RoughSketch

“GHz Interview08” RoughSketch

GHz Interview

今回のGHz Interviewは日本を代表するハードコア・クリエイターRoughSketch氏が登場!

ハードコア・テクノをメインにベースミュージックやJポップ、アニソンまで取り入れた圧倒的なオリジナリティーとクオリティーでジャンルや国境を越えて支持を受けており、ご自身主催のレーベル「Notebook Records」を中心に数多くの作品を発表されています。

最近では活動10周年を迎えられて3枚組みベスト・アルバムを発表。今回のインタビューでは楽曲製作のプロセス、自主レーベルや国内のシーンに関してなど、RoughSketch氏の10年に渡る活動を振り返る内容となりました。

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RoughSketch
http://notebookrecords.net/
https://twitter.com/uno_roughsketch
https://www.facebook.com/YatsuzakiHardcore
https://twitter.com/shc_officialh

1987年8月4日生まれ。Notebook Records(JP)主催。日本の札幌を拠点にトラックメイカー、DJ、レーベルオーナーといった活動を行っている。

ハードコアテクノに様々な音楽の手法を加えた個性的なスタイルが特徴的。オランダの老舗ハードコアレーベルMegarave Recordsをはじめ自主レーベルNotebook Records(JP)や日本国内のbeatnation RHYZE、X-TREME HARD、HARDCORE TANO*Cなどのレーベルからオリジナルトラック、Remixを発表している。

札幌で数少ないハードコアテクノイベント「YATSUZAKI HARDCORE」の主催も行っており、自身レーベルNotebook Records(JP)の展開も活発。個性的なトラックのリリースはもちろん、Rayden、Endymion、Hellsystem、Nitrogenetics、THE SPEED FREAK、DJ Plagueといったシーンの第一線で活躍するトラックメイカーのトラックをリリース。日本のハードコアテクノを世界に、そして世界のハードコアテクノを日本に繋げている。


Q.

RoughSketchさんは札幌を拠点に活動されていますが、生まれも育ちも札幌ですか?

生まれは北海道東側の「標津町」と言う、人口6000人くらいの町です。
高校を卒業後、進学をきっかけに札幌に引っ越しました。札幌に引っ越してきて「テレビ東京が映る!」と感動しました。

Q.
いつ頃から音楽に興味を持ちましたか?最初に買った音源は何ですか?

父親の趣味が音楽鑑賞だった事もあり、音楽に触れる機会は多かったです。
実際に自分で「CDが欲しい!」と思ったキッカケはテレビゲームです。
自分が初めて買った(親に買ってもらった)CDは「ポケットモンスターのサウンドトラック」でした。二枚組で、一番最後に凄くストイックなテクノの曲が収録されていたのが印象的です。

Q.
ハードコア・テクノとの出会いはいつですか?ハードコアのどんな部分に惹かれましたか?

高校一、二年の頃ゲームセンターでプレイしていた「ポップンミュージック」というゲームがキッカケでした。
「D-crew / disable dA STACK(ジャンル:ガバ)」という曲を聴いて衝撃を受けました。

もともと激しい音楽が好きだったのですが、テクノ由来のサウンドと緩急の付け方、四つ打ちの解放感等、
当時の自分にとっては新しくて衝撃的でした。
この曲を聴いてからインターネットでガバを検索する日々がはじまりました。

Q.
RoughSketchさんがハードコア以外で影響を受けたジャンル、アーティストは?

あまり苦手な音楽が無いので、色々なモノを聴いています。
父親の趣味であるジャズ、フュージョン系やゲーム音楽のサウンドトラックはもちろん、中学の頃はクラシックを聴いてみたり、アルファやKICK THE CAN CREW、nobodyknows+などの日本産ヒップホップにハマっていたりしてました。

高校の頃は友人の勧めで聴いていたSlipknot、ORANGE RANGE、Fatboy Slimなどを聴きながらインターネットのコミュニティで勧められてMoby、Squarepusherなどのクラブミュージックものも聞いてました。

その他はこちらの記事からどうぞ!
http://ghz.tokyo/2015/04/20/whats-your-favorite-thing-of-all-time-pt-7-by-roughsketch/

Q.
ご自身で楽曲製作を始められたのはいつからでしょうか?最初からハードコアを作られていたんでしょうか?

高校二年生の終わりくらいからです。16、17歳頃ですね。
当時はフリーのMIDI打ち込みソフト「てきとーシーケンサ」ってのを使っていました。

パソコンから鳴るMIDIの音で作っていました。ガバを作りたかったものの、どう頑張ってもキックが再現できなかったので
(パソコン付属マイクを使って、キックの声マネを録音したりもしました笑)
最初は耳コピをして遊んだり、ゲーム音楽的なものを作っていました。

Q.
現在はチュートリアル動画などでハードコアの作り方が学べますが、RoughSketchさんが楽曲製作を始めた当時はどうやってハードコアの楽曲制作方法や知識を学んでいったのでしょうか?

高校時代では、ターンテーブルを買ってハードコアのレコードを集めることがメインでした。GUHROOVYさんがレコードを入荷したら、その殆どを買っていた時期があったと思います笑
当時はMIDI打ち込みばっかりやっていて、全くハードコア的なサウンドを再現できませんでした笑

周りにDTMの詳しい人も居なかったので、技術的なものを学べたのは音楽の専門学校に入ってからです。以降はmixiで繋がったM-Projectさんにたくさんアドバイスをして頂けました。

Q.
RoughSketch名義で始めて世に発表された楽曲はコンピレーション「Core-O-Rama」に収録された「Killer Pill」になるのでしょうか?このコンピレーションにはどういった経緯で参加されたのですか?これ以前の楽曲は何処かで公開されていたのでしょうか?

Killer Pillが初めて世に発表されたオリジナル曲になります。それまでの楽曲はmuzieとMySpaceで楽曲を発表していました。
M-Projectさんにデモを送らせて頂いてリリースに結び付きました。

Q.
「RoughSketch」の名前の由来は?

イラストレーターになりたい!と思っていた時期があって「Sketch」という名前で暫く活動していました。だけど何だか字面が味気ないなぁと思い「RoughSketch」に名前を変えました。

Q.
1stアルバム「Rave Is…」が出来上がるまでの経緯を教えてください。このアルバムの製作にはどれ位掛かりましたか?

Rave is…は専門学校最後の年で、「学生生活最後の年に作品を残しておきたい」という思いがあって制作しました。
学生生活中は活発に音楽活動できるけども、一般就職すると途端に音楽活動が縮小する方々を度々見ていましたのでこのタイミングでなにか残しておかないと!と強く考えました。

結果的にガバ、ハードコアが色濃い作品になりましたが、当時の自分が挑戦してみたいサウンドを正直にアウトプット出来たなぁと思っています。

Q.
レーベル「Notebook Records」を立ち上げたキッカケは?

自分でやる事が一番自分の出したいものをストレスなく発信できると思ったからです。
当時はとにかく「CD出したい!」って一心で動いていたので思い返してみると流通とか、即売会とか、戦略とかをよく考えてからやっても良かったかなと思います笑

Q.
臨界モスキー党はどうやって結成されたのでしょうか?当初から日本語でハードコアをやろうと計画されていたんでしょうか?

札幌のクラブイベントで当時「臨界モスキート」として活動していたDJ一戸建さんとNp犬田彦さんのパフォーマンスを見て『コレは面白い!!』と、ビビッときまして一緒にオリジナル曲を作りませんか?と誘いを持ちかけたのが「臨界モスキー党」結成のきっかけです。

当時臨界モスキートは既存の曲にマイクを乗せるスタイルでオリジナル曲がありませんでした。
ですがリリックのパンチ力というか、一度聴いたらなかなか忘れられない勢いがあったのでこれを活かして「日本語のARMY OF HARDCOREを作ろう!」と制作したのが『印度のソバ屋』です。

日本語のハードコアを作ろう!という感じで計画的に生まれたものではなく無計画から捻り出てきたものが、たまたまこういうスタイルに落ち着いた、という感覚です。

去年で活動10周年を迎え、10周年アルバムもリリース出来、自分たちでも驚いています笑

Q.
RoughSketchさんの楽曲はメロディーが特徴的ですが、どんな時にメロディーのアイディアは生まれますか?

シャワーを浴びている時と、トイレに籠もっている時です。
あとはもちろん、パソコンの前で適当にキーボードを鳴らしている時も生まれます。

Q.
ハードコア以外にもクロスブリード、インダストリアル、スピードコア、メインストリームなど多くのジャンルをご自身の音楽に取り込んでいますが、楽曲を作る時に最初にジャンルを決めてから曲を作るのでしょうか?

曲によって変わります!

ジャンルを決めて取り掛かる曲は、そのジャンルを研究する為にドップリと時間を掛けられるのでとても勉強になります。
マーダーチャンネルからリリースした「RoughSketch – BASSDRUM:File #7」では1、3、4曲目はジャンルを決めてから作っています。

BASSDRUM:File #7の2曲目はジャンルを決めずに取り掛かりました。ジャンルを決めずに何か作るときは大抵キックから作ります。
キックの歪ませ方でグルーヴ感がだいぶ変わるので「このサウンド、おもしろいな!」というキックから膨らませて他のパートを組んでいます。


Q.

RoughSketchさんはJ-COREのアーティストとして国内、海外で紹介されることがあるかと思いますが、ご自身ではRoughSketchの音楽はJ-COREだと思いますか?

J-COREだと思っていますし、J-COREと紹介していただけることを嬉しく思ってます。
オランダやイタリアのハードコアから影響を受けたサウンドを作っているので本国への憧れはもちろんありますが、本国のハードコアは作るよりも聴いている方が(DJで使う事のほうが)好きなので、僕は僕自身にしか作れない音を探していたいなぁと思っています。

Q.
現在はどんな機材を使用して楽曲製作を行われていますか?

Steinberg Cubase 5
Roland OCTA-CAPTURE
SONY MDR-CD900ST
Apple EarPods with Remote and Mic
YAMAHA MSP5 STUDIO
YAMAHA HS10W
Roland SH-201
KORG microKORG
Roland αJUNO-2
UniversalAudio UAD-2 QUAD CORE
その他ソフトを色々使っています!

Q.
楽曲製作のプロセスを教えてください。ハードの機材はどのようにして使われていますか?
製作において自身の中でのルールやポリシーなどはありますか?

だいたいリズムトラックを組んでから、それに併せてメロディや他のパートを乗せる事が多いです。その後に全体の流れを雑に組んでいます。
そこから少しずつ細かいところを詰めて行くイメージで作っています。

ハード機材はソフト音源で鳴らしているパートにレイヤーしています。
ソフトの音だけだと物足りなく感じるときに、厚みやウェット感が出て重宝しています!

制作においてルールを持たない事がポリシーみたいなところがあります。「この音入れたらダメでしょ」とか「コレはハードコアじゃない」とかを、考えながら作るのは自分に合っていないので、考えないようにしています。

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Q.
差し支えなければガバキックの作り方を教えてください。ガバキックはサンプル販売や製作者自身による無料配布も頻繁に行われていますが、RoughSketchさんは誰か他のアーティストが作ったキックを使用することはあるのでしょうか?

ザックリ言うと
『キックの元の音』

『EQ、もしくはフィルター』

『ディストーションエフェクト』
が、基本的なレシピです。

チャーハンで言うところの「ご飯と卵と具を炒める」くらいのレシピが上記のモノです。
元のご飯にどういうものを使うか、具は何を入れるか、どういうお皿に盛りつけるか、等で全然違うものになるので自分の好みの音になるまで試行錯誤するのが毎回楽しいです。

活動初期には配布されているガバキックを加工しながら作っていた時期もありましたが、現在は自分で作ったキックだけで楽曲を作っています。

Q.
現在までの活動において、年1枚は必ずアルバムかコラボレーション作品などをリリースし続けていますが、リリースペースはRoughSketchさんの活動において重要視されているのでしょうか?
順調にリリースを重ねられていますが、楽曲製作などでスランプになられる事などもあるのでしょうか?その場合のスランプからの脱出方法は?

自分のレーベルでしかやれない音や、表現したい作品がまだまだ沢山あるので、自然にリリースが多くなりますね。
日本にはコミックマーケットやM3などの即売会が定期的にあるので、リリースする側からするとありがたいです。

スランプになったときの脱出方法は、全く別のスタイルの音楽を作り始める事です。なので、未完成のプロジェクトファイルがいくつも溜まってしまいます笑

Q.
ハードコアというジャンルの定義として、なによりも「ガバキック」がこのジャンルを形成する部分で一番大きいところだと思うのですが、ガバキックを使わないでもハードコアというジャンルを作ることは可能なのでしょうか?ガバキックに囚われないハードコアというスタイルは存在するのでしょうか?また、RoughSketchさんはそういった(ガバキックを使わない)ハードコアのスタイルに興味はありますか?

「ガバキックを使わないハードコアのスタイル」というのは盲点でした。
面白いと思います!リリースする時は是非マーダーチャンネルから出させて下さい笑

Q.
今年4月に3枚組みのベスト版をリリースされましたが、今まで作ってきた曲の中で最も思い出深い楽曲は?

どの曲にも思い入れあって作っているので、一番を決めるのはかなり難しいですね…笑

強いて言うなら、やはり「Killer Pill」です。この曲が無ければ今までの活動は違ったものになっていると思います。
今回新たに2016年バージョンとして収録したのも、強い思い入れがあったからだと思います。

Q.
Notebook RecordsのリリースやYATSUZAKI HARDCORE、SHCラジオといった活動を通して多くの人々にハードコアを伝えてきていますが、始めた当初と現在ではどのような変化がありましたか?
また、北海道のシーンは今どんな状態になっていますか?

自分が初めてリリースしたNotebook RecordsのCDはGUHROOVYさんで取り扱って頂いていたのですが「札幌で活動するトラックメイカー」と紹介して頂いてました。すると北海道でGUHROOVYさんを利用していたお客さんの目にとまり、主催イベントのYATSUZAKI HARDCOREに来てくれるようになりました。

SHCラジオというのは当時楽天斎さんが持ちかけてくれた企画でした。知人のBarで録って発信していたのですが、それがきっかけで遊びに来てくれて現在もDJを続けているクルーがいます。

現在の北海道のシーンはDJ、トラックメイカーともに充実している感じがします。最近では野外レイヴのクラウドファンディングも成功して、かなり盛り上がっています。

SNSもあるので、気軽に面白く発信していけているので是非チェックしてみてくださいね!

Q.
現在の日本のハードコア・シーンに関してRoughSketchさんはどう思われていますか?

面白いシーンだなぁって思ってます。
高いクオリティの個性的なトラックが絶えずリリースされています。加えて国境を越えてハードコアのフェスに出演する方や、国境を越えたコラボをする方、海外のレーベルからリリースをする方も増えている印象です。

イカつい怖いイメージのハードコアイベントもあれば、ハッピーなイメージのイベントもあり、アニメイラストのイメージを使ったイベントもある。
それぞれ、どれも欠けることなくそれぞれのシーンが膨らんでいるように見えています。

「ハードコア」って言葉一つで解釈の違う人がここまで沢山いて、それぞれ受け入れられて広がっているのを見ているとこのシーンに携われるのは本当に楽しいなぁと思います。

Q.
現在のハードコア・シーンの中で注目しているアーティストは?

北海道のトラックメイカーだと、Srav3R、Yudaidhun。
国内だとEngage Blueさん、QURELESSさん、Team Grimoireさん等が個性を発揮していて良いなぁと思ってます。
国外だとThe BeatKrusher、Pandorum、Advanced Dealer等に注目しています。

Q.
之からハードコアを作ろうと思っているクリエイターにアドバイスがあれば教えてください。最初に買っておくべき機材(スピーカー、ヘッドフォンなど)はありますか?

ヘッドフォンやスピーカーにはこだわりが無くて、聴き比べた事も無いのでお勧めできる事があまりないのですが、「自分の慣れた環境で作業をする」のが良いと思います。

普段曲を聴くのに使っている環境で制作すると、色々発見があるので面白いです。沢山曲を聴いて、沢山曲を作って、沢山発表しましょう!

Q.
RoughSketchさんが10年間の音楽活動において得た最も大きなこととは?

ハードコアテクノを一緒に楽しめる仲間が、思ったより沢山出来たことです。

Q.
今後のリリース予定を教えてください。また、今後の活動において目標としていることはありますか?

2016年は10周年という事もあるので1シーズンに1枚、アルバムを出す事を目標にしています。

春にベストアルバムをリリースしましたので、あと3枚今年は出したいですねー
どれも違ったコンセプトでリリースしようと思うので「コレは好きだけど、コレはスルーで!」みたいなノリでチェックして貰えると嬉しいです!

インタビュー/文:GHz Staff
※このインタビューは2016年6月29日に行われました。