過去4度に渡る来日で日本でも熱狂的なファンを獲得しているオランダのマルチアーティスト「Mike Redman」によるジャングル/ブレイクコア・プロジェクト「Deformer」が今年1月にリリースした『The Living Dead Deformed』を特集したスペシャルインタビューを公開!
タイトルから解るように超名作ホラー映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」へのトリュビュート作である『The Living Dead Deformed』は、Deformerの持ち味であるアグレッシブなジャングルとメタル、ハードコア、ブレイクコアのエッセンスを絶妙に混ぜたハイブリッドなトラックに「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」のサンプルを散りばめたダークでエンターテイメント性の高い作品となっており、映画のファンも魅了する内容となっています。
このインタビューでは、『The Living Dead Deformed』が生まれた背景や収録曲の解説などをお聞きしました。
まだ作品をチェックされていない方はこの機会に是非チェックを!
Q.
『The Living Dead Deformed』のアートワークと収録曲のコンセプトを教えてください。
何年も前からこんな企画をやりたいなって思ってたんだけど、その間に他の色んな事が重なっちゃって…
その一つが「Full Moon Deformed」のリリースで。これはホラー映画のアイコン、チャールズ・バンドと彼のハリウッドの映画スタジオ「フルムーン フィーチャーズ」とのコラボなんだけど。「フルムーン」といえば長年に渡る狂ったホラー作品で有名だよね。その80年代の諸作が自分にとって大きなインスピレーションの源泉で。この企画で正に夢が叶ったっていうのは想像してもらえるだろうね。チャールズ・バンドは彼の全カタログをDEFORMERのトラックにリミックスする許可をくれたんだ。アルバムのそれぞれの曲名はソースになった「フルムーン」の映画のタイトルから取っているよ。
DEFORMER / FULL MOON DEFORMED
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「The Living Dead Deformed」はほとんど同じコンセプトと言えるね。これはお馴染みのホラークラッシックでオレの大好きな映画の一つ「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(1968年)を素にしてる。
「Full Moon Deformed」はそれぞれの映画を1トラックづつに落とし込んでるのに対して、「The Living Dead Deformed」では一つの映画をチョップして4トラックにしてる違いはあるけどね。
DEFORMERのアートワークはいつもは全部自分で作ってるんだけど、今回はスペシャルでよりコンセプトにあったものにしたくて、すぐに思いついたのがこれまたオレのヒーローであり、伝説のヴィジュアルアーティストであるグラハム・ハンフリーズだったって訳さ。
Q.
あなたが最初に見たGraham Humphreysの作品を覚えていますか?
グラハムは生ける伝説であり素晴らしいアーティストだよ。彼の作品に遭遇したのは10才の時に友達んちで初めて「エルム街の悪夢」を観た時さ。やつはそのVHSを持っていて、映画自体ももちろん好きだったけど、そのビデオのジャケが最高だったんだ。後にそれがグラハム・ハンフリーズの仕事だと知って、彼が手がけたVHSを既にいっぱい持ってたことに気づいたんだ。なぜなら彼は「死霊のはらわた」や「バスケットケース」や「バタリアン」とか他にも沢山の名作のアートワークを手がけていたからね。そういう訳で自分のレコードのアートワークを頼まずにはいられなくて。幸運なことに彼は興味を持ってくれて、彼の作品をずっと拝めることになったって訳さ。それも最高のやつをね!
Q.
このレコードの製作はいつ頃からスタートしましたか?製作において何か新しいチャレンジはされましたか?
さっきも言った通り、コンセプト自体は数年前からあったんだけど、曲を作り始めたのは去年だよ。
トラックの制作はそんなに時間はかからなかったんだけど、残念なことに、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の監督ジョージ・A・ロメロがちょうど亡くなってしまったことをニュースで知って。「The living Dead Deformed」は既に作品とそのクリエーターに対するトリビュートの意味があったけど、図らずも本当の意味での追悼になってしまって。そういう訳でノン・プロフィット(利益無し)でのリリースにする事に決めたんだ。
Q.
収録曲の解説をお願いします。
ーこれは1曲目で初めに手がけた曲さ。
ーこれは映画の中のキャラクターで彼とその部隊でゾンビ退治に精を出していた巡査、マクレランド本部長を元にしてる。
この役はジョージ・コサナによって演じられたんだけど、残念ながら彼も2016年に亡くなってしまった。
Feast Upon The Flesh
ーこの曲は環境音を元にしてゆるやかにジャングルチューンに展開していく。オレはこの曲が気に入っていて、それは8分の間に色んな事が起こるからなんだ。これを最高に楽しむ秘訣は夜に明かりを消してヘッドフォンで爆音で聴くことさ。
Death Shuffle
ーこの曲はめちゃくちゃだね。はじめは映画にあったようにオルゴールで始まるんだけど、ほどなくしてヘビーで時に凶悪なカオスが爆発する。
ファラヌによるオペラ歌唱が曲をより気味悪くしてると思うんだ。リチャード・ロココがこの映画のクリーチャーの音響を担ってる一人だけど、それらがこのトラックの深みを更に増してくれてる。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の音は最高なんだよ。
Q.
あなたは長い間ホラー映画やそのカルチャーをご自身の音楽に反映させて来ました。何故、あなたはホラー映画に魅了されたのでしょうか?
子供の頃にデレク・リッグスがデザインしたアイアン・メイデンのレコジャケに興味をそそられたのがきっかけで。ホラー映画に興味を持ったのは「エルム街の悪夢」が最初だったと思う。
特殊メイクの仕事を始めてからはまた違う観点からそういった映画を観るようになっていったんだけど。ただ技術的な面でもそうだけど、やっぱりホラーにはずっと興奮させられてたよ。ホラーの仕事をしてて気づいたのはそれが人の知覚を最高に刺激するってこと。エンターテイメントとしてのホラーには絶対的に悪意がなくて、生きてる実感を与えてくれる最高のものだと思うんだ。ちょっと怖いほうが話が盛り上がるしね。それはセックスについても同じことが言えると思うんだけど、ホラーとエロスがタブー視されてる事が本当に理解できないよ。故にDeformerの諸作もカルトだと思われてるんだろうな。
XANGADIX LIVES! Original Motion Picture Soundtrack by Mike Redman
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Q.
DEFORMERとして多数のレコードを発表しています。今もレコード形式のリリースを続けていますが何故レコードをプレスし続けるのですか?
レコードは大好きさ。おれはアホほどレコード集めてるからな。それが初めて音楽と関わったメディアだっていうのもあるし、レコードをかけるっていう行為自体がスペシャルな気持ちにさせてくれる。それはもはやアルバムを聴いてる小1時間は別世界に行ってるようなもんさ。おれはレコードのほうがデジタルより音がイイとか言ってる奴らには反対だけどな。それはどんなジャンルを聴くかにもよると思うし、それによって大違いだろ。レコードで買うっていう気持ちの部分は大きいと思うけど。そもそもオレはノスタルジックなタイプじゃないんだけど、レコードがMP3の10曲分の価値があるみたいなことを言ってる奴らには相容れないよ。あとグラハム・ハンフリーズみたいな人にジャケのアートワークを頼むのにオンラインリリースの切手サイズで頼むのは恥ずかしい事だとは思うね。
Deformer / The Living Dead Deformed (ダウンロードコード&ステッカー付き)
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Q.
あなたはこれまでに4回来日されていますね。Deformerとして出演されたMurder ChannelでのDOMMUNEショウケースやSF StadioでのMurder Channel Talk Showでも興味深い話が聞けました。あなたにとっての日本の印象を教えてください。
ドミューンでプレイした事はとても刺激的だった。客の反応が直に見える状況でプレイすることに慣れてたから、色んな人が聴いてるのを想像しながらスタジオでプレイするっていうのはまた新たな体験っていうか。その反応には圧倒されたよ。日本の印象は全てが最高だった。ショーもトークショーも各地を巡ったことも会った人たちも日本はホント最高さ!知ってると思うけど、もう夢中なんだ。戻ってくる日が待ち遠しいよ…
Gabba Summit – MIKE REDMAN+DJ TECHNORCH+DieTRAX+JEA(SHARPNELSOUND)
https://mctokyo.blogspot.com/2017/10/gabba-summit-mike-redmandj.html
翻訳:L?K?O