、ステージではマスクやコスチュームを付けてライブをされていますが、マスクやコスチュームには何かコンセプトや意味がありますか?

僕が音楽を作り始めた時、僕は全くの無名だった。ある日、Satanと言う言葉が、僕の音楽におけるビジョンや世界観を表すのに完璧な言葉だと思ったんだ。全てが繋がっている。僕の音楽はこの世界を反映したものなんだ。これが『SA†AN』を音楽プロジェクトとして創作した一番大きな理由。装飾物で飾られていない本当の世界を見せようと思った。率直に残酷に、現実とはどういうものか、ということをね。
そして、ステージ用マスクは、これら全てに対する最終的な追加物で、僕のエネルギーを変換させるのに役立つんだ。

SATAN3

Q5. 貴方が2010年にPeace Offから発表した「Revenge Of The Fallen」は非常に衝撃的で、当時この作品がアンダーグラウンド・シーンに与えた影響は大きかったと思います。この作品はどんなテーマのもと制作されたのでしょうか?楽曲を制作していた時の心境は?

あの作品を作ったときは付き合っていた彼女と別れた後で、僕の感情は揺れに揺れていたんだ。だからその時の気持ちを、音を通して表現したいと強く思ったんだ。誰かに、何かに復讐してやる、と思っていたんだけれども、結局新しいアルバムを作ってしまった(笑)。

Q6. 現在メインで使用しているソフト、スピーカーなどの機材を教えてください。楽曲制作において最も大事にしている事は?

Ableton Liveをメインで、時々Reasonを使っている。ハードウェアのシンセを制作で使った事はないけど、でも別にそれを否定しているわけではないし、もし使う機会があれば面白い経験になるだろうとは思っている。制作において最も大事にしていることはムードとインスピレーション。その他は付随してくるものだから、特に意識していない。

Q7. 貴方の楽曲ではギターが使われていますが、このギターの音はソフトで作られた物なんですよね?どのようにして、リアルなギターのフレーズを作っているのでしょうか?

RealStrat や Kontakt 等のVSTの多用なギターライブラリを使用して、それをバーチャル•エミュレーションのギターアンプやアンプリチューブ等のアプリを使って編集している。

Q8. 楽曲の制作ペースには通常どれ位かかっていますか?貴方は年間多くのシングルやEPをリリースされていますが、リリースペースは貴方の活動にとって重要でしょうか?

制作にかかる時間はいろんな状況によって変わってくる。7日間だったり何ヶ月もかかったり。トラック全体の制作においてのひらめきがないときは自分にとっての何か新しい技術を発見するよう試みながらシンセでいろいろ試してみる。ひらめきやモチベーションがあってトラックを次から次へと作れる時もある。そしてときどき休憩が必要な時もある。大きな仕事を終えた後は、自分のエネルギー源を回復させた後にまた続けるみたいにね。

Q9. 最近では以前よりもHard Drum’n’BassやCrossbreedなどの要素を多く取り入れたDJユース的な楽曲構成や、よりダイレクトなダンスミュージックのアプローチをされているように感じるのですが、何か心境の変化などがあったのでしょうか?

その通りなんだ。最近のリリースはよりフロア向けのが多い。でもハードさは変わらない。僕はただ僕のいつもと別の何かを試してみてるだけなんだけど、すごく評判がよくてね。全く違うジャンルのものをミックスしようと実験するのは、大好きだ。それは単に、僕の創作性のまた別の面が出てきただけということ。別にブレイクコアをやめたわけじゃないし、活動範囲の枠を広げてみただけのこと。

Q10. 貴方はロシア以外にもオランダ、ベルギー、チェコなどでもプレイされていますが、今までで最も印象に残ったイベント/ライブは?それから、現在のロシアの音楽シーンを貴方はどう思っていますか?

ポルトガル、フランス、デンマーク、ポーランドやフィンランドでもプレイした。どの国も素晴らしく、感銘を受けた。オランダとベルギーのイベントは一番よかった。現在のロシアの音楽シーンは困難な時代を過ぎようとしていると思う。でもこんな状況にも関わらず、何かすごいことをやれてる人達はいて、アンダーグランドなイベントをしようと頑張っている。それは重要なことだよね。

Q11. Peace Off、PRSPCT、Future Sickness、Yellow Stripe、Heresyといった多数のレーベルから作品をリリースされていますが、楽曲を発表する際にレーベルを選ぶ基準となっている事はありますか?
最近ではアーティストが自分のレーベルを運営して自身の作品をリリースしている事が多いですが、貴方も今後自身のレーベルを作ってレーベル運営をおこなってみたいと思いますか?

どこかのレーベルの為に特別に楽曲を準備する時は、各レーベルがそれぞれの方向性を持っているということをいつも心に刻み、気をつけている。ただ新しいトラックを制作して、そのあとにレーベルを決めることもある。自分自身のレーベルは今は考えていない。将来的にはもしかしたら可能性もあるかもしれないけど。

Q12. 貴方は今までに多くの素晴らしい楽曲をリリースしてきましたが、貴方が自分の楽曲の中で個人的に思い入れのある特別な楽曲はありますか?

個人的に思い入れのある特別な楽曲は『You was my favorite corpse』だと思う。理由を聞かれたら答えられないけれど、ただ好きなんだ。

Q13. 今後のリリース予定などを教えてください。最後に日本のリスナーにメッセージをいただけますか?

近日、Bang a RangとOthercideからリリースがあるよ。日本のリスナーの皆、応援してくれてありがとう。ロシアから日本に行くことは簡単じゃないけど、いつかそれが実現してダンスフロアを君たちと盛り上げることができる日を楽しみにしてる。

SA†AN
https://soundcloud.com/satan666
https://www.facebook.com/Satan666breakcore/

更に詳しくSA✝ANの音楽的なルールが解るTOP 10チャートも是非チェックを↓↓↓
What’s your favorite thing of all time? PT.6 by SA†AN
http://ghz.tokyo/2015/04/02/whats-your-favorite-thing-of-all-time-pt6-by-satan/

インタビュー/文:Hz Staff 翻訳:Kyoka
※このインタビューは2016年1月25日に行われました。