“GHz Interview09” ANODE

GHz Interview

国内のドラムンベース・シーンの中でも抜群のクオリティーと世界観を持った実力派DNBプロデューサー「Anode」さんのインタビューを公開!

Rise Audio、Harder & Louder、Tech Cycle Recordingsといった海外の人気DNBレーベルから作品を発表しており、最近ではCurrent Valueのリミックスも製作するなど、世界を舞台に活躍している今最も注目すべき日本人アーティストの一人です。

このインタビューではAnodeさんの意外なルーツやバンド時代の話、使用機材と楽曲製作の話など色々とお聞きしました。

写真2

Anode
https://soundcloud.com/anodegz
https://twitter.com/anodednb
関西を拠点とするDNB DJ/Producer
インダストリアル、ブラックメタルやテクノ等バックグラウンドに独自のドラムンベースを生産。これまでRise Audio/Mindtech/Harder & Louder等、国内外からのリリース、様々なアーティストとのコラボレーションを行ってきた。2016年名門ドラムンベースレーベルCritical MusicよりリリースのCurrent Value最新LPにリミキサーとして参加。物議を醸す。


Q1.
現在は関西を中心に活動されていますが、出身はどちらですか?

山口です。2007年に地元時代からの友人の誘いで大阪に越しました。

Q2.
音楽に興味を持ったキッカケは?どういった作品に影響を受けていますか?また、ドラムンベースとの出会いはいつ頃ですか?

小学生の頃にX「破滅に向かって」のVHSを鑑賞してからです。

中学からギターを始めてライブハウスに入り浸る様になり、パンクやハードコアの洗礼を受けました。一通り聴いたりDollやファンジン読んだり、
特に80’s Skate Thrash、ビートダウン NYHC、Goodlife Rec周りのメタリックなニュースクールハードコアに没頭しました。

後々色んな音に触れて、最初のドラムンベースはジャケ買いしたEd Rush & Opticalの「Wormhole」とJUZU aka MOOCHYさんの「Beast」というMIXでした。今でこそ最高だと思えるのですが10代の頃は電子音楽は全く理解出来ませんでした。

Q3.
音楽活動を始めたのはいつ頃からですか?

10代後半です。北九州寄りだったのでそちら拠点でNYHCの様なバンドでギターを弾いていました。解散後、趣味嗜好はどんどんデス、ブラックメタルに移行して行きました。

速いブラストビートを叩けるドラマーが居なかったので、ZOOM RT-323、Roland MC-303等のドラムマシン、ダブルテープデッキ、MTRの中古やジャンク品を修理して打ち込みのブルータルデスメタルユニットをVJ含む3人組でやってました。

メンバー居なくて仕方無く触り出したドラムマシンですが、その音や操作感、何より自分1人のペースで作れる所に魅了され電子音楽への関心が高まりました。
GODFLESH「Us And Them」、SCORN「Ellipsis」辺りのシーケンスを使ったメタルやインダストリアルを溯って聴いて、「Ellipsis」に収録されていたオウテカのRemixキッカケでWarp周辺や、より整頓されたエレクトロニカも触れ始めました。

この頃位にPC欲しさから化学薬品工場を解体する高収入バイトで資金調達してMacBookを手に入れて、同時に初めてネット環境も手にし世界が凄く広がった感動を思い出します。

myspace等で音源を漁る日々が続き、Technical ItchやCurrent Valueといったドラムンベースに着地して相当ハマり、そういった音源を集めたり、abletonを使った楽曲制作を覚えて行きました。2006年夏でまだ山口に居た頃です。

Q4.
「ANODE」名義ではいつから活動されていますか?ANODE以前はどんな音楽活動をされていましたか?

2008年からです。その前年に大阪に出て来て最初に仲良くなったのがDJのPYRO3000で、彼は既にLIMEWAXを日本に招いたり「Pressure Drop」というハードなドラムンベースに特化したイベントを開催してました。
今は無きCyderというレコード店のドラムンベース担当でとにかく膨大な知識量でした。遊んでる内に自分も「Pressure Drop」での活動を開始する事になりました。

その後、EKOTEEと出会い、彼に色んなレイヴやパーティに連れ回され、この時からテクノやトランスの理解が生まれた様にも思い出します、その影響も有りProde,Proket,Mechaplex Crew辺りのハードでミニマルなドラムンベースを好んでスピンしていました。
EKOTEEと一緒に曲作ってmyspaceに曲をアップロードするとイギリスのVenom Inc Recordingsからの依頼が来て最初のリリースをしました。

この時2人組でGravity Zeroという名義でした。後にAmexがリミックスもしてくれたのですが、また聞き直してセットでも使い直してます。

Q5.
ドラムンベースのどんな所に魅力を感じていますか?

技巧的でありラフでもあり、インテリジェンスな面から体育会系っぽいタフなノリまで含んだ多種多様性でしょうか。物狂いな進化の中で歴史を尊重した暗黙のマナーも感じます。

どんな類の人にも着地出来るドラムンベースと居場所はあるはずだと思います。電子音楽全般に言えるのですがバンドと違って1人で黙々と作れる所が自分は一番の魅力と感じてます。

Q6.
ANODEさんの最初のリリースはPerkussivからの「Anode EP」になるのでしょうか?この作品はどういった経緯でリリースされましたか?

単独では最初です。先に挙げたAmexが「レーベルやるけど曲ある?」的な誘いが来たので応えました。別で音効仕事を頼まれてたので大量制作したジングルの中で未使用になった4つを手直して曲にしました。


同時期にTUTTLEさん、サイケアウツG大橋さんの始めたNode Labelの誘いでコンピレーションCDに参加したのですがこちらの曲が自分らしさは出てたと思います。

Q7.
Tech Cycle Recordings、Rise Audio、Harder & Louderといった海外レーベルから作品を発表されていますが、どういった基準でレーベルを選ばれていますか?

直接依頼のメールが来てから交流を交わしてOKを出す流れです。Rise Audioに関してはレーベルからではなくGravity Zero期から知ってるAlliedからの誘いで出す事が決まりました。

Q8.
現在使用している機材を教えてください。

abletonをインストールしたMacBook Proのヘッドホンポートから出力でヘッドホンはSONY MDR-7506、beyerdynamic DT770 Pro 32Ω、イヤホンはUE Reference Monitors、DJ時はAIAIAI TMA-1を使います。

シンセはableton Suite付属のOperatorでトラックの8割これです。稀にRobPapen Blueも使います。MIDIコントローラー等は使わずトラックパッドでオートメーションを書きます。
以前までKORG MS20 miniも使ってましたが、現在はラップトップとヘッドホン、もしくはイヤホン、通電してるコンセント1つ有れば作業出来る環境です。

FullSizeRender (1) image1 機材

Q9.
どういったプロセスで楽曲を作られていますか?ビートやベースのアイディアはどんな時に生まれますか?ドラムンベースでは特定のBPMや展開がある程度決まっているジャンルだと思うのですが、そういったジャンル内のルールを踏まえた上で楽曲を作る事にストレスを感じることはありますか?

Operatorを立ち上げて打楽器の生成から始めてます。稀にiPhoneのボイスレコーダーやMacbook搭載マイクで録った音もレイヤーに使います。手グセと偶然を繰り返して自分が心地良いポジションを探していってます。

アイデアは暇さえあれば考えてますが寝起きが一番冴えてる気もします。よくある事で楽曲で「これで完成」というゴール感が無く、同じ曲のプロジェクトファイルを触り続けてしまう癖もあるので時間も制限して一筆書き感覚でやってます。

毎回ミキシングをラフにやっちゃうので音の質感に関してDJの方から「他の曲と混ざりにくい」と指摘を受ける事は多々あります。それが個性か解りませんが精進ですね。

Q10.
ギターの演奏経験をお持ちとの事ですが、コード進行などの音楽論は現在のご自身の音楽に反映されていますか?また、ハードコアやインダストリアル・メタルなどのバンドミュージックからの影響は今の楽曲にも影響を与えていますか?

パート構成は活かされてるかもしれませんが、ギターより10代の頃使ってたガラケーに搭載されてた着メロ製作ツールで遊んでた経験の方が役に立ったのかと思う時はあります。ちょっとしたシーケンサーみたいだったので、
ハードコアはEarth Crisisみたいなメッセージ性の強いバンドも聴いてましたが、自分は鯨肉もありがたく食べます。精神性や生活スタイルへの左右はされず、あくまでグルーヴやリフが好きといった感じです。

今の自分の曲にザクザクのギターリフを入れようとは全く思いませんが、最近は初めて手に入れたギターを引っ張り出してフレット擦り合わせたり修理して弾けるようにしたり、そんな事ばっかりしてます。

Q11.
楽曲の中には自身の思想であったり、パーソナルな部分はどれ位反映されていますか?それとも、自身の楽曲にはそういった要素を排除した純粋な「ダンスミュージック」を作られていますか?

いわゆるダンスミュージックらしい都会っぽさ、快楽な要素、量生産性が自分はかなり欠落した人間だとも思います。9割は触った機材と聴いて来た曲からの影響のはずですが、普段思ってる事や生活感も自然と反映されてるのかもしれません。思想とはちょっと違いますが身体とメンタル資本なので健康に気を遣い、欲深過ぎる話も遮断しています。

osaka

Q12.
最近リリースされたCurrent Valueのニューアルバム「Biocellulose」にリミックスで参加されましたが、どういった経緯で参加されたのでしょうか?2013年のCurrent Valueの初来日では共演もされましたが、彼からインスパイアされることはありましたか?

来日時に僕が勤めてたヘッドホンのお店にmerupo君やシャカイチ君達がCVを連れて来てくれました。お互いVenom Incからのリリース歴があったのでGravity Zeroだと伝えると最初は「あー君が」位のテンションでした。ただ、彼は相当なヘッドホンマニアなのでその際凄く喜んで、公演終わっても連日訪ねて来たのは印象的でした。

ツアーが終わってからもCVからヨーロッパで未発売の機器に関して度々質問メールが寄せられたので答えたりしていました。そんなメールオペレーター状態を続けてると彼から「納期すぐだけどリミックスやる?」とステムパーツ添付のメールが来たので、作業して2mixで送り返すと「これアルバムに入れて出すから」と話が進みました。

タイトルにもある「バイオセルロース」って一部の高級ヘッドホンの振動板で使われたりする繊維素材でもあるのですが、そのお題に合わせて僕に振ってきたのかも知れません。真意は次会う時にでも聞きたいです。

自分が最初に夢中になったドラムンベースアーティストの1人なのでシンプルに嬉しいです。とにかく彼からは深いヘッドホン愛を感じます。


Q13.

ヘッドホン関係のお仕事もされていたとの事ですが、ドラムンベースやダンスミュージックを製作するのにオススメのヘッドフォンなどはありますか?

愛着があれば何でも大丈夫と言いたい所ですが、迷ってる人の為に答えます。僕自身所有はしてませんが密閉型はYAMAHA HPH-MT220、Roland RH-300、
開放型はヘッドホンアンプ部の駆動力が必須ですがSENNHEISER HD650、AUDEZE LCD-Xがそういった音楽を作る人にはとても良い物ではないかと思います。

Q14.
近年のドラムンベース・シーンの中で注目しているアーティストは誰ですか?
また、国内のドラムンベースシーンに関してはどう思われていますか?

結構前ですが、国産ドラムンベースはYONEDAさんの音は好きでよく聴いていました。

今は関西で行われるドラムンベースパーティ等に稀に出演させて貰って楽しくやってます。
他ジャンルのイベントは梅田のNOONでやってる「Depth」緑橋のライブハウス戦国大統領で行われてる「カオティックイラマチオ」が斬新な音ばかりでいつも刺激を貰ってます。

注目してるアーティストはドラムンベースとはかなり言い辛いですが、

・Simon Shreeve
https://soundcloud.com/monic_uk/simon-shreeve-healing-bowl-downwards
Mønic名義でもやってますが、Kryptic Mindsの実名プロジェクトでドラムンベース期からずっと追って聴いてますが少し前に出たDownwardsからのEPが本当に最高です。

・Ynoji
https://soundcloud.com/clunkynoji/2015-thobel-khodes-released-on-abcd
最近好んで聴いてます。このEPをリリースしているABCDというレーベルはCOOH/balkanskyことIvan Shopovの立ち上げた所なのでここも要チェックです。

・Sol Invicto
https://soundcloud.com/solinvicto
Technical ItchとデフトーンズのStephen Carpenterらによるユニットです。

・444Capsule
公式サイト無いですが個人的に大阪で一番イカしてると思う3人組です。先に挙げたカオティックイラマチオを開催してます。

Q15.
今後のリリース予定を教えてください。

ロシアのTech Cycle Recordingsから次回出るコンピレーションアルバムに入ります。収録はFlare,Indidjinous,Throttler,Ahmad & Akinsaその他はもうすぐ発表されます。

他には別名義でEPを2作出します。詳細分かり次第何かの媒体でお知らせします。どうぞよろしく。

インタビュー/文:GHz Staff
※このインタビューは2016年7月18日に行われました。