“GHz Interview14” RedOgre

GHz Interview

MADDEST CHICK’NDOM、FREAKIN WORKS、Psycho Filth Recordsといった日本屈指のハードコア・テクノレーベルから強烈な楽曲をリリースしているTerrorcore/Speedcoreクリエイターの「RedOgre」がGHz Interviewに登場!
今年4月に発表された待望の1stアルバム「Jet Riddim For The Hardest」の製作秘話から楽曲製作のプロセス、別名義「Bound Round」での活動や個性的なライブパフォーマンスに関してなど貴重なお話をお聞きしました!

 

RedOgre
https://soundcloud.com/RedOgre
http://mdstcd047.tumblr.com/

RedOgre(レッドオーガ)は、都内を中心に活動中のトラックメーカー。
Terror、Speedcoreというあまりにもテンポの速過ぎるダンスミュージックの存在を知り、手に入れた彼は、シーンから受けた影響を自身のトラックへとフィードバックさせ、様々なパーティーでLive Setを敢行している。

「Sketchup! Recordings」「Psycho Filth Records」を筆頭に数々の国内外レーベルからオリジナル、リミックストラックを発表しており、ROTTERDAM TERROR CORPS 20周年記念アルバムへのリミックス提供の他、国内老舗のハードコアレーベル「MADDEST CHICK’NDOM」よりソロリリースを果たした実績を持つ。

高速でフロアに叩きつけられるリズム帯でクラウドを圧倒し、その音楽をダンスミュージックシーンに轟かせ続けているアーティストの一人である。

 


Q.
今年4月に1stアルバム「Jet Riddim For The Hardest」を発表されましたがアルバムの製作にはどれ位掛かりましたか?1stアルバムということで何か意識されたことなどはありますか?

構想は昨年(2016年)の夏頃からしていたのですが、実際に制作を始めたのは年が明けてからになります。大体3ヶ月くらいかかりました。1stアルバムということで、自分のメインスタイルであるTerrorを中心に、BreakcoreやFrenchcore、Hard Technoなど、影響を受けた音楽の要素も取り入れるようにしました。

この度1stアルバムをリリースする運びになりましたが、これまでアルバム形式でのリリースをしてこなかったのは「どうせ作るならしっかりしたものを作りたい!」という思いが強かったためです。
かれこれ10年近くトラックメイクを続けてきましたが、個性やクオリティーにようやく自信が持てるようになってきたので、丁度良い機会だと思いアルバム制作を決意しました。

Q.
Jet Riddim For The Hardestにはどんなコンセプトがありますか?

「速くて踊れるダンスミュージック」がコンセプトになります。
これはRedOgre名義の音楽観そのものに直結するのですが、どんなに速いテンポの音楽でも一種のクラブミュージックだと考えているので、制作の際は常にダンスフロアを意識するよう心掛けております。(実際は全然踊れないようなトラックばかり制作しているのですけれども…笑) あえて「Riddim」という言葉を冠したのもそのような理由があります。レゲエの精神というよりも、ダンスミュージックのプリミティブな部分を意識してアルバムのタイトルを検討しました。

あとは10年間で見聞きしてきたもの、人との出会いや文脈なんかもあれこれと思い返して、アルバム全体の内容をイメージしました。結果、自分でも満足のいく良いアルバムが完成したと思っております。

Q.
アルバムにはMC KCDやnadecoとのコラボレーションも収録されていますが、どういった形でコラボレーションは進められたのでしょうか?

今回2曲のコラボトラックを収録しておりますが、どちらもタタキを僕が制作し、それを相手方に渡してボーカルや音を足していただき、最終的に僕がミックスダウンして完成、といった流れで進めました。トラックタイトルも僕が予め決めて、彼らに曲の構想をイメージしていただきました。

MC KCDとはコラボトラックをこれまでに2曲ほど制作したのですが、ライブでもかなりの頻度でそれをプレーしています。今回のアルバムで新曲は欠かせないと思い、制作をお願いしました。
前作「KCD Junction」で反骨精神満載の日本語リリックを彼が返してきたので、それに対するアンサーとして「Rolling Sobat」というタイトルをつけました。「世の中の嫌な事を蹴り倒す」がテーマです。

nadecoとはプライベートでよく一緒に飲みに行っています。飲んでばかりです。どうしようもないですね。笑
そろそろ一緒に制作しようよ!ということで、昨年夏に彼の個人レーベル「YTR RECORDS」からリリースされた新譜で、一曲コラボをさせていただきました。

こちらです。3曲目の「Break Out」というトラックになります。

 

彼が得意とするMakinaを基調に、途中のパートでRedOgreの音が足されています。
今回、その逆もやってみようと思いアルバム用の共作を打診しました。トラックタイトル「Poison Freaky」には「毒を楽しむ俺達」という意味が込められています。毒といいますか、お酒ですね。笑

Q.
RedOgreさんは今年で活動10周年を迎えるそうですが、RedOgre名義以前はどんな活動をされていたのでしょうか?音楽制作を始めた頃からTerrorcoreを作られていたのですか?

RedOgreと名乗り始める以前は音楽活動は行っておらず、当時通っていた大学の課外活動でPA(音響)を学んでいました。バンドのPAから吹奏楽のコンサートのアシストなどなど。文化祭のメインステージの設営、音響も担当していました。

自分でクラブミュージックを制作したい!という想いは元よりあったのですが、なかなか最初の一歩が踏み出せなかった記憶があります。PCに疎かったこともありますし、当時は今よりもDTMの敷居が高かった?ように思えます。(そんなことなかったらごめんなさい汗)

PAとしての活動を進める傍らで、RedOgre名義での音楽活動を開始しました。当初はBreakcoreやSpeedcoreのDJとして活動をしておりました。
DJを初めて間もなく、とあるパーティーにレジデントとして参加をすることになったのですが、そのパーティーでフリーのコンピレーションCDを配布することになり、それに一曲提供をする形で初めて音源を制作しました。
初めて制作したのは220bpmくらいのFrenchcoreで、2曲目は280bpmのハードコアトラックでした。この手のハードコア系の音が好きだったので、当初からハイテンポなトラックを制作しておりました。

Q.
「RedOgre」という名前の由来は?

「BigFoot」というアーティストが由来です。
かなり昔の話になりますが、2004年頃に「Mobile Music G6」という、携帯電話向けの着メロ(死語?)を配信するサイトがありました。主にau向けのコンテンツだったと思います。
そのサイトは「(当時の)携帯電話の音源をフル活用した、オリジナルのクラブミュージックを配信する」ということをコンセプトに掲げた素晴らしいものでした。
そこに6名の着メロ制作クリエイターが所属しており、その中の一人が「BigFoot」でした。EBM(Electro Body Music)系のサウンドを得意とした「太い音作り」が特徴的なアーティストで、当時の僕の憧れでした。

自分が音楽活動を始めるにあたり、何か名義を決めようと考えた時に、真っ先にこの「BigFoot」を思い浮かべました。
BigFoot → 強そうな怪物。自分は和物が好きなので、和で怪物といえば → 鬼。赤色が好きだったので、そのまま「赤鬼」というような流れで決めました。これを英訳すると「RedOgre」の表記になります。
ちなみに「R」「O」が大文字で、「Red」と「Ogre」の間にスペースがないのは、この「BigFoot」の表記に由来しています。文字数もたまたま同じ7文字でした。

 

Q.
Terrorcoreとの出会いはいつ頃ですか?Terrorcoreのどんな部分に魅力を感じましたか?

Terrorcoreというよりも、当時の解釈だとまだSpeedcoreと呼ばれていたタイプの音楽かもしれないですが、2006年にWARSTという関西のアーティストのライブセットを観たのがきっかけで出会いました。
スピーカーを通して聴く300bpmほどのテンポの音楽に、当時かなりの衝撃を受けました。こんなに勢いがあってカッコ良い音楽があるのか!と。
それに魅力を感じ、自分も制作を開始しました。今のスタイルのルーツです。WARST氏は現在活動を休止されているようですが、自分が最もリスペクトするアーティストであることに変わりはありません。

Q.
TerrorcoreとSpeedcoreの違いがいまいち解らないのですが、明確な違いなどはあるのでしょうか?

実をいうと僕もあまり存じていないのですが、どうやら単にbpmの速さで区切られているようです。
200bpm~300bpm辺りがTerror(Terrorcore)、300bpm~がSpeedcoreという認識でいます。(違っていたらごめんなさい。汗)
以前は240bpm~の音楽を総じてSpeedcoreと呼んでいましたが、時代の流れと共に変化してきたようです。アーティスト達の制作している音も変わってきているように思います。
世の中の流れに合わせて、自分の制作面においてもTerrocore、Speedcoreをはっきりと分けて意識するようになってきました。

Q.
TerrorcoreやHardcoreなどの打ち込み以外にもメタルやグラインドコアなどのエクストリームなバンドミュージックの影響などはあるのでしょうか?

活動しているジャンル柄、エクストリーム寄りのバンドの方々と共演をさせていただくことも多く、現場で実際に体感しながら影響を受けてきました。
打ち込みのクラブミュージックとは違ったノリが楽しくて、それを自分のトラックにも積極的に取り入れてようとしています。
元々PAをしていたこともあり、バンドミュージックは身近にあったため好きなのですが、特定のアーティストを聴き込むことがなかったので、これから勉強していこうと思います。オススメがありましたら是非教えてください。笑

Q.
楽曲製作のプロセスを教えてください。どういった形で曲作りは進められていますか?現在製作に使用している機材は?
音楽制作において作っていて気持ちの良いBPMなどはありますか?

殆どの場合、まずキックから作ります。bpmとキーを決めて、単発の音をループさせて好みの音色に変えていきます。それを一度オーディオファイルに書き出し、DAWで編集しながらトラックを仕上げていきます。
リズム帯を組み上げ、その上でシンセを鳴らしつつトラックの全体像を決めていきます。全体像が定まったら、シンセの音をオーディオファイルに書き出し、DAWに取り込み直してスライスなどのエディットを加えます。その後、各パートをミックスダウンして完成です。
オーディオファイルをこねくり回すような作り方をしています。

使用機材は以下の通りです。
ソフトウェア: ACID Pro 7
プラグイン: シェアウェア、フリー色々
オーディオインターフェース: Roland UA-25 EX
ヘッドフォン: Roland RH-300
スピーカー: YAMAHA MSP5 STUDIO

アーティストっぽい作業デスクじゃない!とガッカリされる方もいらっしゃるかもしれないですが…シンプルな環境で制作しております。
MIDIキーボードも以前は使用していたのですが、あまり使わないので取り外してしまいました。長い間この環境で制作をしてきましたが、そろそろDAWをAbleton Liveあたりに乗り換えようかと思案中です。

制作にあたって幅広い範囲のbpmを取り扱っていますが、その中でも250、300付近が最も気持ちよく感じます。その半分も然りなので、125、150付近も好んでよく制作しています。

Q.
Bound Round名義ではテクノを作られていますが別名義を始めたのは何故ですか?

そもそもテクノが一番初めに出会ったクラブミュージックだったので、DJ、制作を始める以前からテクノアーティストとしての活動を行うつもりでした。
音楽活動を開始した後、元々RedOgre名義にテクノでの活動も包括させていたのですが、ハードコアとテクノでは出音への解釈が異なると思い、新たに名義を作りました。

勢いまかせに突進するハードコアなプロダクトがRedOgreで、オヤジが静かに遊ぶミニマルなプロダクトがBound Roundです。
中身は同じ人間ですが、客観的に見ても何のアーティストなのかわからなくなるので使い分けるようにしました。

 

Q
個性的なライブパフォーマンスを披露されていますが、このスタイルに行き着いたキッカケは?今までで最も印象的だったライブは?

とあるパーティーへのブッキングをいただいた際に、僕のプレータイムが10分だったことがありました。
「どうやったら10分でインパクトのあるプレーが出来るだろうか?」と考えた結果、DJブースの中に一歩も入らないのを思い付きました。結果、「DJブースの前に立ってフロアに背を向けてミックスを行う」という今のスタイルに行き着きました。
その1回だけにしておくつもりでしたが、フロアに近いポジションでプレー出来るのが楽しくて、その後のギグでも繰り返すようになりました。

ライブで大事にしていることは、セット内の選曲にメリハリをつけることです。当たり前といえば当たり前ですが…いかんせんテンポの速い音楽なので、単調なセットだと聴き手が疲弊してしまいます。
しかしながら本国ヨーロッパのTerrorcoreアーティスト達は1時間以上のプレーを平然と敢行し、お客さんもそれにしっかりついて来るので、つまるところは選曲の良し悪しだと思っています。わかってはいても、なかなか難しいですね。

忘れらないライブ体験はいくつかあります…中でも激しくパフォーマンスし過ぎて血を流してしまったライブに関しては、嫌というほど鮮明に覚えております。(関係者各位、その節は大変ご迷惑をお掛け致しました。汗)

Q.
現在注目しているアーティストはいらっしゃいますか?

日本国内だとCoakira氏。独特のセンスを持たれているTerrorトラッカーで、過去にスプリットアルバムをリリースしたこともあります。
http://mdstcd053.tumblr.com/

海外だとTHE DESTROYER。現代の技術でオールドスクールにアプローチしている感じが非常に好みです。こちらで氏の個人レーベルのフリーリリースが聴けます。
http://www.airfight-records.net/home.html

Q.
今までリリースしてきた曲の中で最も思い入れのある楽曲はどれですか?

「SPARK OUT FREAKIN TERROR」という楽曲です。
ハイテンポなハードコア全般を取り扱う「FREAKIN WORKS」というレーベルの、コンピ1番に収録されています。
http://freakinworks.net/FKW001/

同レーベルのアンセムを(勝手に)意識して制作しました。
ブレイクのギミックの構想は随分前からあったのですが、アウトプットはどんどんした方が良いと思い、この機会に盛り込みました。リスナーからも「RedOgreといえばこの曲!」という有り難いお言葉をよくいただくので、そういう意味でもナンバーワンです。

そんな思い入れのあるトラックですが、アルバムでは敏腕トラックメーカーKobaryo氏のRemixが収録されております。Uptempoスタイルにコンバートされており、オリジナルよりも格段にカッコよく仕上がっています。必聴!

Q.
10年間に渡る音楽活動を得て得られたものとはなんでしょうか?

「クラブで遊ぶのは楽しいこと」です。
音源を制作しライブを敢行して、様々なパーティーを過ごしてきましたが、全ての活動を通して得られたものはこれでした。
「スピーカーから大きな音でダンスミュージックが鳴っていること」「非日常的な雰囲気を、音楽やお酒とともに楽しむこと」
10年間これが楽しくて活動を続けてきました。自分にとってかけがえのないものですね。

Q.
今後の予定を教えてください

出演予定は、RedOgre単体だと

6/10 究極の混沌 @ 渋谷ロックのこころ
6/24 TBA @ 浅草Stella
7/2 Scramble vol.12 @ 渋谷Dimension
7/9 SCALD @ 名古屋MAGO

になります。まだ増える予定なので詳細はTwitter等で!
https://twitter.com/redogre

制作の方は夏に発売されるコンピレーションへの収録に向けて鋭意進めております。乞うご期待!



GHz Blogのチャート企画にてRedOgre氏がHardcoreの楽曲製作において影響を受けた作品を紹介してくれました!こちらも是非チェックを!
What’s your favorite thing of all time? PT.28 by RedOgre

http://ghz.tokyo/2016/08/15/whats-your-favorite-thing-of-all-time-pt-28-by-redogre/