『ドロヘドロ』オリジナル・サウンドトラックに参加したアーティスト達のスペシャルなインタビューを公開中!
今回はVOODOOMのメンバーであり、長年に渡ってオランダで活躍しているラッパー/トラックメイカー/フィルムメイカーの「Mike Redman」によるブレイクコア/ジャングル・プロジェクト「Deformer」が登場!
これまでに数多くのシングル、アルバムを自身が運営するレーベル「Redrum Recordz」から発表しており、ヨーロッパを中心に幅広い層のリスナーから支持を受けています。
Deformerのサウンドの核となっている「ヒップホップ、ジャングル、ホラー映画」の3つの要素を混ぜ合わせた独特の雰囲気を持つ楽曲は、アーティストやDJ達からの支持も篤く、SlipknotのDJであるSid WilsonのMIX CDに楽曲が収録されたり、ブレイクコアやダーク・ドラムンベース、ハードコア・テクノなど様々なシーンに影響を与えています。
2014年リリースしたアルバム「Full Moon Deformed」は、ホラー映画好きにはお馴染みであるフルムーン・ピクチャーズとのコラボレーションとなっており、Puppet MasterシリーズやDemonic Toy、Killjoyといった映画の音源を公式に使った楽曲で、ホラー映画やB級映画マニアからも注目された傑作でした。
2015年には盟友「Bong-Ra」とのジャングルユニット「VOODOOM」のアルバムをPRSPCTより発表。このアルバムはジャングル系のリスナー以外にもハードコア・ドラムンベースやブレイクコアのリスナーにも絶賛され、今最も注目を集めるユニットの一つです。
このインタビューではDeformerのルーツからオランダの音楽シーンの話、VOODOOMの結成やドロヘドロ・サントラに収録された楽曲の解説などをお聞きしました。
そして!DeformerがスペシャルなMIXをこの企画の為に提供してくれました!
Deformerの魅力であるダークでディープなブレイクビーツとホラーテイストのサウンドエフェクト、謎の日本語サンプルなど、彼の魅力が満載の素晴らしいMIXとなっております!
サントラで気になった方は是非、この機会にDeformer、VOODOOMの楽曲もチェックしてみてください!
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Track List:
01. Syko
02. The Smackdown
03. Screamer
04. Malevolent Mastery
05. Wasteland [VOODOOM]
06. Alla Malla [VOODOOM]
07. Blaka Smoko [VOODOOM]
08. Rituals [VOODOOM]
09. Hybrid
10. Syko [The DJ Producer remix]
11. Diabolical
12. Gamecore
Q1.
出身地を教えてください。
オランダのロッテルダム出身。
Q2.
音楽に興味を持ったのはいつ頃からですか?最初に買ったレコードはなんですか?
人生最初の3枚のレコードは、今でも覚えてる。最初の2枚は、Rock Steady Crewの「Hey You!」 とMusical Youth の「Pass the dutchie」で、人に貰った。
初めて買ったレコードは、子供の頃に買ったIron Maidenの1stアルバム。それ以来、いろんなジャンルの音楽を聴き始めて、レコードも集めるようになった。
Q3.
いつ頃から音楽活動を開始されていますか?
最初は、メタルのドラマーとして活動をスタートして、同時期に「pause-tapes」も作り始めた。時々、この2つの活動を組み合わせたりもした。
Public EnemyとSlayerから、すごく影響を受けてた。
まずは楽曲制作をスタートしてから、その後の段階でDJ やラップを始めた。
Q4.
貴方はメイクアップ・アーティストとしても活動されているそうですが、メイクアップ・アーティストになったキッカケは?
10代の時にメイクアップ・アーティストとしてDJ Paul ElstakのMVにも参加されたそうですが、どういったキッカケで彼らの作品に参加されたのでしょうか?
僕は、ホラー映画にとても関心があった。特に、特殊メイク効果に。
80年代は、毎週末ビデオレンタル屋に通いづめた。そして、90年代初期、特殊メイク効果を練習するために、ショートホラー映画を2本撮った。当時若かったこともあり、メディアに取り上げられた。『ホラー映画を作るティーンエイジャー』って感じでね。
1995年、Paul Elstakが彼のトラック「Don’t leave me alone」のミュージックビデオの制作を依頼してきて、これがオランダで大ヒットをおさめた。それから、スタジオで働き始めて、ジャッキーチェン監督・出演の「WHO AM I? / フー・アム・アイ?」等、数多くの映画に参加した。
その後は、音楽に更なる重点を置くようになって、Deformerのライブ中の背景に、特殊メイク効果の技術を使ったりした。
Q5.
90年代末に「Redrum Squad」というHip Hopグループを結成されていましたが、どのようにしてRedrum Squadの活動は始まりましたか?
貴方達が活動していた頃のオランダのHip Hopシーンはどんな感じでしたか?
90年代半ばに、オーガナイザーを始めたロッテルダムのヒップホップイベントが、国内での知名度があがっていった。ロッテルダムには、2度目のヒップホップシーンのブームが来ていて、そのアプローチがすごくハードコアってことでとにかく有名だった。
イベント「Redrum」に訪れる客層の殆どはアーティストで、そこで意気投合した皆と一緒に「Redrum Squad」名義の活動を開始した。
Redrum Squadのクルーは次第に増えていったけど、音楽担当の中心メンバーはEni-Less、P-Mode、Unorthadox、Th’ Acquisition、Mackと僕だった。
レコードを数枚リリースして、アルバムの制作もしたけど、未公開のままのプロジェクトもいくつかある。
Q6.
オランダのHip Hopシーンはいつ頃から存在しているのでしょうか?オランダのHip Hopの主要都市は何処ですか?
USやヨーロッパのHip Hopと違ってオランダのHip Hopの特徴的なところはありますか?貴方が影響を受けたオランダのHip Hopアーティストは?
オランダでは、早い時期からヒップホップが流行ってた。Rappers Delightの人気が出た1979年頃のことだね。アムステルダムでブレイクダンスが流行って、ロッテルダムにもその波がきた。
オランダのラップは皆英語で、こぞってアメリカのラップに似せよう似せようとしてた。そんな状態が長年続いた後に、今のオランダラップはオランダ語が主流になった。
オランダのラッパーでかなり有名になったのが数名いたけど、オランダ国内だけでの人気だった。僕が興味を持ったラッパーは、殆どが昔から聞いて育ったようなヒーローみたいなラッパーで、殆どがアメリカのラッパーなんだよね。
Q7.
貴方のメインプロジェクトでもある「Deformer」はいつから活動開始されていますか?
1992年に、FXecut名義で曲作りを開始して、後にアーティスト名をDeformerに変更するまでの1994年/1994年頃まで続けた。Deformer名義で作ったアルバムの収録トラックのタイトルにFXecutionersを使ったこともある。
Q8.
Deformerの楽曲は、BreakcoreやJungleといったフリーキーなスタイルをメインにしながらも、音楽的要素が強く、プロダクション能力も非常に高いです。楽曲製作の際に大事にされている事はありますか?
サンプリングされたビートをベースにしながらもサンプリング元の持っている魅力を引き出すのがうまいですが、どういったプロセスで楽曲製作されているのでしょうか?
わお、どうもありがとう!
僕はいつでも、多様なジャンルの音楽に興味があったから、既成概念にとらわれずに音楽を作るのが、ごく自然な事なんだ。他の人にとっては、慣れるまで時間がかかるかもなんだけど、僕は流行と無関係に好きな音楽だけに夢中になるのが大事だと思う。
一番大きく影響されたのはジャングルだけど、ブレイクコアやクロスブリードという名称ができる前から、その類の音楽を作っていた。
使用ソフトは、Cubase(制作用)とLogic(ミックス用)で、古典的なプロセスで作曲してる。ハードのサンプラーやFXペダルを使用して、自分でドラムを録音・編集して制作する。
皆が使ってるような有名なブレイクサンプルよりも、断然ユニークなサウンドにするのがポイントだ。けど、そいういうブレイク系が時代遅れになった時に、それをもう一回始めてみたりもする。
Q9.
長年に渡ってプロジェクトを共にしている「Bong-Ra」との最初の出会いは?
彼とは「VOODOOM」や「Wormskull」といったユニットやお互いの楽曲にフューチャリングしたりなど多くの作品を一緒に作られていますが、彼とは特別な波長が合ったりなどするのでしょうか?
僕らは、個人的に知り合う前から、互いの音楽を知っていた。当時、ジャングル/Drum ‘n Bassシーンの中で、僕ら2人はダークさとマッドさをトラックに取り入れてた唯一の存在だったから。
Bong-Raaは僕が作った「Slasher」を聞いて、僕にコラボの話を持ちかけてきた。それが、今や彼の代表的アルバムとも言える「Can u dig it」になった。
ちなみに、何度も一緒にライブをしたけど、実際に一緒に曲作りを始めるまでは何年もかかった。Wormskullというユニットは、そのうちの一つで、今はVOODOOMというユニットを一緒にやってる。
僕らは制作の際、ひたすら大音量で全曲を演奏する。だって、似たような状況下で演奏すれば、お互いに説明不要だし、何よりすごく楽しいからね。
Q10.
「VOODOOM」のプロジェクトはいつから開始されていますか?ボーカルの「Scapu Lox」はどんな経歴を持ったアーティストなのでしょうか?
2014年にVOODOOMを開始した。けど、今振り返ると、僕らはそれ以前から、個別にこのスタイルを確立していた。14年前、Scapu Lox のボーカルを使って「Ori Ede」というトラックを作って、それをBong-Raがリミックスしたのがダンスミュージック・シーンで大ヒットした。
そもそも、Redrumのパーティーの頃からScapu Loxのことを知ってたから、僕のスタイルと合体したら良いものが出来るのはわかってた。
皆も気づいてるだろうけど、ジャマイカンヴォーカルのサンプルはあらゆる場所で使われている。だから、それに反して僕は、何か新しいことをしたかった。
Scapu Loxは僕の先祖のルーツの一部であるスリナム出身だったから、ジャマイカ押しの代わりに、スリナム語のトラックを作りたかった。
Q11.
オランダはHardcore Techno(Gabba)の発祥の地であり、今もハードなダンスミュージック(Crossbreedなど)が生まれてきています。
hardcoreのフェスティバルには数万人が集まり、hardcore系のダンスミュージックはオランダの一般のリスナーの間でも知名度が高いと思います。
何故、オランダはハードなダンスミュージックが生まれ多くの人々に受け入れられているのでしょうか?
安易な考えかもしれませんが、オランダでは大麻が合法化されているのも影響があるのでしょうか?
XTC(エクスタシー)の影響もあるのかもね。(笑)
でも一つだけ言っておきたい。僕はハードコアが大好きだけど、人生で一度もドラックをやったことがない。
僕のトラックを聞いた人達は、そう言っても誰も信じないけどね。でも、本当なんだ。
ハードな音楽が今みたいに大人気になるまでに、何年もかかったよ。けど、オランダには深いレイブカルチャーがある。そして毎週末、何千人もの人々がクラブに惹き寄せられている。
だけどさ、テレビやラジオではそれ系の音楽が流れないんだ。おかしいよね?
Q12.
貴方の作品にはホラー映画からの影響が強くありますが、ホラー映画のどんな所に魅了されていますか?お気に入りの作品や監督は?
クラシックなホラー映画はもちろん好きだ。けど、アーティスティックな観点だけから見ると、曖昧でわかりにくいホラー映画が得に好きだ。
サンプルを見つけるための探索も好きだね。ビデオは何千本も持ってるし、大好きな監督もたくさんいる。けど大体、サンプルは有名じゃない映画から取ってる。
しかも、ひどい映画に限って最高のサンプルが取れたりする。だから、もし君が僕のサンプルの元ネタ映画を見つけることがあったら、君はつまりひどい映画を見てるってことかもしれない。(笑)
Q13.
貴方の作るハードでダークな音楽や過激なアートワーク(Ori Edi、Meatcleaver EPなど)から暴力的であったりネガティブなイメージを感じる人もいるかと思いますが、貴方の音楽やアートワークにはそういった要素(暴力的、ネガティブ)を含んでいますか?
それとも、楽曲に関してはダンスフロアでの機能性を重視されていたり、アートワークに関してはデザイン性やテーマを優先して、そういった手法を使われているのでしょうか?
慣習的な考えを捨てたり、人を驚かしたりするのが好きなのは確かだけど、ネガティブさは皆無だ。
Ori Edeは、確かに政治的なステートメントだけど、音楽と映像がそれを卓越していたら、もはや面白さを醸すと思うんだけど。というか、少なくともそうなってる事を願うね。
僕の性格は、全然攻撃的じゃないよ。その理由はもしかしたら、音楽によって僕の風通しが良くなってるからかもしれない。
他の人達も僕の音楽を通して同じようになれば良いのに。つまりダンスフロアで踊ったり叫んだりすることによって、結果的にネガティブさから抜け出せればいいんだと思う。
Q14.
貴方が音楽活動を通じて伝えたいことや表現したいことはありますか?
僕が音楽活動を通じて伝えたいメッセージは『音楽作り、音楽作りを楽しむには、ルールなんて一切無い』ってこと。
そして、『自分がやっていることに喜びを感じつつ、人生や生き方に慣れてしまうことなく、最も特別なものも…それと同時に、探し作りだしていく』と言うこと。
Q15.
「DOROHEDORO」にはどんな印象を受けましたか?コミックを読んで印象的だったキャラクターやストーリーはありますか?
今回貴方が提供してくださった楽曲にはどんなイメージ(テーマ)がありますか?
僕はずっと漫画が好きだったから、「ドロヘドロ」のトラックを作ることができてすごく感激してる。この漫画に夢中になり大好きになったし、インスピレーションに富んだ漫画だから、トラックのコンセプトに辿り着くのに苦労しなかった。
曲名は「Blaka Smoko」と名付けた。スリナム語でブラック・スモークという意味だ。ブラック・スモークは、魔術師が皆の姿を変えるための呪文を唱える際に用いられるものだ。今回については、Scapu Loxがその魔術師みたいな役割で、Blaka Smokoを使ってるというイメージ。
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Q16.
今後のリリース予定を教えてください。
最後に日本のリスナーへメッセージをください。
僕は、プロジェクトを何個も同時に手掛けてる。
ーニューアルバムである「The Travel」。
ーそれからDeformerの新作リリース。
ーあとは多分、Murder Channel のVOODOOMの再発盤:-)
ここ半年は海外でのライブが忙しいから、更にもっと色んな人に会えるのが楽しみだ。
日本のリスナーへのメッセージ?去年、日本ツアーをできたことは僕にとってすごく誇らしいことだった。
また日本に行きたいし、今度はもっと長く居たいと思うくらい素晴らしい体験だった。
オーディエンスの皆は、パーティーをすごく楽しんでくれるし、日本にはたくさんの素晴らしいアーティストがいるし、日本の感覚や文化を知ることができて夢のように素晴らしかった。日本は、インスパイヤの源でもあった。
日本の皆のために、またすぐにもっとノイズを演奏したいな。Arigatou gozaimasu…
DEFORMER
http://redrumrecordz.com
https://www.facebook.com/DeformerMusic
インタビュー/文:GHz Staff 翻訳:Kyoka
DOROHEDORO Original soundtrack デジタル版絶賛発売中!
https://itunes.apple.com/jp/album/id1127154835?app=itunes&ls=1 (Itunes)
https://mhzmusic2.bandcamp.com/album/dorohedoro-original-soundtrack (Bandcamp)