『ブレイクコア・ガイドブック』特集PT.3 – Raggacore Top 11

Breakcore特集

ブレイクコア・ガイドブック』出版記念特集の第三弾は、ブレイクコアのサブジャンルの中でも特に人気の高い「ラガコア」の名曲をピックアップ!

ラガコアは、レゲエ/ダンスホール/ダブとジャングルの要素をブレイクコアに反映させたスタイルであり、レイブコアと同じく、ダンスミュージックのフォーマットに特化した踊れる内容の楽曲が多い事が特徴的です。
ラガコアは非常に名曲が多いので選ぶのに苦労しましたが、今回は2000年から2010年までにリリースされた物のみとして、年代ごとに1曲づつピックアップしてみました。

DJ Scud – Trauma (bury Your Dead mix)(2000)

ブレイクコアのパイオニアであるUKのDJ Scudと実験音楽やダブの視点からブレイクコアを作っていたUSのI-Soundによる名作スプリット「Mortal Clash」に収録されていたDJ Scudのハーシュなダンスホール・トラック。
タフなビートとベースに荒々しいラガのサンプルを組み込んだリディムに差し込まれるノイズが異常な高揚感を作り上げる名曲。この他にもScudはラガコアの名曲を多数残しています。

Snares Man! – Breakbeat Malaria(2001)

Venetian Snaresの変名「Snares Man!」による唯一の作品。
軽快なラガマフィンにVenetianらしい鋭いナイフの様なブレイクビーツと狂暴なガバキックが叩き込まれるラガコア・クラシック。Venetianの狂気性がダンサブルな形で表れており、ジャングル系DJにもオススメ出来ます。

LFO Demon – Utterly Wipeout(2002)

パンクやメタルにジャングルとハードコア・テクノをミックスしたレイビーでパンキッシュなブレイクコア・スタイルで人気を得ていたドイツのLFO Demonのデビュー作に収録されていたハードコア・テイストの強いラガコア・チューン。
翌年にリリースされたFFFとのラガコア・スプリット「Clash Of The Titans」はラガコア史に残る名盤なので気になった方は是非チェックを。

Enduser – Beatdown(2003)

2000年代のUSブレイクコア・シーンを代表するアーティストの一人であり、多くのラガコア・クラシックをリリースしているEnduserによる大名曲。
重低音ベースに歪んだブレイクビーツとEnduser印の細かいアーメン・ブレイク、そしてラガマフィンのサンプルが完璧なバランスで合わさった永遠のクラシック。Xanopticon、Doormouse、Society Suckersなどが参加したリミックス集も素晴らしく、現在はデジタル版をBandcampにて購入可能になっております。

FFF – Kill MC(2004)

ラガコアの名作を多く発表しているオランダのFFFによる殺傷力の強い凶暴なラガコア・チューン。
ジャングルやダンスホールのマナーに沿ったラガコアでDJ達からも大きな支持を受けているFFFですが、この曲ではデジタルハードコア的なパンキッシュなアーメン・ブレイクとノイズでラガヒップホップを取り込んだ攻撃的でエクストリームなラガコアとなっています。最後のスピードコア的な展開も最高です。

Amboss – Ganja Blends(2005)

LFO Demonのレーベル「Sprengstoff Recordings」がリリースしたラガコア/ラガジャングル・コンピレーション「Dubplate War」に収録されていたドイツのブレイクコア/ラガコア・アーティスト「Amboss」によるラガコア・クラシック。
ドラムンベースのソリッドさとドライブ感を巧みに使っていて、超高速ながらもグルーブ感と狂暴性を失わずに最後まで聴かせるハードな1曲。

Zombieflesheater ‎- Chichi Is Itchy(2006)

初期ブレイクコアとデジタルハードコアの過激さと反骨精神を受け継いだアンダーグラウンドなスタイルで一部で熱狂的な支持を受けるドイツのZombieflesheaterがBambam Babylon BajaschのMCである「Doc D2N8」をゲストに迎えて作ったパンクなラガコア・チューン。
Zombieflesheaterの「Kill Dat Sound」と「Powerviolent Dancehall」という2枚のレコードもラガコア史上に残る名盤ですので合わせてチェックを!

Cardopusher – Jamaican Tang(2007)

現在はEBMやアシッド・テクノを作っているベネズエラのCardopusherがブレイクコア時代に発表した傑作レコード「Red Red Blood」に収録されていた1曲。
レゲエ/ダンスホールのバイブスにジャングルとブレイクコアのルーディーさや攻撃性をポップな感覚で組み合わせた衝撃的な楽曲で非常に大きな話題となりました。今聴いても鳥肌が立つ程に素晴らしいです!

Devoner – Fuego Útopico feat Cardopusher(2008)

ブレイクコア・アーティストであり、イラストレーターとしても活躍しているベネスエラのDevonerがCardopusherとのコラボレーションで作り上げた隠れたラガコア・クラシック。
Cardopusherのメロディアスでダビーな要素もあるダンスホール・リディムに、Devonerのアグレッシブなビートや素材がミックスされたネクストレベルな内容。この曲を収録したDevonerのEP「GLORIA AL BRAVO PUEBLO」はフリーダウンロード出来ますので、ブレイクコア/ラガコア・ファンはマストです!

Stazma – Kill For Weed(2009)

モジュラーシンセやアナログ機材を多用した深みのある電子音を用いたポスト・ブレイクコア・サウンドで近年最もブレイクコア・シーンで人気があるStazma The JunglechristのデビューEPからの1曲。
CardopusherやRotator、Shitmatなどに影響を受けているのが解るラガコア/ラガジャングル・スタイルながらも、斬新なアイディアと粗削りながらもパッションのあるプロダクションでオリジナリティのある新しいラガコアを作り上げています。

Killahman Machine ‎– Charlie(2010)

Bong-Raの別名義「Killahman Machine」による7”インチレコードのB面に収録されたストレートなラガコア・チューン。
ジャングルのフォーマットを主軸としながらもブレイクコアの要素が所々に表れたアグレッシブでダンサブルなラガコアとなっており、ジャングル/ブレイクコア双方のファンやDJ達を満足させられる1曲です。