DR DAS – Exclusive Mix & Interview for “DOROHEDORO original soundtrack” PT.1

DOROHEDORO Original soundtrack, INTERVIEW

もうすぐ発売となる『ドロヘドロ』オリジナル・サウンドトラックの発売を記念して、参加アーティストのインタビュー&MIXを公開中!
第五回目は日本でも人気のバンド「Asian Dub Foundation」の中心メンバーでありベーシストの「DR DAS」のインタビューとMIXを公開!!!

1993年にロンドンにて在英のインド・バングラデシュ系のメンバーによって構成されたバンド「ASIAN DUB FOUNDATION」は95年にデビューアルバム『FACT AND FICTIONS』を発表。ダブ、パンク、ジャングル、ヒップホップ、バングラなどをミックスした個性的で扇情的なサウンドに痛烈な社会批判や政治的メッセージを込めた歌詞で衝撃的なデビューを飾る。現在までに数多くのアルバムをリリースしており、イギー・ポップ、エイドリアン・シャーウッド、シネイド・オコナーとのコラボレーションやビースティ・ボーイズ、レディオヘッド、プライマル・スクリームとのツアーで国境やジャンルも越えて世界中のリスナーに支持されている。また、フジロック・フェスティバルにも度々来日しており、日本での人気も高い。

DR DASは2006年に初のソロアルバム「Emergency Basslines」を発表。ASIAN DUB FOUNDATIONとは違ったノイジーでミニマル、そしてストロングなダブのスタイルを披露しており、現在までにコンスタントにソロ作品を発表しており、2015年にはニューアルバム「Outsider Dub」をリリース。

今回、ドロヘドロ・オリジナル・サウンドトラックの発売を記念してDR DASが特別にMIXを製作してくれました!この企画の為に作られたオリジナルのイントロから幕を開け、自身の楽曲を中心にASIAN DUB FOUNDATIONの曲や初公開となるDR DASの新曲までも収録された超貴重なベスト版的な内容の音源となっております!

前半のインタビューでは、自身のルーツからASIAN DUB FOUNDATIONが結成されるキッカケとなったコミュニティ・ミュージックでの活動などを中心にお話をお聞きしました。

MIXと合わせて是非チェックを!

DR DAS JAPANESE DUBNOIZ MIXTAPE 2016

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Track List
01. INTRO – DR DAS
02. STORM IS COMING – from album PREPARING 4 WAR by DR DAS
03. PROVOKE – from album PREPARING 4 WAR by DR DAS
04. REAL AREAS FOR INVESTIGATION – from album REAL AREAS FOR INVESTIGATION (R.A.F.I.) by ASIAN DUB FOUNDATION
05. OVERRIDE – from album OUTSIDER DUB by DR DAS
06. PAYBACK DUB – DR DAS (Original version of GET LOST BASHAR from album SIGNAL & THE NOISE by ASIAN DUB FOUNDATION)
07. LOOT – from album REAL AREAS FOR INVESTIGATION (R.A.F.I.) by ASIAN DUB FOUNDATION (ft Dr Das on congas)
08. RAPINBOLA – MAGA BO – DR DAS REMIX
09. BARBARIC SOCIETY edit – DR DAS ft ARUNDHATI ROY
10. UNITY – WORD SOUND POWER ft DELHI SULTANATE & BHAGVAN – DR DAS REMIX
11. KOL RISING – from album OUTSIDER DUB by DR DAS
12. MUSASHI – from album OUTSIDER DUB by DR DAS
13. TRIBUTE TO JS – from album RAFI’S REVENGE by ASIAN DUB FOUNDATION (dedicated to John Stevens, founder of Community Music)
14. PREPARING 4 WAR – from album PREPARING 4 WAR by DR DAS
15. WAR PARTY Pt II – from future album RE-ALIENATE by DR DAS
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Q.
出身地を教えてください。

出身はロンドン。ちなみに、両親はインド出身。West Bengalという、バングラデシュの隣町から来た。

Q.
貴方はどんな環境で育ち、音楽と出会いましたか?

幼少期から母にベンガル語を学び、テレビや近所の人に英語を学ぶ環境で育った。そして、学校に行き始めてからは両親とも英語で話すことも増えてバイリンガルになっていった。

僕の家はいつも音楽で溢れてた。インド音楽のクラッシックを聴く父と、ベンガルのポップやフォークを聴いてた母と暮らしてたから。両親は、音楽が多めのヒンズー映画や、アジアのテレビをよく見てたな。殆ど、母親が録画してたものだ。
叔母が、僕や姉妹達にインド音階、ベンガル音楽、そしてハーモニウム(インドの伝統的なオルガン)の演奏方法を教えてくれた。

あとは姉がソウルやMotownが好きだった影響で、そういう音楽も好きになった。
また、10代の頃に数年間インディアンタブラを習ってた。

Q.
どんな音楽に影響を受けていますか?

子供の頃に聴いてたインド音楽のクラッシックに強い影響を受けてる。インド音楽のクラッシックの大きな特徴は、『ラガス』と呼ばれる独特のループだ。このジャンルで優れた名手の音楽を聴くというよりは、そのヒプノティックなループパターンそのものに、非常に惹かれる。
ちなみに、叔母は僕にpaltasを教えてくれた。paltasというのは、音符や音階によってバイブレーション(西洋で言うアルペジオ)を作る方法だ。これらの経験も、後の僕のベースに影響を与えた。
インド音楽のクラシックはもう聞いてないけど、インドフォークは聞いてる。特にベンガル地方のBaul音楽を聴いてる。他には、北アフリカのGnawaの人々の音楽や、アフリカ系ブラジル人の音楽も聴く。叙情的で荒削りで、パーカッションに重点がおかれているタイプの伝統音楽は好きなんだ。

Q.
貴方の音楽からは様々なジャンルの要素を感じますが、特にDub/Reggaeの影響を強く感じます。

僕にとってレゲエとダブは猛烈に衝撃的だった。というのは、社会的/政治的分野において音楽が何らかのメッセージ手段になるということを示してくれたからだ。

Q.
Dub/Reggaeではどんなアーティストの作品を聴いていましたか?

お気に入りのバンドはBlack Uhuru。粗っぽくて怒りに満ちたMichael Roseの声と、Sly & Robbieの未来的で攻撃的な作品は、他のバンドとはひと味違う。ディープでスピリチュアルで純粋で哀傷的なMisty In Rootsの音も好きだったな。

Q.
また、Reggaeのダンスやクラッシュにも遊びに行かれていましたか?

BrixtonのBlack Uhuruのライブやレゲエのライブを頻繁に見に行ってた。ちょうど、政治反対運動がイギリス全体で起きてた1981年あたりだ。
僕はサウンド・システムや音響をあまり気にしてなかったんだけど、ある日見たJah Shakaの音が滅茶苦茶ヘヴィーだった。あと、友達のレゲエ12インチコレクションを聴いてた時に、レゲェからダブにバージョンが変化したのを聞いたのをきっかけに、ダブにはまった。更にはある日、On-U Soundのことを知って、それ以来歌詞からのメッセージだけじゃなく、音自体にも注意を払うようになって、かなり夢中になった。

ダブとレゲエを聞きつつ、Nocturnal Emissions、Portion Control, Severed Heads、Test Department、Pink Industryや23 Skidoo系の実験音楽や電子音楽も聞き始めた。こういう音響系を聴きながら音波/音速やノイズ、テクノロジーについて学び、ベースラインはダブから学んだ。

Q.
貴方が作る音楽にはメッセージ性が込められており、明確な意思表示があります。こういった表現方法にたどり着くまでにはどんな経験がありましたか?

僕は、いつでもどこでも周囲の音やノイズに敏感だ。冷蔵庫のブンブンいう電源ノイズや、深夜にテレビが放送終了する時の周波数の歪みをいつも聞いてたし、洗濯機のリズムだって聞いてた。夜な夜なトランジスタラジオのチューニングをいじって、放送局間で鳴る変な周波数や波形を聞いた。10歳の時に行ったインドでも、ノイズだらけのスピーカーから流れるインド伝統音楽を聞いてた。子供の頃耳にしたあらゆる音を、今でも覚えてる。だから、ノイズを使って音楽を作っている人がいるのを知った時は、凄く美しくて自然なことだと感じた。

Q.
貴方が最初に音楽からメッセージを感じたのはどんな作品でしたか?

初期の僕が聴いてたバンドは、基本的にリズムの骨組みがあるノイズものばかりだった。Portion ControlとかSevered Headsとか、大体のバンドはドラムマシーンと初期のシーケンサーを使ってた。環境音やノイズをテープに録ってループしてた。ある意味サンプリングの前身だろうね。そしてノイズの殆どは、電子機器周辺で採取されてたと思う。けど、23 Skidooは特殊だった。パーカッションを使ってたんだ。だから、彼らの音は非常にオーガニックだった。僕は、そこから強いメッセージを感じた。

Q.
貴方はベーシストとしても圧倒的なオリジナリティーを持っており、UKでもっとも偉大なベーシストの一人だと思っています。貴方はどんなベーシストに影響を受けましたか?

前述の通り、最初に影響を受けたのは人物じゃなくてインディアン・ラガだ。ラガによって、メロディの反復に対する旋律の感覚や、強い愛情が培われた。

初めてベース音に目覚めたのは、Black Uhuruの1981年のアルバム『Red』だったかな。 例えて言うと、Bob Marleyよりもミニマルな仕上がりで、ベースはしっかりと聞き取れるくらいにむき出しな感じの音楽だった。Robbie Shakespeareのベースラインが、ちょこちょこRoseのボーカルメロディと似てることに気がついた。しかも、ベースがメロディを奏でているという事実に驚愕した。ベースラインを歌えるっていう事実がとにかく衝撃的だった。レゲエにおいて、リスナーが覚えやすいベースラインはポイントであることに気づいた。ベースは、単に低音域のための楽器じゃなかったってわけだ。西洋ポップで重要なのは、ギターや声のような高音域なものが主流だ。だからこそ、ベースが鍵であるという事実は、斬新極まりないアイデアだと思った。更に僕はベースメロディの周期性にも気がついた。パターンが反復されてた。インディアン・ラガと同じ原理の低音域だった。これらの点に気づいてから、政治的なメッセージを読み解く対象は、歌詞だけじゃなくダブとレゲエのベースラインへも移行した。あと、Robbie Shakespeareの音楽は、メロディのセンスがすごく良かった。

Aswadの最初のベーシストであるGeorge Obanのヘヴィーさとセンスにも影響された。彼は、高音のメロディを演奏していたとしてもサウンドがヘヴィーなんだけど、そこがダブベースの決定的なポイントでもあるだろう。つまり、メロディとヘヴィーさの兼合いが重要なんだ。低けりゃいいってわけじゃない。
Herbie Hancockを手がけたHeadhunterのベーシストのPaul Jacksonからは、シンコベーションとオフビートな奏法を学んだ。

また、コンガの演奏からもいろいろ学んだ。コンガの演奏は、ダブの音を変えずにファンクの雰囲気を強調し、典型的なレゲエのパターンとは違った興味深いパターンへと更に展開させていくのに必要だった。
80年代は専らパーカッションを演奏しながら、電子音楽のプログラム方法を学んで、たまにベースを実験的に取り入れたりしてた。僕の初めてのベースラインはコンガのパターンとアゴゴベルに基づいて作り始めて、良い感じになった頃にRobbieのメロディを研究しながら、独自の演奏方法へと発展させていった。
10年間くらい、Roots RadicsやScientistで知られるFlabba Holtのアルバムをよく聞いた。Flabba Holtの演奏は、とにかくミニマルで、音符が少ないにも関わらず、メロディアスなんだ。それは僕が何年間も、追い求めていた方向性だった。

Q.
何故、ベースという楽器を表現方法に選んだのでしょうか?

それは、シタールやタブラみたいな特殊なインド楽器を演奏することなく、僕がインド人であることやその文化の流れを組んだアイデンティティーの持ち主であるってことをベースの演奏によって表現できたからだ。
ベースの譜面や精神面がインド的であっても、サウンド自体はダンスミュージックに使われるサイン波みたいなものだからね。だから、僕は自分のベーススタイルを”インドダブ”と呼ぶ。ダブベースの音は、物理的で官能的で心身を同時に一体化させてしまうものであって、僕はずっと昔から惹き付けられてきた。
また、異なる音楽要素や文化要素から来た音はダブベースを介すと一つにまとめあげる事ができるんだ。この原理はエイジアン・ダブ・ファウンデーションでもよく使ってる。

DR DAS LIVE DUBNOIZ

Q.
最初に自分の音楽を作ったのはいつですか?

ノッティンガムで学生をしてた80年代初期だ。コンガとハンドパーカッションを手に入れて、ジャムセッションに明け暮れてた。(勉強の代わりにね!)

Q.
そこにはどんな音楽シーンがありましたか?

ノッティンガムには、レゲエバンドや即興系のバンドがいた。そして、パーカッションが必要だと言われればすぐに演奏しにいった。そこからは常に何かを学ぶことができた。

Q.
当時はどんな音楽を作っていましたか?

23 Skidooの影響もあって、初めてのバンドはcongasとメタルパーカッションで編成した。因に、メタルパーカッションは古い電気ヒーターとガスシリンダーで作ったのを使ってた。BossのDr Rhythmとかのドラムマシーンも買って、ちょっと内部に欠陥のあるモノラルカセットレコーダーを使ってマルチレコーディングして作曲してた。

Q.
貴方が所属していた“コミュニティ・ミュージック”について教えてください。最初に参加したのはいつ頃ですか?参加したキッカケは?

学校を卒業してから、ノッティンガムのコミュニティアートセンターで働いた。その後ロンドンに戻り、暗室とギャラリーがある職場で働いた。そこで僕は、若者に写真と現像を教えてた。でも、音楽から離れてるのが辛くて2年で辞めた。ある日、Community Music(略称CM)が教員募集をしているのを見つけて応募して採用された。CMは当時(今でも)、地域の様々な人に音楽を教える組織だった。
最近だと、若者を音楽ビジネスに導くようなコースが主流だと思うけど、僕が参加した1990年当時はまず、様々な状況下において音楽をワークショップ形式で教える方法を学ばなきゃいけなかった。様々な状況下ってのは例えば、学校、ユースクラブ、または成人のための教育機関や障害者、または学ぶ事が難しい若者に対して教えるような状況だ。
CMのポリシーは、単に消費者の立場にだけいるじゃなくて、制作プロセスを知りながら音楽に携ってもらうことで人々を元気づけて助けることだ。

Q.
コミュニティ・ミュージックには政府や企業からのサポートなどはあったのでしょうか?

CMは文化事業推進組織や、コースやワークショップが開催されるロンドンの地方議会を通じて政府からの助成金を受けていて、プロジェクトによっては、私企業からの資金提供を受けていたと思うよ。

Q.
貴方がコミュニティ・ミュージックに参加して得た事は?

僕がCMに参加して得た事、学んだ事を全て以下に挙げる。

『教えること』

『技術や知識を広げること』

『人々が独立して自給自足できるように手助けをすることの、喜びを発見したこと』

音楽以外には、『人間としての成長』

『自信をもって、はっきり発言することができる人間になったこと』

『会議や会見で発言するために人前で話す事も学んだこと』

『計画をたててオーガナイズする事や分析して調査書を書くこと』

『集団内におけるチームの一員としての働き方を学んだこと』

DR DAS
https://drdas.bandcamp.com/
https://soundcloud.com/dr-das

後半ではASIAN DUB FOUNDATIONの結成秘話やドロヘドロ・サントラに提供してくれた楽曲の解説などをお聞きしております!近日中に公開しますので引き続きチェックを!

インタビュー/文:GHz Staff 翻訳:Kyoka

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