Breakcore Interview Vol.1 – hara(HyperJuice)

Breakcore interview

今年3月に出版された『ブレイクコア・ガイドブック』の発売を記念して、GHz Blogでは定期的に特集記事を公開して来ましたが、今月から新たにブレイクコアをルーツに持つアーティスト達へのインタビュー企画をスタート!

記念すべき第一回目は、Raveミュージックのダイナミズムとポジティブなエネルギーをベースミュージックやロック、テッキーなサウンドとミックスしたハイブリッドな楽曲の数々で東京のダンスミュージック・シーンを牽引する「HyperJuice」としても御馴染みであり、DJとしても様々なシーンから支持を受けているhara氏にブレイクコアに関してインタビューをさせて頂きました!
今回はじめて知るhara氏の音楽的ルーツから、ブレイクコアとの出会い、DJとして活動を開始された初期の頃など、興味深いお話を聞かせてくれました。

hara (HyperJuice)
1991年生まれ。
00年代中期のアンダーグラウンドに影響を受け2007年からDJとして活動を開始。
レコードショップのクラブバイヤーを経て、2013年に「HyperJuice」を結成。 都内を中心に全国各地でプレイし、自身が主催する「TOO YOUNG TO DANCE @ Contact Tokyo」「ハイパーの日 @ club asia」「elemog @ MOGRA」といったレギュラーパーティーから、「ULTRA JAPAN 2015」「Outlook Festival Japan」「Electric Zoo」等の大型フェスに出演。
海外アーティストのサポートアクトも多数行い、ButterzのElijah & Skilliamがプロデュースする「Boiler Room Tokyo JP Grime All-Stars」に招致される。UKグライムシーンの雄・Stormzyから初来日の際にライブDJに指名され「adidas Originals by NIGO」のプロモーションムービーに参加。
Pioneer DJのオフィシャルプレイヤーとしてDJソフトウェア「rekordbox™」や製品開発に携わり、「Pioneer DJ XDJ-RX2」のプロモーション・デモンストレーションムービーを担当。クラブミュージック専門ラジオ局「block.fm」では不定期放送番組「HYPE ME RADIO」のパーソナリティーを務める。
リミックスを担当した「Yokohama Walker (Triple Trippin’ remix)」が収録されたアルバム「ヒプノシスマイク – MAD TRIGGER CREW VS 麻天狼」はオリコン1位を獲得。東京の次世代を牽引するDJの1人。
http://hyperjuice.tokyo/
https://block.fm/radios/21
https://twitter.com/haraqlo


Q.
まず最初に、音楽に興味を持たれたキッカケを教えてください。

最初に買ったCDはモーニング娘。なんですけど、小学生の時にSONYのCMでRIZEの「Why I’m Me」を聴いて、めちゃくちゃカッコいいなと。
その後、従兄弟が山嵐を教えてくれて、クラスの友達に教えたら仲間内で大流行して、音楽を聴く事と誰も知らないやばい音楽を探すのが好きになりました。

Q.
ダンスミュージックとの出会いはいつ頃ですか?

元々服が好きで中学生の時から街にあった古着屋に入り浸っていた時期があって、店員のお兄さんがお店でかかってたハウスとかテクノのMIXCDを焼いてくれたのが僕の初めてのダンスミュージックです。とにかく知らない音楽に飢えていたのでトラックリストに書いてある曲は全部調べてめちゃくちゃ聞いてましたね。
貰ったMIXCDに入ってたJazztronikは今でも大好きなアーティストです。
高校入学してすぐにバイトを始めて、そのお兄さんに連れられてクラブに行き始めました。

Q.
どういった流れでブレイクコアを知ったのでしょうか?
ブレイクコアを聴いた時の最初の印象は?

高校入学のお祝いに自分のパソコンを買ってもらったタイミングで、当時はmyspaceやmixiやmuzieが流行っていて、ニコニコ動画も立ち上がったばかりの時期に毎日何時間もネットをしていた時に出会いました。アングラでハードでアニメネタからメタルまであって、ノイズまで難解じゃないけどメロコアバンドよりも重くて、兎に角刺激的。
当時東京のクラブではエレクトロが流行ってたけど、同じ曲が毎晩かかってて飽きちゃってたんですよね。そんな中、知ったブレイクコアは2 many DJ’sのMIX CDを1曲に収めて早くしたようなミクスチャーサウンドで最高でした。

Q.
どの様にしてブレイクコアの情報を入手していましたか?当時のお気に入りのブレイクコア・アーティスト/レーベルは?

myspaceとmixiと音楽好きな人がやってるブログで情報集めてました。片っ端からフレンド申請しまくってコミュニティ入りまくってましたね。
PEACE OFF信者だったので、Rotatorがヒーロー。aaron spectre、Shitmat、日本だとmerryworks、19-t、ROMZ、midi_sai、MUDER CHANNEL、FUCKOKA周辺が好きでした。鯖缶、逆襲、初期Maltineなどネットレーベルも。

Q.
始めて見たブレイクコアのDJ/ライブは誰でしたか?

DENPA!!!でのdi-bitさんかCDRさんだったと思います。
ブレイクコアのDJとして初めて見に行ったのはmidi_saiのKA4Uさんです!midi_sai Tokyoが開催された時、入場した客の1人目僕ですからね。

Q.
海外と日本のブレイクコアでは何が最も違うと思いますか?
日本のブレイクコアの魅力とは何でしょうか?

注目される海外のブレイクコアは色んな方向に突き抜けてますよね。ハードだったりハイテクでテクニカルだったり(良い意味で)クソだったり。どんな生活してるんだっていう。様々なタイプのヤバい奴が作ってるというか。(笑)
最近は追えてないですが、 日本だとそういった音楽が「ブレイクコア」という括りで入ってきてるので、満遍なく色々あるのが魅力かなと。

アニメや美少女ゲームの要素を追加してるのとかもやっぱり多いし独特ですよね。GoreShitのようなロリコアアーティストは海外にもいますが、No.305さんとかONOMATOPEEさんとか今聴き直すとあの頃の古き良きアキバを体現していてマジですごいなって思います。
日本独自進化のONOMATOPEEさんに影響を受けたsHimaUさんが逆にSA†ANみたいな曲出した時とか、様々な要素が何度もダビングされて新しいものに進化する感覚で痺れましたね。

(2012年、Techdiff初来日時にJapan Tourに同行。東京公演と名古屋公演に出演。)


Q.

ご自身で音楽活動を始めたのはいつからですか?
当初はサンプラーでDJ/Liveをされていたそうですが、どういったキッカケでそのスタイルになられたのでしょうか?

音楽活動を始めたのは確か15歳か16歳になった直後だったと思います。
ちょうどIDチェックが厳しくなった時期で、偽造ID作らなくても出演者だったら入れるじゃん!みたいな考えで仲間内のイベントに出始めました。若かったですね…。

最初サンプラーを使っていたのは、HIFANAが好きでパッドがついてるハードサンプラーが欲しかったんです。でも実際何をどうやっているのかよく分からないのに楽器屋で安かったという理由でRolandのSP-404を購入しました。
結論としてHIFANAのようなMPC的な使い方は出来なかったんですけど、SP-404は長時間サンプリングができるので、好きな曲をサンプラーに読み込んで内臓エフェクトで分解して別の曲に混ぜるという手法でライブしてました。
DENPA!!!の主催、点と線さんもSP-404を使っていたので色々教えてもらいましたね。その後、CDJを覚えたりMacBookを入手したりして今のスタイルに落ち着きました。

Q.
本格的にDJの活動を始められたのはいつからですか?
当初はどういったジャンルをプレイされていましたか?影響を受けたDJやお手本としたDJは?

スタートしてすぐはエレクトロとヒップホップとバンドとテクノとブレイクコアを1セットで。(笑)アニソンとかも普通にかけてました。あまりにもエレクトロが流行りすぎててクラブでかからない音楽をかけたかったんですよね。
初めて人前でやった時はBPMとか小節すらよく理解してない状態で、とりあえずマイクで叫ぶっていう。これはマジで最悪です。

影響を受けたDJはたくさんいるので挙げきれないですが、身近に出処が近かったDJ WILDPARTYさんがいたのは大きかったと思います。

Q.
楽曲制作やDJ活動において、ブレイクコアからの影響は反映されていますか?

めちゃくちゃされてますよ。足し引きだったり、解体して再構築する考え方とか。ブレイクビーツ入れがちとか。DJは特にワンジャンルで引っ張るタイプじゃないので影響受けてると思います。
あと色々理論をすっ飛ばしても一発聞いてかっこいいものが正義だなと。


Q.
DJや楽曲制作において、Raveの要素を大きく取り入れられていると思いますが、haraさんや同世代の方々にとってのRave感(音楽以外の分部でも)とはどういった物なのでしょうか?

ピアノ!フーバー!アシッド!アーメン!ガバキック!という人もいれば、精神性を重視してる人もいて、それぞれのRave観があると思います。友達のROCK UP HARD CREWとかは実際にイギリスのRaveでプレイしているのもあって、リアルなRave観を大切にしてますね。
僕はRaveの抑制されたエネルギーが爆発する感覚とシンプルに気持ち良いところが好きです。

Q.
Raveミュージック/カルチャーにおけるイリーガルな側面についてはどの様に思われていますか?

現行のRaveミュージック/カルチャーは逆にリーガルでシリアスな側面の方が大きいと感じていて、時代や世代と共に変化しているなと。

Q.
現在注目しているレーベル/アーティスト/DJは?

人物というより現象ですが、今ハウスDJがジャングルをプレイしたり、テクノがどんどんハードになってガバっぽくなってきているのが面白いです。
普段チェックしてるハウスメインのレコ屋もソフトなジャングル入荷してたりするので、これからどうなるのか気になります。
バイレファンキやトライバルなどはミニマルになってく一方でアフリカ系の音楽はブレイクコアっぽい進化を感じてます。

Q.
最後に、haraさんにとって「ブレイクコア」とは?

永遠に進化し続ける究極のミクスチャーな概念!